小林麻美

こばやし あさみ
小林 麻美
本名 田邊 稔子(たなべ としこ)
(旧姓:小林)
生年月日 (1953-11-29) 1953年11月29日(70歳)
出生地 日本の旗 日本東京都大田区
出身地 日本の旗 日本福島県郡山市
職業 モデル・元女優・元歌手
ジャンル テレビドラマ映画
活動期間 1970年 - 1991年2016年 -
活動内容 1970年:ライオンCMに出演しデビュー
1971年:ドラマ『美人はいかが?』で女優デビュー
1972年:「初恋のメロディー」で歌手デビュー
1977年資生堂を中心にモデルとして活動
1980年:映画『野獣死すべし
1981年:映画『真夜中の招待状』
1984年:「雨音はショパンの調べ -I Like Chopin-」で歌手としてヒットを放つ
配偶者 田邊昭知1991年 - )
事務所 N・F・B
公式サイト 小林 麻美 PROFILE
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小林 麻美(こばやし あさみ、1953年昭和28年〉11月29日 - )は、日本モデル・元歌手・元女優。本名、田邊 稔子(たなべ としこ)、旧姓、小林[1]

東京都大田区大森出身[2][3][4]普連土学園中学校・高等学校を経て文化学院に転入[5]。夫は田辺エージェンシー社長の田邊昭知。一子(長男)の母[1]。身長165cm(1975年7月)[6]

来歴・人物[編集]

生家は大森新地近くにあり、父親は国鉄信号機などを設計する技術者で会社経営、母は美容師美容室を経営[2][4]。7歳違いの姉がいる[2]。180cmの偉丈夫で、大型バイクも乗りこなす趣味人の父は、娘にとって理想の男性像でもあったが、自宅のほかに別宅を持ち、愛人がいることもわかっていた[7][3]。両親とも仕事が忙しく、姉が早くに結婚して家を出ると一人の時間が長くなり、読書や映画館通いが孤独な少女の心を慰めた[4]。そして竹本ピアノに魅了された。

母親が入場券を入手して、土曜日で学校が半ドンなので1966年7月2日、ザ・ビートルズ日本武道館公演に行った。のちに「あっという間に終わった」と発言している。

元々、秘書に憧れて将来は秘書になりたいと思っていたことがあった。少女時代付いていた女性の家庭教師デュポン社の秘書で、彼女に憧れたのがその理由だった。その女性が「あさみ」という名前で、「この人のような素敵な女性になりたい」と、この名前をもらったのが芸名の由来であるという[8]

15歳の時、神経性の胃潰瘍骨髄炎から急性肝炎を併発して1年間入院療養をする[2]。中学3年生の冬、一人で日比谷みゆき座に『ローズマリーの赤ちゃん』を観に行った時に少女雑誌のモデルとしてスカウトを受ける[4]。2、3回その仕事をこなした後、1970年ライオン歯磨コマーシャルガールに選ばれる[2]。しかしこの時、テレビコマーシャルの撮影でスキーを行った際に複雑骨折してしまい、長期休業となる[9]。小林をあてにしてのれん分けまでしたその事務所は、1か月で消滅してしまう[注 1]

1972年、18歳の時、東芝レコードから「初恋のメロディー」で歌手デビュー[2]。同期に麻丘めぐみ五十嵐じゅん[2]。「初恋のメロディー」はオリコン18位を記録したが、当時のアイドルに多く求められた、明るく無邪気に笑顔を見せる天真爛漫さとは対極にあるような、ほとんど笑顔を見せずにうつむき加減、猫背で気だるそうに歌う小林の姿は異質にも映り、暗い印象を持たれた。1976年までに年に1枚程度のシングルをリリースするが売り上げは伸びず[4]、アイドル歌手としては不向きとみた事務所の方針で歌手活動は自然消滅となる[2]

小林の名が浸透したのは1970年代後半、資生堂パルコなどのCMに起用されてからである[4]。特に1977年パルコCM「淫靡と退廃」で、細い体や暗さが受け入れられた[2][4]

1984年に8年ぶりに歌手として、ガゼボの「I Like Chopin」のカバー雨音はショパンの調べ」をリリースし、大ヒット曲となった[4]。だが当時、日本放送協会(NHK)が歌詞の「気休めは麻薬」というフレーズを問題視して放送禁止曲としたことや、所属事務所が女優としてのテレビ出演の仕事のみを受けた影響もあり、歌番組で歌ったことは一度も無かった。一方、小林本人はニッポン放送「松任谷由実のオールナイトニッポンGOLD」他で「私自身は全く断ってないのよ。テレビで歌いたかったのに」と主張している。

