悪魔の手毬唄

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悪魔の手毬唄
著者 横溝正史
発行日 1971年7月14日
ジャンル 小説
日本の旗 日本
言語 日本語
ページ数 480
コード ISBN 4041304024
ISBN 978-4041304020(文庫本)
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悪魔の手毬唄』(あくまのてまりうた)は、横溝正史の長編推理小説。「金田一耕助シリーズ」の一つ。手毬唄歌詞に沿って行われる童謡殺人を描く。

本作を原作とした映画2本、テレビドラマ5作品、ラジオドラマ1作品が、2014年3月までに制作されている。

あらすじ[編集]

昭和30年7月下旬、金田一耕助は1か月ばかり静養できる辺鄙な田舎を探して、岡山県警に磯川常次郎警部を訪ねた。磯川警部は金田一に、岡山兵庫の県境にある寒村、鬼首村(おにこうべむら)[1][2]の温泉宿「亀の湯」を紹介する。磯川の話では、23年前の昭和7年、亀の湯の女主人・青池リカの夫である青池源治郎が殺害され、遺体は囲炉裏の中に倒れこんで顔が焼かれ、相好の区別がつかなくなっていた。犯人と目される詐欺師・恩田幾三はいまだに行方不明だという。

亀の湯に滞在した金田一は、リカの息子の歌名雄、リカの娘・里子、村の有力者・仁礼嘉平、庄屋の末裔・多々羅放庵らと顔を合わせる。美男子で歌が上手い歌名雄は村の人気者で、旧家、由良家の娘で美人の泰子と交際しており、嘉平の娘・文子はそれに嫉妬していた。一方、嘉平はリカに歌名雄と文子との縁談を持ち込んでいた。ちょうどその頃、村の若者達の間では、村出身の人気歌手・大空ゆかりが里帰りするという噂で持ちきりとなっていた。実はゆかり(本名:別所千恵子)は、恩田が村の鍛冶屋の娘・別所春江に産ませた子供で、幼少時は「詐欺師で人殺しの子供」として周囲から迫害されていた。

一方、金田一は親しくなった放庵から、手紙の代筆を頼まれる。昭和7年に放庵の元を出奔した彼の5人目の妻・おりんが、復縁を求めてきたのだという。放庵の口述どおり、金田一は復縁を受け入れる手紙を書く。

金田一が亀の湯に滞在して2週間ほど経った8月10日。用事で山向こうの総社の町に向かう途中の耕助は、おりんと名のる老婆と峠道ですれ違う。ところが、着いた先の総社の町の宿屋の女将・おいとの話によれば、おりんは昨年、すでに死亡しているという。驚いた金田一とおいとは放庵の草庵を訪ねるが、そこには放庵やおりんの姿は無く、来客があったことを伺わせる2人分の酒盛りの跡とともに、微量の吐血の痕跡が残されているのみだった。

8月13日、里帰りしたゆかりを囲んでの、村総出の歓迎会が催される。ところが、ゆかりの元同級生として歓迎会に出席するはずの泰子が見当たらない。夜を徹した捜索の末、泰子は村内の滝つぼの中で絞殺死体となって発見される。遺体の口には、なぜか漏斗が差し込まれていた。滝の水が崖の途中に置かれたを満たした後、漏斗に注がれるような状態になっていた。

泰子の通夜が行われた晩、今度は仁礼家の娘・文子が行方不明となり、翌朝に村内の葡萄酒工場の中で絞殺死体となって発見される。遺体の腰には竿秤が差し込まれ、秤の皿には正月飾りに使われる作り物の大判小判が置かれていた。

金田一や警察、村人が奇妙な姿の遺体に悩む中、泰子の祖母・五百子は村に古くから伝わる手毬唄を皆に歌って聞かせるのだった。

概要[編集]

宝石』1957年8月号から1959年1月号にかけて連載。

連続殺人事件が村に伝承の手毬唄になぞらえて行われるという趣向は、『獄門島』の俳句見立てた殺人と同一系譜にあるものである。ただし本作の手毬唄は実在しない創作品であるため、これを引っ張り出すストーリー展開にも工夫がなされている。

