大島車両検修場
大島車両検修場 | |
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基本情報 | |
所在地 | 東京都江東区大島9-8-1 |
鉄道事業者 | 東京都交通局 |
帰属組織 | 車両電気部 |
整備済み車両略号 | 大検修 |
併設区所 | 大島乗務管理所、大島保線管理所、新宿線電気管理所(大島総合庁舎内) |
最寄駅 | 東大島駅 |
管轄路線 | 都営地下鉄新宿線 |
管轄車両 | 10-300形 |
開設 | 1978年(昭和53年)6月1日 (修車部門(工場担当)は1979年(昭和54年)10月20日) |
車両基地概要 | |
敷地面積 | 40,624 m2[1] |
留置線本数 | 18本 (7本は列車検査線と兼用) |
検査線本数 | 月検査線 2本 臨時検査線 2本 |
洗浄線本数 | 2本 車両洗浄装置 1基 |
その他設備 | 入出庫線 1本 引上線 2本 車輪転削線 1本 全重検査線 1本 |
年間検修能力 | 列車検査:約3編成/日 月検査:1編成/2日 重検・全検:8編成/年[2] |
最大収容両数 | 220両(10両×22本) |
配置両数 | 280両(10両×28本) |
備考 | 車庫設備は地上1階(シェルター構造)、地下1階の2層構造 |
大島車両検修場(おおじましゃりょうけんしゅうじょう)は、東京都江東区大島にある都営地下鉄新宿線の車両基地である[3]。また、東京都交通局大島庁舎はこの地上部にあり、新宿線の中枢部としての機能を有している。
大島駅から入出区線が通じている。地理的には東大島駅の真北に位置しており旧中川に隣接する[4]。
概要
[編集]1972年(昭和47年)に着工し、1978年(昭和53年)6月1日に都営地下鉄では3番目の車両基地として開設・発足した[3]。
車両基地は地上1階・地下1階構造(半地下構造・鉄筋コンクリート造り[3])ではあるが、地上1階部はシェルター方式[5]を採用しているため、関係者以外は見ることができない。地上部の一部は大島小松川公園となり[4]、災害時には避難場所として利用できるようになっている。
当車両基地では新宿線車両の列車検査・月検査ならびに重要部検査・全般検査、その他車両洗浄、車輪転削などの業務を行っている[6]。2000年(平成12年)12月28日にはISO14001を取得した[7][8]。
この場所は日本化学工業小松川工場の跡地を東京都が買収したもので、東京都が建設を予定した「亀戸・大島・小松川地区防災拠点計画」と同時に建設された[9]。
車両基地建設工事中の1973年(昭和48年)、地下鉄用地や市街地再開発用地に日本化学工業小松川工場から排出されていた有毒物質である六価クロムが埋まっていることが判明し、その土壌汚染の処理には2000年(平成12年)までの長い年月を要した。
2009年(平成21年)4月からは重要部検査・全般検査は協力会社の京王重機整備に委託している[10][11][12]。
車両基地を挟んだ南側には車両搬入口があり、新造車両はトレーラーで陸送してクレーンで地下の車両基地へと搬入する。廃車時には京王電鉄の若葉台工場まで回送して解体される。
構造
[編集]- 最大長さ 370 m、幅 101 m[6]
- 敷地面積:40,624 m2[1](資料によっては 37,149.81m2 [3])(うち地上権:25,984.96 m2 [1][3])
- 建物面積:62,027 m2(地上1階・地下1階部共:各28,958 m2[3]・ほか事務棟など )
- 事務棟は地上3階建て(地上2階 - 4階[6])
- 主な業務は列車検査(10日以内)、月検査(3か月以内)、重要部検査(4年または走行距離60万km以内)・全般検査(8年以内)、臨時検査、故障対応、車輪転削、車両清掃など多岐にわたる[2]。検車部門は列車検査を1日約3編成、月検査は1編成を2日間かけて検査を行う[2]。修車部門は重要部検査を22日工程、全般検査を31日工程で実施しており、年間8編成(80両)の定期検査を行っている[2]。ただし、修車部門の業務は京王重機整備に委託しており(前述)、交通局は工程管理や完成検査、試運転等を担当する[2]。
- 車両収容数:10両編成22本(220両)[3]。
- 地上1階部[3]
- 車輪転削線 1線 車輪転削盤設置 - 有効長の都合から5両編成に分割して削正を行う[2]