公称167cmと長身で華奢と言えるほど細い身体、ゆるくウェーブのかかったワンレングスの長い髪、溌剌と話さず物静かで寡黙、陰のある表情が印象的で、そのアンニュイな雰囲気が都会的と言われて人気を得た[2][3]。都会的でファッショナブルな女優という認知であったため、『真夜中の招待状』ではタイトルシーンを含めて計27回、一分の隙もないコーディネートで登場している[11]

1991年、所属事務所田辺エージェンシーの社長の田邊昭知と17年の交際を経て結婚[12]、家庭に入るため芸能活動から引退[3]。25年間は子育て一筋だったと語り、表舞台には登場していない。息子のお受験や父母会の役員も経験した[13]

2016年7月20日発売のファッション誌『Kunel』9月号(マガジンハウス)の表紙を突如飾り、同誌で新連載「伝説のおしゃれミューズ」をスタートし、25年ぶりに芸能界へ復帰することとなった[4][14]

2020年3月19日、延江浩による評伝『小林麻美―第二幕』が朝日新聞出版より発売された[15]

年表[編集]

ディスコグラフィ[編集]

シングル[編集]

# 発売日 タイトル 収録曲一覧 フォーマット 規格品番
東芝EMI / 東芝レコード
1st 1972年8月5日 初恋のメロディー EP TP-2703
2nd 1972年12月20日 落葉のメロディー EP TP-2788
3rd 1973年4月20日 恋のレッスン EP TP-2840
4th 1974年10月5日 ある事情 EP TP-20060
5th 1975年2月20日 アパートの鍵 EP TP-20100
6th 1975年7月5日 私のかなしみ EP TP-20147
7th 1976年2月20日 夢のあとさき EP TP-20216
CBS・ソニー
8th 1984年4月21日 雨音はショパンの調べ
(小林麻美 with C-POINT 名義)
EP 07SH-1489
1984年11月21日 雨音はショパンの調べ (long version) 12inch 12AH-1818
9th 1984年8月25日 哀しみのスパイ EP 07SH-1542
10th 1985年5月22日 シフォンの囁き EP 07SH-1630
11th 1987年3月5日 移りゆく心 EP 07SH-1883
12th 1987年6月21日 I MISS YOU EP 07SH-1953
CT 10KH-2237

委託制作盤[編集]

  • 初恋のメロディー/海辺の白い家(東洋紡ダイヤモンド毛糸50周年記念盤、規格品番:DIA-50)
    • 東洋紡の消費者プレゼント企画向けに30万枚がプレスされた[20]

アルバム[編集]

オリジナル・アルバム[編集]

# 発売日 タイトル 収録曲一覧 フォーマット 規格品番
東芝EMI / 東芝レコード
1st 1973年2月20日 落葉のメロディー LP TP-8233
CT ZA-1257
8-track Tape YA-8409
2003年11月27日 CD TOCT-25232
2nd 1974年12月1日 20才の愛 LP TP-72015
2008年8月27日 CD TOCT-26621
3rd 1975年7月20日 パステル色の愛 LP TP-72081
CBS・ソニー
4th 1984年8月25日 CRYPTOGRAPH〜愛の暗号 LP 28AH-1760
CT 28KH-1543
CD 35DH-148
1990年10月15日 CSCL-1294
5th 1985年7月1日 ANTHURIUM〜媚薬 LP 28AH-1881
CT 28KT-1699
CD 32DH-249
1995年3月08日 SRCL-3182
6th 1987年3月21日 GREY LP 28AH-2156
CT 28KH-2118
CD 32DH-632

ベスト・アルバム[編集]