作者によると、元々はヴァン・ダインの『僧正殺人事件』などいわゆるマザーグース殺人事件を知り、そのような作品を書きたいとの希望があった。しかし、二番煎じと批判されることを恐れて諦めていたところ、アガサ・クリスティーが『そして誰もいなくなった』で同じようなことをやっており、それが許されるのだから自分もやってみようと思い立ち、有名な俳句を用いて『獄門島』を執筆した[3]が、童謡殺人という点では満足できず、実在の伝承に基づくものを考えていた。しかし、なかなか都合のいいものが無く苦労していたところ、深沢七郎の『楢山節考』を知り、「無いなら作ればいいんだ」と気がついたという。

山間部の孤立した集落という舞台設定が謎解きに関わり、また「お庄屋ごろし」(サワギキョウ)や「山椒魚」も登場し、演出に一役買っている。

作品の評価[編集]

登場人物[編集]

金田一 耕助(きんだいち こうすけ)
私立探偵。

警察[編集]

磯川 常次郎(いそかわ つねじろう)
岡山県警警部。
立花(たちばな)
岡山県警警部補、捜査主任。金田一に対して猛烈なライバル心を抱く。
乾(いぬい)
岡山県警刑事、立花の部下。
山本(やまもと)
岡山県警刑事、立花の部下。
木村(きむら)
鬼首村駐在巡査。

亀の湯[編集]

青池 源治郎(あおいけ げんじろう)[8]
鬼首村出身で亀の湯の次男。小学校卒業後に神戸市に出て、「青柳史郎」の芸名で活弁士をしていたが、トーキー映画の登場により仕事の場を失い、23年前の昭和7年に妻子とともに村に帰還、亀の湯の主人となる。同年11月25日(当時28歳)恩田幾三により殺害されたと思われていた。
青池 リカ(あおいけ りか)
源治郎の妻、亀の湯女将。凛とした京女風の美人。昭和7年の事件、昭和30年の事件両方の犯人。自殺する。
青池 歌名雄(あおいけ かなお)
源治郎の息子、鬼首村青年団副団長。高校時代は野球でピッチャーをやっていたこともあって、立派な体格をしている。美男子で歌唱力もあり、村の娘たちの人気者。由良泰子と恋仲。
青池 里子(あおいけ さとこ)
源治郎の娘。お幹によると「心臓が弱い」[9]。顔の造作そのものは美しいが、生まれつきの左半身の赤痣を気にしてあまり人前に出ない。
お幹(おみき)
亀の湯女中。実家の屋号は「笊屋」。大空ゆかりを嫌っている。

仁礼家[編集]

屋号は「秤屋」。

仁礼 仁平(にれ にへい)
仁礼家先代主人、故人。鬼首村に新しい産業としてブドウの栽培を持ち込み、一代で財産を築く。
仁礼 嘉平(にれ かへい)
仁礼家当主。父の事業をさらに広げ、村の「えらもん」として君臨している。青池リカに、自分の娘の文子と歌名雄との縁談を持ちかける。
次子(つぎこ)
嘉平の妹。神戸に嫁いでいる。
咲枝(さきえ)
嘉平の妹。鳥取県に嫁いでいる。文子の実母。
仁礼 直平(にれ なおへい)
嘉平の息子。
仁礼 路子(にれ みちこ)
直平の妻。
仁礼 勝平(にれ かつへい)
嘉平の息子、鬼首村青年団団長。歌名雄と仲がよい。
仁礼 文子(にれ ふみこ)
咲枝の子だが、嘉平の娘として育つ。しもぶくれの顔にうけ口で八重歯の美人。歌名雄と交際する由良泰子に嫉妬している。実は恩田幾三(後述)の娘である。

由良家[編集]

屋号は「枡屋」。

由良 卯太郎(ゆら うたろう)
由良家先代主人、故人。仁礼家の繁栄に危機感を抱き、対抗策を講じようとする中で恩田幾三に騙され、悲嘆のうちに命を落とす。
由良 五百子(ゆら いおこ)
卯太郎の母。手毬唄の歌詞を知る数少ない人物。
由良 敦子(ゆら あつこ)
卯太郎の妻。仁礼嘉平に対抗意識を燃やしている。
由良 敏郎(ゆら としろう)
卯太郎の息子、由良家当主。風采の上がらない男。
由良 栄子(ゆら えいこ)
敏郎の妻。
由良 泰子(ゆら やすこ)
卯太郎の娘、歌名雄の恋人。純日本式の美人で両親や兄弟とは容姿が全く似ていない。実は恩田幾三の娘である。

