市駅

市駅(しえき)

日本鉄道駅において、同じ市内にある同じ名前の別の駅と区別する場合や、市名が旧国名(出雲市、長門市、日向市など)や広域的な地域名(山梨市、伊那市、土岐市など)と同じ場合に、通常は省かれる「市」を付けた「-市駅」という名称をつけられることがある。「市」の有無で同じ名前の駅がある場合、その地域では「市駅」と通称されることも多い(松山市駅、和歌山市駅など)。この場合、主に市内の移動のための駅が-市駅で、広域移動のための駅が-駅となる。また、もともと市制施行前に「-町駅」であったが、市制施行を機に「-市駅」と改称したという例もある(野田市、川越市、美濃市など)。特殊な例として、公営交通の新駅が代表駅として「-駅」を名乗るため、元々「-駅」を名乗っていた私鉄駅が「-市駅」に改称した例もある(行田市、守口市、松山市)

日本にある「-市駅」の一覧[編集]

市駅の旧称 市駅(路線) 対する駅(路線) 備考
佐貫駅 龍ケ崎市駅常磐線 竜ヶ崎駅関東鉄道竜ヶ崎線 JTB時刻表による代表駅は竜ヶ崎駅
足利町駅 足利市駅東武伊勢崎線 足利駅両毛線 JTB時刻表による代表駅は足利駅
佐野町駅 佐野市駅東武佐野線 佐野駅(両毛線・東武佐野線) JTB時刻表による代表駅は佐野駅
川越町駅 川越市駅東武東上本線 川越駅[1](東武東上本線・川越線 JTB時刻表による代表駅は川越駅
行田駅 行田市駅秩父鉄道秩父本線 行田駅高崎線 JTB時刻表による代表駅は行田市駅
入間川駅 狭山市駅西武新宿線 なし
豊岡町駅 入間市駅西武池袋線 なし
大和町駅 和光市駅(東武東上本線・東京メトロ有楽町線 なし
青梅橋駅 東大和市駅西武拝島線 なし
野田町駅 野田市駅東武野田線 なし[2]
谷村横町駅 都留市駅富士山麓電気鉄道富士急行線 なし
日下部駅 山梨市駅中央本線 なし
伊那町駅 伊那市駅飯田線 なし
美濃町駅 美濃市駅長良川鉄道越美南線 なし かつて美濃駅名鉄美濃町線)が存在した。
土岐津駅 土岐市駅(中央本線) なし
なし 瀬戸市駅愛知環状鉄道線 尾張瀬戸駅名鉄瀬戸線 JTB時刻表による代表駅は尾張瀬戸駅
刈谷町駅 刈谷市駅名鉄三河線 刈谷駅東海道本線・名鉄三河線) JTB時刻表による代表駅は刈谷駅
挙母駅 豊田市駅(名鉄三河線・名鉄豊田線 三河豊田駅(愛知環状鉄道線) JTB時刻表による代表駅は豊田市駅
山田駅 伊勢市駅参宮線近鉄山田線 宇治山田駅近鉄山田線 伊勢市の旧市名は宇治山田市であった。
市名変更により山田駅から伊勢市駅に改称。
伊勢神戸駅 鈴鹿市駅近鉄鈴鹿線 鈴鹿駅[3]伊勢鉄道伊勢線 JTB時刻表による代表駅は鈴鹿市駅
紀伊木本駅 熊野市駅紀勢本線 なし
上野町駅 上野市駅伊賀鉄道伊賀線 伊賀上野駅関西本線・伊賀鉄道伊賀線) 合併して上野市から伊賀市となったが駅名は変更なし。
JTB時刻表による代表駅は上野市駅
金岡駅 堺市駅[4]阪和線 堺駅南海本線 JTB時刻表による代表駅は堺東駅
高槻町駅 高槻市駅阪急京都本線 高槻駅(東海道本線) JTB時刻表による代表駅は高槻駅
守口駅 守口市駅京阪本線 守口駅Osaka Metro谷町線[5] JTB時刻表による代表駅は守口市駅
枚方東口駅 枚方市駅(京阪本線・京阪交野線 枚方公園駅[6](京阪本線) JTB時刻表による代表駅は枚方市駅
なし 摂津市駅(阪急京都本線) 摂津駅大阪高速鉄道大阪モノレール線 JTB時刻表による代表駅は摂津市駅
茨木町駅 茨木市駅(阪急京都本線) 茨木駅(東海道本線) JTB時刻表による代表駅は茨木駅
寝屋川駅 寝屋川市駅(京阪本線) なし
新門真駅 門真市駅(京阪本線・大阪高速鉄道大阪モノレール線) なし かつて門真駅(京阪本線)が存在した[7]
交野駅 交野市駅(京阪交野線) なし
狭山遊園前駅 大阪狭山市駅[8]南海高野線 狭山駅[9](南海高野線) JTB時刻表による代表駅は大阪狭山市駅
野村駅 西脇市駅加古川線 なし かつて西脇駅鍛冶屋線)が存在した[10]
高田町駅 高田市駅近鉄南大阪線 大和高田駅近鉄大阪線)、高田駅和歌山線桜井線 正確には高田市ではなく大和高田市[11]
JTB時刻表による代表駅は高田駅
なし 和歌山市駅(南海本線・南海和歌山港線紀勢本線南海加太線 和歌山駅[12]阪和線・紀勢本線・和歌山線和歌山電鐵貴志川線 JTB時刻表による代表駅は和歌山駅
出雲今市駅 出雲市駅山陰本線
電鉄出雲市駅一畑電車北松江線
なし 出雲今市の読みは「いずもいまいち」(当時は今市町
社倉敷駅 倉敷市駅水島臨海鉄道水島本線 倉敷駅山陽本線伯備線 JTB時刻表による代表駅は倉敷駅
石見大田駅 大田市駅(山陰本線) なし
正明市駅 長門市駅(山陰本線・山陰本線仙崎支線・美祢線 なし 正明市の読みは「しょうみょういち」(当時は深川町 (山口県)
松山駅 松山市駅伊予鉄道高浜線伊予鉄道横河原線伊予鉄道郡中線 松山駅予讃線 JTB時刻表による代表駅は松山駅
南郡中駅 伊予市駅(予讃線) なし
富高駅 日向市駅日豊本線 なし