# 発売日 タイトル 収録曲一覧 フォーマット 規格品番
東芝EMI / 東芝レコード
1st 1984年12月21日 ゴールデンベスト LP TP-90312
CT ZH28-3004
1996年6月19日 CD TOCT-9481
2nd 1985年3月30日 CDベスト CD CA32-1116
CBS・ソニー
3rd 1986年4月21日 小林麻美 ベスト・コレクション CD 30DH-412
1993年10月1日 SRCL-2724
東芝EMI / 東芝レコード
4th 1992年8月26日 best collection CD TOCT-6655
Sony Music Entertainment (Japan)
5th 1998年11月21日 GOLDEN J-POP/THE BEST 小林麻美 CD SRCL-4413
6th 2001年10月11日 DREAM PRICE 1000 雨音はショパンの調べ CD MHCL-10
東芝EMI / 東芝レコード
7th 2002年11月20日 GOLDEN☆BEST 小林麻美 CD TOCT-10874
2013年11月27日 TYCN-60146
8th 2005年8月24日 NEW BEST 1500 小林麻美 CD TOCT-11033
Sony Music Direct / GT music
9th 2007年8月22日 Essential Best 小林麻美 CD MHCL-1151
ユニバーサル ミュージック ジャパン
10th 2012年9月5日 Super Best CD QIAG-11073

企画アルバム[編集]

# 発売日 タイトル 収録曲一覧 フォーマット 規格品番
ユニバーサル ミュージック ジャパン
1st 2013年11月13日 落葉のメロディー + 20才の愛 CD TYCN-60032

映像作品[編集]

# 発売日 タイトル 収録曲一覧 フォーマット 規格品番
CBS・ソニー
1st 1984年10月21日 CRYPTOGRAPH〜愛の暗号 Beta 78QM-3008
VHS 78ZM-3008
LD 68LM-28
VHD 68VM-28

タイアップ[編集]

曲名 タイアップ 収録作品
I MISS YOU スズキアルト レジーナ』イメージソング シングル「I MISS YOU」

出演[編集]

映画[編集]

テレビドラマ[編集]

  • 美人はいかが? (1971年10月24日 - 1972年4月16日、TBS
  • だから大好き!(第6話) (1972年、日本テレビ
  • 光る海 (1972年10月2日 - 1973年3月26日、フジテレビ
  • マチャアキの森の石松(第15話) (1976年、NET
  • 明治の群像 海に火輪を (1976年2月26日、NHK総合) - おさわ 役
  • 鳴門秘帖 (1977年5月6日 - 1978年3月17日、NHK総合)
  • 淋しいのはお前だけじゃない(第7話) (1982年、TBS)
    • 2002年発売のDVDBOXには当話が収録されているが、現在はCSおよび配信にて欠番となっている。その代わりに第8話冒頭では当話のダイジェストが流れる(CS、配信とも同様)。
  • 花祭 (1982年6月9日 - 10月6日、フジテレビ)
  • 太陽にほえろ! 第524話「ラガーのラブレター」(1982年、NTV) - 寺西涼子
    • 当ドラマのDVDBOXには当エピソードは収録されていない。ただし過去にCSで放送履歴あり。
  • 峠の群像(第37, 38話) (1982年9月19、26日、NHK総合)
    • 現在一般公開されているのは総集編のみで、小林の出演シーンは総集編からカットされているため、このシーンの映像を視聴することはできない。
  • ストレイ・シープ (1983年3月27日、TBS)
  • どっきり天馬先生〜めだかの兄弟は大きくなったら何になる?〜 (1983年6月6日、フジテレビ)
  • 奪われた遺書 (1983年9月3日、TBS)
  • 胸さわぐ苺たち (1983年10月13日 - 1984年1月12日、TBS) - 長女・梢 役 ※主演
  • 大奥(第45・46話) (1984年、関西テレビ) - おすみ→敬子 役
  • 宮本武蔵(第29 - 45話) (1984年11月7日 - 1985年3月13日、NHK総合) - お光 役
  • 安寿子の靴 (1984年10月13日、NHK総合)
  • ザ・ディ その日〜1995年・日本(1985年11月4日、NHK総合)
  • 匂いガラス (1986年11月8日、NHK総合)
  • ダックスフントのワープ (1989年11月11日、NHK総合)

バラエティー[編集]

ラジオ[編集]

  • 小林麻美のオールナイトニッポンニッポン放送
  • 小林麻美 今夜だけシンデレラ (ニッポン放送)
  • 開局60周年記念 岸惠子・小林麻美 ボナネ・ジャポン2020 (2020年1月2日、ニッポン放送)

CM[編集]

セミナー[編集]

  • 昨日の自分より今日の自分 –小林麻美の考える素敵な時の重ね方–(2017年12月13日・2018年1月31日)[21]

書籍[編集]