別所家[編集]

屋号は「錠前屋」。

別所 辰蔵(べっしょ たつぞう)
仁礼家の葡萄酒酒造工場工場長。飲んだくれで金に汚く、春江や千恵子から嫌われている。
別所 蓼太(べっしょ りょうた)
辰蔵・春江の父、千恵子の戸籍上の父。
別所 松子(べっしょ まつこ)
辰蔵・春江の母、千恵子の戸籍上の母。
別所 五郎(べっしょ ごろう)
辰蔵の息子、鬼首村青年団団員。歌名雄や勝平と仲がよい。
別所 春江(べっしょ はるえ)
千恵子の母。村に滞在していた恩田の世話をするなかで関係を持ち、千恵子を産む。
別所 千恵子(べっしょ ちえこ)
春江の娘。「グラマー・ガール」と呼ばれる国民的人気女優歌手。芸名は「大空ゆかり」。蓼太や松子のために、村に「ゆかり御殿」と呼ばれる大邸宅を建設する。実の父親は詐欺師で殺人犯と疑われる恩田幾三で、そのために幼少のころから村内で迫害されてきた。

その他[編集]

日下部 是哉(くさかべ これや)
大空ゆかりのマネージャー。
本多(大先生)
医者だが現在は引退している。昭和7年の事件時、青池源治郎の遺体を検死する。
本多(先生)
大先生の息子、医者。
本多 一子(ほんだ かずこ)
本多(先生)の妻。
多々羅 放庵(たたら ほうあん)
庄屋の末裔だが現在は没落している、本名は多々羅一義。妻を7回も取り替えたり、芝居に入れあげたりと、放蕩三昧の人生を送っている。鬼首村の手毬唄を発掘し、民俗学の雑誌に投稿する。
おいと
総社の町の旅館「井筒」の女将。放庵の知人でおりんの遠縁の親戚。
栗林 りん(くりばやし りん)
多々羅放庵の5番目の妻。通称「おりん」。昭和7年、放庵の元から出奔する。
恩田 幾三(おんだ いくぞう)
別所千恵子の実の父親。村に輸出用のクリスマス飾りのモール作りの内職を仲介する。昭和7年の青池源治郎殺害事件の容疑者と考えられていたが、青池源次郎本人であり、源次郎は、前述の仲介業を故郷の村人に斡旋するべく帰還するが、村の中でも下民として幼少期を過ごした彼は、村人に軽んじられることを警戒して「恩田幾三」の偽名を使う。十年以上前に村を出た彼の顔を覚えているものはおらず、逆に村の権力者の娘たちとねんごろになり、次々に彼女らと肉体関係を持っていく。一方で彼は、青池源次郎として妻子とともに帰郷。以後、亀の湯主人・青池源次郎と「恩田幾三」の一人二役の生活を始める。しかし、世界恐慌の煽りで仲介先の事業は失敗、詐欺師の疑いを向けられ始めた彼は逃亡を図るが、その際に起きたトラブルが原因となり、青柳リカに殺害される。
「恩田」は別所春江との間に千恵子をもうけるとともに、村人には秘密にされているが、仁礼咲枝との間に文子を、由良敦子との間に泰子を遺している。

映画[編集]

1961年版[編集]

1961年11月15日に公開された。東映、監督は渡辺邦男、主演は高倉健

原作の設定とは人名や血縁関係などにかなりの差異が見られる。もともと用意されていた脚本を監督の渡辺邦男が没にして、脚本家の結束信二に全面的な書き直しを命じた。結束は没になった脚本を渡され、全く原作を読まずに書いたと述懐している。最終的には監督の渡辺が手を入れて完成した。なお1976年以降、映画『犬神家の一族』の成功で横溝正史ブームが起こった頃、女性週刊誌が歴代の金田一役の俳優を紹介し、インタビューを収録した。高倉は、「記憶にありません。とにかくあの頃は、次々といろいろな作品に出ていました。」と答えている。

キャスト

1977年版[編集]

1977年4月2日に公開された。東宝、監督は市川崑、主演は石坂浩二

テレビドラマ[編集]

1971年版[編集]

おんな友だち』は、日本テレビ系列の「火曜日の女シリーズ」(毎週火曜日21時30分 - 22時26分)で1971年6月22日から7月20日まで放送された。全5回。

金田一は登場しない。

キャスト
スタッフ

1977年版[編集]