- 留置1番線 - 7番線 - 地上1階留置線は列車検査線と兼用[1][2]
- 月検査1番線・2番線
- 臨時検査1番線・2番線 - ただし、終端寄りは機器や予備部品の置き場として使用している[2]
- 全重検査線 1線
※太字は検査線で、収容数には含めない。
- 地下1階部[3]
- 留置8番線 - 18番線
- 洗浄1番線・2番線 車両洗浄装置1台設置
- 地上1階部の上床板には約1.5 mの盛土され、公園設備となっている[6]。地下車庫からの非常用出入口が6か所ある[6]。
- 車両基地内は地下という環境上から湿気対策のため大型の換気装置を設置している[3]。車両基地南端部にある給気塔から外気を吸引し、ダクトを経て場内に供給される[6]。場内の空気は車両基地北端部にある吸入口から事務棟屋上の排気塔へ排出される[6]。
所属車両
[編集]- 10-300形(1・2次車)
- 10-300形(3次車以降)
かつては10-000形や10-300R形、京王9000系や6000系も留置されていたが、10-300R形は2017年2月17日の10-330Fの廃車回送を最後に、10-000形は2018年2月12日の10-280Fの廃車回送を最後にそれぞれ留置が消滅し、9000系は2016年9月16日ダイヤ改正により夜間停泊が消滅した。
- 10-000形7次車
- 10-000形8次車
- 10-300R形
この他に工事重機車両と保線車両が留置されている。また構内での検修車両入換用として、トモエ電機工業(現・新トモエ電機工業)製の蓄電池機関車が配置されている[13]。
脚注
[編集]- ^ a b c d 日本鉄道車両機械協会『車両と機械』1990年9月号「最近の車両基地の動向 - 東京都交通局大島車両検修場 - 」pp.22 - 23。
- ^ a b c d e f g h 交通新聞社『鉄道ダイヤ情報』2024年6月号シリーズ車両基地 Vol.110「東京都交通局 大島車両検修場」pp.56 - 63。
- ^ a b c d e f g h i j 日本鉄道運転協会『運転協会誌』2002年8月号「東京都交通局都営新宿線の地下車庫「大島車両検修場の概要」pp.9 - 12。
- ^ a b “浸水リスクが高い「鉄道車両基地」は多数ある | 鉄道最前線”. 東洋経済オンライン. 東洋経済新報社 (2019年10月29日). 2020年11月1日閲覧。
- ^ 地上から4.3 mの高さまで構築されているが、窓や開口部はない。
- ^ a b c d e f g 日本鉄道車輌工業会『車両技術』153号(1981年6月)「東京都交通局大島車両検修場の概要」pp.74 - 84。
- ^ 交通局初!大島車両検修場でISO14001の認証を取得しました(2000年12月28日東京都交通局ニュース・インタ―ネットアーカイブ・2001年時点の版)
- ^ 東京都交通局『東京都交通局90年史』年表pp.439。
- ^ 『東京都交通局70年史』による。
- ^ その他の事業(京王グループ)(インターネットアーカイブ・2010年時点の版)
- ^ “会社概要|会社情報|京王重機整備の沿革”. 京王重機整備株式会社. 2020年11月1日閲覧。
- ^ “車両ギャラリー|鉄道車両の整備・保守”. 京王重機整備株式会社. 2020年11月1日閲覧。
- ^ 新トモエ電機工業公式サイト掲載の導入事例の記事による(2011年10月3日閲覧)。
参考文献
[編集]- 東京都交通局『東京都交通局70年史』
- 日本鉄道車輌工業会『車両技術』153号(1981年6月)「東京都交通局大島車両検修場の概要」(熊倉 修・東京都交通局車両部設計課長)
- 日本鉄道車両機械協会『車両と機械』1990年9月号「最近の車両基地の動向 - 東京都交通局大島車両検修場 - 」(東京都交通局車両車両部計画課)
- 鉄道図書刊行会『鉄道ピクトリアル』2001年7月臨時増刊号「特集:東京都営地下鉄」
- 日本鉄道運転協会『運転協会誌』2002年8月号「東京都交通局都営新宿線の地下車庫『大島車両検修場』の概要」pp.9 - 12(東京都交通局・大島車両検修場検修係 田島 勝)
- 交通新聞社『鉄道ダイヤ情報』2024年6月号シリーズ車両基地 Vol.110「東京都交通局 大島車両検修場」pp.56 - 63
関連項目
[編集]外部リンク
[編集]- 東京都交通局「大島車両検修場の概要」(インターネットアーカイブ)