  1. ブルーグレイの夜明け(1976年、ペップ出版)
  2. あの頃、ショパン(1984年6月4日、文化出版局
  3. CRYPTOGRAPH〜愛の暗号(1984年10月21日、CBSソニー出版
  4. 私生活 - PRIVE(1985年6月、小学館
  5. ラ・ローズ・ノワール(1987年8月25日、河出書房新社
  6. 34(サーティフォー)(1988年6月25日、河出書房新社)
  7. 愛、あなたにとどけ(1989年12月10日、PARCO出版局)

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ この事務所には、所属俳優として荒木しげる畠山麦、畠山のマネージャーとしてすがやみつるがいた[10]

出典[編集]

  1. ^ a b 伝説の歌手・女優「小林麻美」25年の沈黙を破る 『小林麻美 第二幕』”. J-CAST BOOKウォッチ (2020年11月24日). 2020年12月24日閲覧。
  2. ^ a b c d e f g h i j 週刊朝日』1982年10月8日号、54-58頁(本人のインタビューも含む記事)。
  3. ^ a b c d 「週刊文春WOMAN」編集部. “「産もうと。結婚なんてしなくてもいいからって」時代のミューズ・小林麻美が37歳で親友ユーミンにも芸能界にも別れを告げた理由”. 文春オンライン. 2020年12月25日閲覧。
  4. ^ a b c d e f g h i 小柳暁子 (2020年5月19日). “小林麻美 突然の引退から四半世紀ぶりに登場した時代のミューズ<現代の肖像>”. AERA dot. (朝日新聞出版). https://dot.asahi.com/articles/-/90596?page=1 2021年1月8日閲覧。 
  5. ^ 未婚のまま出産……小林麻美が明かしたユーミン、芸能界のドンとの日々”. デイリー新潮. 2020年12月24日閲覧。
  6. ^ 「テーマ大特集 身長物語 背の高さのお話 ノッポさんのユカイな考察 スタアのノッポさん」『スタア』1975年7月号、平凡出版、176–179頁。 
  7. ^ 小林麻美語る“少女A”時代 家庭での寂しさ紛らわし遊び歩いた | 女性自身”. WEB女性自身. 2020年12月25日閲覧。
  8. ^ 週刊テレビ番組(東京ポスト)1985年4月26日号「芸名由来記」64頁
  9. ^ すがやみつる (2008年9月7日). “『仮面ライダー青春譜』第58回”. すがやみつる オフィシャルブログ. 2013年8月11日閲覧。
  10. ^ すがやみつる (2008年9月4日). “『仮面ライダー青春譜』第55回”. すがやみつる オフィシャルブログ. 2013年8月11日閲覧。
  11. ^ サンデー毎日』1982年5月2日号21頁
  12. ^ 25年ぶり復帰の小林麻美 夫・田邊社長との秘愛17年を明かす | 女性自身”. WEB女性自身. 2020年12月25日閲覧。
  13. ^ 小林麻美振り返る育児25年 芸能界のドンとお受験から遊園地まで | 女性自身”. WEB女性自身. 2020年12月25日閲覧。
  14. ^ “小林麻美25年ぶり復帰 ファッション誌表紙飾る”. 日刊スポーツ. (2016年7月20日). https://www.nikkansports.com/entertainment/news/1681250.html 2016年7月20日閲覧。 
  15. ^ 松岡かすみ (2020年3月19日). “伝説のおしゃれ“ミューズ”小林麻美が語った引退後「冬のセータはほぼユニクロ」”. AERA dot.. 2020年3月19日閲覧。
  16. ^ 25年ぶりに芸能活動復帰 小林麻美「最初で最後」伝説”. gooニュース. 2020年12月24日閲覧。
  17. ^ 小林麻美(インタビュアー:田口文彦)「いい歯トーク」『ラポルト歯科』、2006年11月https://web.archive.org/web/20161028182637/http://www.lapodc.com/DSN02.html2013年8月11日閲覧 
  18. ^ N・F・B” (jp). N・F・B. 2020年12月25日閲覧。
  19. ^ Asami +”. Asami +. 2020年12月25日閲覧。
  20. ^ 「MUSIC CORNER 30万1枚目からスタート 小林麻美」『映画情報』1972年10月号、国際情報社ノンブルなし)NDLJP:10339860/65
  21. ^ “【セミナー】昨日の自分より今日の自分 –小林麻美の考える素敵な時の重ね方—”. http://jflf.or.jp/activities/?p=686 2017年11月20日閲覧。 

外部リンク[編集]