横溝正史シリーズI・悪魔の手毬唄』は、TBS系列1977年8月27日から10月1日まで毎週土曜日22時 - 22時55分に放送された。全6回。毎日放送大映京都映像京都製作。

撮影がかなり進行した時点で急遽放映の1回延長が決定して脚本が書き直された。そのため後半(文子殺害後)が原作よりも細かい会話を補ったりして丁寧に追う内容になっており、謎解き部分も関連する場面が逐一回想される丁寧な構成になっている。

概ね原作通りの展開であり、原作にある科白の細かい表現を残そうともしている。しかし、以下のような改変が見られる。

  • 原作より3年早い昭和27年に設定されており、被害者たちの年齢も3年若い20歳である。
  • 原作の立花警部補に相当する、金田一に対抗意識を抱く人物は登場しない。日下部是哉も登場しない。20年前に検死した本多先生が現役であり世代交替していない。また、「ゆかり御殿」が建設されている設定は無く、春江の両親も登場しない。
  • 日和警部(原作の磯川警部)は県警本部で金田一に鬼首村を紹介する際に昔の事件のことを隠しており、亀の湯で嘉平と顔を合わせたくなくて金田一の客室に逃げ込んでいた放庵から知らされた。このとき原作の冒頭に記述されている歴史的経緯も語られる。
  • ドラマ開始時点で金田一は主な家族関係を把握していて金田一のナレーションで提示され、旅館「井筒」で女将から聞き出したり、青年団がやってきて人物描写がなされたりする場面は無い。金田一は留守中の事務所に借金取りが殺到した知らせを受けて東京へ戻ろうとするが大雨で足止めされて偶々「井筒」に泊まり、おりんは死亡していると聞いて村へ引き返す。
  • 大空ゆかり歓迎会は野外での盆踊りではなく邸内での同窓会である。里子は単に出発が遅れただけであり、老婆と共に行く泰子の姿を少し離れたところから目撃する。
  • 泰子を呼び出した手紙の前半が隠されていた設定は無い。
  • 五百子が歌った手毬唄は「庄屋うた」無しで2番までであった。
  • 恩田幾三の足の中指が長かったことは、日和警部の靴下の穴に春江が気付いて修繕したことを契機に判明する。
  • 文子の通夜では千恵子も和装だったので、里子を着替えさせようとする展開は無い。
  • 金田一と日和警部は、リカが千恵子殺害行動に出る直前に咲枝と敦子に個別に面会し、恩田と源治郎が同一人物であることを確認する。
  • リカは里子の通夜で泥酔した辰蔵を送り届けた際に、歌名雄が待っていると偽って千恵子を放庵の家に呼び出す。リカは千恵子を絞殺しようとするが金田一に阻止され、さらに溺死させるのにも失敗すると、金田一が千恵子を救出している隙に入水自殺した。
  • 最後にリカの墓前で金田一、日和警部、お幹が語り合い、お幹が去ったあと、金田一が徒歩での去り際に日和警部の恋心を指摘する。
キャスト
スタッフ

1990年版[編集]

名探偵・金田一耕助シリーズ・悪魔の手毬唄』は、TBS系列1990年10月5日に放送された。TBS東阪企画映像京都(協力:京都映画)製作。

本作では「青池」姓の読みを「あおち」としている。

キャスト
キャスト

1993年版[編集]

横溝正史シリーズ・悪魔の手毬唄』は、フジテレビ系列2時間ドラマ金曜エンタテイメント」(毎週金曜日21時 - 22時52分)で1993年9月24日に放送された。

  • 別所千恵子に大空ゆかりという芸名は無い。別所母娘は元々金田一と懇意であり、帰郷するなという警告状が届いたため金田一が関与する。
  • 磯川警部が恩田殺害事件に執着している設定は無い。
  • 本多という名の村長が登場する。
  • 歌名雄はリカの息子ではなく隣村の富豪の跡取りで、鬼首村からの嫁取りを義務付けられている。したがって、犯行動機から近親相姦回避は除かれている。歌名雄と里子は実は相思相愛の仲であり、里子の願いを叶えることが犯行動機であった。
  • 手毬唄の内容が変更され、枡や秤の謎かけが簡単には判明しない設定になっている。放庵宅にあった民間承伝は3番の歌詞が切り取られていたが、歌名雄宅の書庫にもあった。
  • リカは村への復讐心から源次郎が恩田幾三として振舞うことを助けていたが、春恵に本気になったことが許せず殺害した。このとき里子は既に生まれており、全身に火傷を負った(生まれつきの赤痣ではない)。