上記のほかに、過去に以下の駅が存在した。

また、「 - 市駅」という名称ではないが、杵築市の中心部にあった大分交通国東線の杵築町駅も「市駅」と呼ばれていた。海田市(かいたいち)駅海田に所在するが、これは当初海田市町にあったからである。

貨物駅では、衣浦臨海鉄道碧南線碧南市駅が存在するほか、高浜市駅が廃止されている。

その他の区別方法[編集]

中心街の駅と郊外の駅の区別ということでは、他に「 - 駅」「本 - 駅」、「 - 本町駅」のような区別の方法や、「 - 駅」「 - 中央駅」のような区別の方法もある。例を挙げると、東北本線の「塩釜駅」に対して、中心街にある仙石線の「本塩釜駅」(塩竈市)である。

この例では他に、「八戸駅東北新幹線青い森鉄道線(旧東北本線)、八戸線)」「本八戸駅(八戸線)」(八戸市)、「川越駅(東武東上本線、川越線)」「本川越駅西武新宿線)」、「千葉駅総武本線外房線千葉都市モノレール)」「本千葉駅(外房線)」(千葉市)、「竜野駅山陽本線)」「本竜野駅姫新線)」(たつの市[14])、「諫早駅長崎本線島原鉄道線)」「本諫早駅(島原鉄道線)」(諫早市)、「吉原駅東海道本線岳南電車岳南線)」「本吉原駅(岳南電車岳南線)」(もしくは吉原本町駅)(旧吉原市)、「津幡駅IRいしかわ鉄道線(旧北陸本線)、七尾線)」「本津幡駅(七尾線)」(津幡町)、「膳所駅東海道本線)」「膳所本町駅京阪石山坂本線)」(大津市[15])などがある。

これらの例では、いずれも郊外にある広域移動のための鉄道路線の「 - 駅」に対して、中心街(市役所村役場県庁の最寄り駅)のローカル線の「本 - 駅」という関係である。

また、「厚木駅相模線小田急小田原線)」「本厚木駅(小田急小田原線)」もあるが、こちらは後者が厚木市であるのに対し前者が海老名市の所在となっている。さらに、2022年3月までは北海道森町にて「石倉駅」に対する「本石倉駅」(いずれも函館本線の隣駅)が存在した。

中央駅」の例については当該記事を参照。

脚注[編集]

  1. ^ 川越町駅が川越市駅に改称した当時は西武鉄道本川越駅が「川越駅」を名乗っていた。
  2. ^ 過去に県内に「野田駅」(JR外房線、現:誉田駅)が存在したが、同駅は現在の千葉市緑区にあるため野田市とは無関係
  3. ^ 鈴鹿市駅の改称当時は現在の河曲駅が鈴鹿駅を名乗り、当駅は未開業だった。
  4. ^ 政令指定都市にある唯一の「 - 市駅」。
  5. ^ 開業は京阪の駅の改称後。
  6. ^ 枚方市駅の改称前は枚方駅であった。
  7. ^ 西三荘駅に代替される形で廃止。
  8. ^ 開業当時は河内半田駅。1950年に狭山遊園前に改称されたが、さやま遊園の閉鎖と(旧)南河内郡狭山町の市制移行にともない2000年に改称。
  9. ^ 大阪狭山市駅より先に開業したが、大阪狭山市役所等公共施設は大阪狭山市駅を最寄り駅とするものが多い。
  10. ^ 鍛冶屋線廃止に伴う地元からの要請を受け改称。
  11. ^ 「大和高田」の名称は、高田町の市制施行よりも早い1941年に近鉄大阪線の駅名として使われていた。その後、1948年の市制施行に伴う高田町駅の駅名改称に当たっては、その大和高田駅との混同を避けるため、「大和高田市駅」とはせず「高田市駅」とした。
  12. ^ 和歌山市駅の開業当時は未開業で、現在の紀和駅が和歌山駅を名乗っていた。
  13. ^ 旧称の丹波市駅の読みは「たんばいちえき」で、天理市成立前の所在地の山辺郡丹波市町に由来する。なお同じ場所にある近鉄天理線の駅は天理教の人々を運ぶために設立された天理軽便鉄道由来で開業当初から天理駅であった。
  14. ^ 山陽本線の竜野駅は旧揖保川町に、本竜野駅は旧龍野市に所在していた。
  15. ^ 現在の膳所駅はかつて滋賀郡馬場町にあり馬場駅を、大津町→大津市成立後は大津駅(2代)を名乗っており、膳所本町駅は当初より膳所町内にありかつてはこちらが膳所駅を名乗っていた。

関連項目[編集]