本作では「青池」姓の読みを「あおち」としている。

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2009年版[編集]

金田一耕助シリーズ・悪魔の手毬唄』は、フジテレビ系列2009年1月5日に放送された。

概ね原作通りの展開であり、原作の科白を場面が多少違っていてもなるべく残そうとしている。しかし、ストーリー展開の簡略化が目的と思われる以下のような改変が見られる。

  • 金田一は手紙で事前に紹介を受けて東京から鬼首村へ直接行っている。亀の湯到着早々に土蔵の窓際に居る里子を目撃しており、赤痣も認識している。
  • 恩田が借りていたのは人食い沼に面した放庵の家の一部であり、放庵はその後転居していない。
  • 金田一が探偵であることは当初から広く知られており、嘉平だけが知っていた設定は無い。
  • 鬼首村への経由地である総社が関係する登場人物や場面が全て省略されている。金田一は村内散策で頻繁に村の入口(原作の仙人峠)に足を延ばし、その際に老婆と遭遇している。本物のおりんが既に死んでいることはリカから知らされた。
  • 放庵が金田一の立ち寄り先に頻繁に顔を出し、種々の情報を提供する。その流れで、金田一が横溝正史に頼まれていた童謡収集への協力を依頼し、資料を見るために家を訪ねたところ行方不明になっていた。
  • 橘署長(原作の磯川警部)は休暇ではなく放庵行方不明捜査のために入村しており、その際に金田一に23年前の事件を説明している。原作の立花警部補に相当する、金田一に対抗意識を抱く人物は登場しない。
  • 23年前に検死した本多先生が現役であり世代交替していない。
  • 日下部是哉は登場しない。神戸の関係者は登場せず氏名も明らかにならない。仁礼家・由良家・別所家は最小限の人物にしか科白等の出番が無い。
  • 泰子を呼び出した手紙の前半が隠されていた設定は無い。
  • 文子殺害時の竿秤とマユ玉の出所は明らかにならない。
  • 里子を千恵子と誤認して殺害したことを隠蔽するために洋装から和装に着替えさせようとした設定は無い。
  • ゆかり御殿に放火して金田一に追跡されたリカは放庵の家で追い詰められ、追ってきた橘署長や歌名雄と共に金田一の謎解きを聞く。金田一はそれまでに青柳史郎の写真を関係者(敦子も含まれ、本多先生は居ない)に示して恩田幾三と同一人物であることを確認していた。金田一の結論を認めたリカは源治郎の亡霊に誘われるように人食い沼に入水した。

その他、以下のような原作からの改変がある。

  • 里子は葬儀で泰子の霊前に座るまでは高祖頭巾を着用していた。
  • 泰子葬儀での老婆のシルエットは参列者全員の目に入る形で映り大騒ぎになる。
  • 文子は醸造樽の上に吊るされており、血が樽に入って味が変わったために辰蔵が変事に気付く。

ゆかり御殿が描かれる唯一の映像化作品である。また序盤で横溝正史が『そして誰もいなくなった』や『僧正殺人事件』を眺めながら童歌を口ずさむシーンが入れられている。

また、稲垣吾郎の金田一耕助シリーズは今までの金田一の映画およびドラマへのオマージュが多々あり、この作品でも市川崑監督の映画版において大空ゆかり役であった仁科亜季子が出演している。

本作では「青池」姓の読みを「あおち」としている。

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2019年版[編集]

スペシャルドラマ『悪魔の手毬唄』は、2019年12月にフジテレビ系列で放送される予定[10]

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ラジオドラマ[編集]

1976年8月NHKラジオ第1放送で日曜日をのぞき毎晩15分、全12回に亘って放送。

前年8月の『悪魔が来りて笛を吹く』に続く金田一耕助シリーズ第二弾。金田一役に緒形拳、磯川警部に岡山県出身の長門勇と豪華キャストが起用された。長門勇は、翌年TBSで放映された「横溝正史シリーズ」で日和警部を演じた。リカ役にNHK連続テレビ小説うず潮』で主役を演じた林美智子。ほかに当時、若手女優として活躍していた鶴間エリ三谷幸喜脚本の舞台公演やテレビドラマで活躍している劇団「文学座」の小林勝也

原作に忠実な展開だが、里子が文子の通夜の席に頭巾を脱いで参列した理由について、金田一が里子に「頭巾をとって前向けに生きるように」とアドバイスしたことがきっかけに変更されている。この場面に続けて「今、思うと、このことは、犯人へのささやかな勝利だったといえるかもしれません」という意味のナレーションが流れる。また、ラストで金田一が乗る列車が走り去る音とともに「時は流れましたが、今もリカの命日に墓参りに来る人がいます。それは岡山県警を定年退職した磯川警部、その人なのです。」という意味のナレーションが流れる。

多々羅放庵は、原作では最後まで好人物として描かれているが、ラジオドラマでは、最終回に回想シーンがあり、青池源治郎の殺害の後、「わしは何も見ていないよ」と意味ありげに笑い、犯人から沈黙と引き換えに金品を強請っていたかのようなキャラクターに描かれている。

語り手の中西龍が、被害者に、「犯人は誰だったんですか?」とか「あなたが犯人では?」と質問したりする息抜きのシーンがあった。

漫画[編集]

かなりオカルト方向にデフォルメされたストーリーとなっている。

脚注[編集]

  1. ^ 鬼首村の読み方を尋ねた金田一に、「オニコウベ村」と読むがふつう詰まって「オニコベ村」と呼ぶと磯川警部は答えている。
  2. ^ 鬼首村は『夜歩く』の後半の舞台としても登場しているが、所在地(『夜歩く』の鬼首村は岡山県と鳥取県の県境)や村の権勢家などが異なる同名の別の村である。
  3. ^ 真説 金田一耕助』(横溝正史著・角川文庫、1979年)「「獄門島」懐古 II」を参照。
  4. ^ 1位から5位までの作品は、1.『獄門島』、2.『本陣殺人事件』、3.『犬神家の一族』、4.本作品、5.『八つ墓村』。
  5. ^ 真説 金田一耕助』(横溝正史著・角川文庫、1979年)「私のベスト10」を参照。
  6. ^ 他の横溝作品では、『獄門島』が1位、『本陣殺人事件』が7位、『八つ墓村』が44位、『蝶々殺人事件』が69位に選出されている。
  7. ^ 他の横溝作品では、『獄門島』が1位、『本陣殺人事件』が10位、『犬神家の一族』が39位、『八つ墓村』が57位に選出されている。
  8. ^ 現行版では「青池」には読み仮名が振られておらず、「あおいけ」か「あおち」か不明である。初期の版では「あおいけ」であったとする未確認情報があるため、本ページでは暫定的に「あおいけ」を基準として記述する。
  9. ^ 土蔵に閉じこもっている理由を金田一に問われた際の応答。赤痣の話題を避けるために嘘をついた可能性がある。
  10. ^ “加藤シゲアキの金田一耕助再び!「悪魔の手毬唄」放送、「前作以上にすさまじい」”. 映画ナタリー. (2019年9月30日). https://natalie.mu/eiga/news/349623 2019年10月1日閲覧。 

関連項目[編集]

  • 屋号
  • 童歌(手毬歌)
  • 人間椅子 (バンド) - 江戸川乱歩に傾倒するバンド。アルバム『人間失格』には題をこの作品から取ったと思われる「悪魔の手毬唄」という曲がある。また同アルバムに収録されている「あやかしの鼓」という曲では、この作品の章題である「生きているのか 死んでいるのか」というフレーズが使われている。
  • 岩崎正吾 - 作家。著作『探偵の夏あるいは悪魔の子守唄』(旧題『横溝正史殺人事件あるいは悪魔の子守唄』)という本作のパロディ作品がある。舞台の八鹿村(「八馬鹿村」とも呼ばれる)に伝わる子守唄に見立てられて竹のお大尽、梅のお大尽(小梅佐兵衛)、獄門寺の和尚らが殺され、これを雇われ探偵のキンダイチが捜査する。「八馬鹿村子守唄」考を投稿した矢鱈放言、キンダイチが鬼首峠でおりんと名乗る老婆に出会い、佐兵衛にその話をすると30年前に死んだはずだと騒ぎ出すなど、本作を中心に横溝作品を意識した趣向が散りばめられている。


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