外間守善

外間 守善
人物情報
生誕 (1924-12-06) 1924年12月6日
日本の旗 日本沖縄県那覇市
死没 2012年11月20日(2012-11-20)(87歳)
出身校 國學院大學東京大学
子供 外間隆史(アーティスト・音楽プロデューサー)
学問
研究分野 言語学文学沖縄学
研究機関 沖縄文化研究所
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外間 守善(ほかま しゅぜん、1924年(大正13年)12月6日[1] - 2012年(平成24年)11月20日)は、日本言語学者沖縄学研究者。沖縄学研究所所長[2]法政大学名誉教授[2]伊波普猷の後継者であり、琉球文学・文化研究の第一人者。

経歴[編集]

1924年、沖縄県那覇市に生まれる[2]。妹の静子は学童疎開で対馬丸の犠牲となった。守善は19歳の時、沖縄師範学校在学中に沖縄戦で現地入隊、第24師団歩兵第32連隊第2大隊(志村大隊)に配属される。部隊は激戦地の浦添城がある前田高地を守備し、800名の大隊が最終的に29名になっていたという。志村大隊が武装解除に応じ、屋嘉収容所に収容されたのは9月3日のことであった[3]

1950年、國學院大學文学部国文学科を卒業し[2]東京大学文学部言語研究室で学ぶ[要出典]。大学では金田一京助[4]柳田国男の教えを受け、東京大学で[要出典]服部四郎に師事する[4]。1967年和洋女子大学短期大学部教授[2]1968年(昭和43年)に法政大学教授に就任し[2]沖縄文化研究所所長などを歴任する[2]。1977年、國學院大學文学博士[2]。1988年、第6回東恩納寛惇賞受賞[4]1995年(平成7年)まで法政大学教授を務め、退職後、私財を投じ、沖縄学研究所を都内に開設した[5]。2012年(平成24年)11月20日、肺炎のために死去[6]、87歳没。

受賞・栄典[編集]

研究内容・業績[編集]

  • おもろさうし』など古代南島歌謡を基礎資料に、琉球文化の源流を解明を目指した研究を行う。歌謡集『おもろさうし』の現代語への翻訳出版口頭伝承の神歌をフィールドワークで集めた『南島歌謡大成』を編纂するなど、多くの業績を残している[1]。特に、南島歌謡の研究では、奄美・沖縄・宮古・八重山の4グループの特徴とその共通性を初めて論証した[1]
  • おもろ研究は、沖縄学の父・伊波普猷をはじめ仲原善忠比嘉春潮金城朝永ら沖縄出身の各氏によって進められていたが、外間は仲原の遺志を継いで「校本」「辞典」「索引」「校注」を完成させた[7]

人物[編集]

上皇明仁上皇后美智子に沖縄関係で度々進講[8]、琉歌の添削などもおこなっている。また、剛柔流空手八段をはじめあらゆる武道に精通し、野球陸上競技でも国体出場経験を持つ。

家族・親族[編集]

息子:外間隆史音楽プロデューサーアーティスト。隆史は姓を「そとま」と読ませている。

著書[編集]

  • 『沖縄の言語史』法政大学出版局 1971(叢書・日本文学史研究)、オンデマンド版2012
  • 『うりずんの島 沖縄文学と思想の底流』沖縄タイムス社 1971
  • おもろ語辞書 沖縄の古辞書混効験集』角川書店 1972 / 角川学芸出版 2011(オンデマンド版)
  • 『沖縄文学の世界』角川書店 1979
  • 伊波普猷論』沖縄タイムス社「タイムス選書」1979 / 平凡社(増訂版) 1993
  • 日本語の世界 9 沖縄の言葉』中央公論社 1981
    • 『沖縄の言葉と歴史』中公文庫(改訂版) 2000 
  • おもろさうし 古典を読む』岩波書店 1985 / 岩波同時代ライブラリー 1998
  • 『沖縄の歴史と文化』中公新書 1986
  • 『沖縄の祖神アマミク』築地書館 1990。桑原重美写真
  • 『南島の神歌 おもろさうし』中公文庫 1994
  • 『南島の抒情 琉歌』中公文庫 1995
  • 『南島文学論』角川書店 1995 / 角川学芸出版 2013(オンデマンド版)
  • 『海を渡る神々-死と再生の原郷信仰』角川選書 1999
  • 『沖縄学への道』岩波現代文庫 2002
  • 『私の沖縄戦記 前田高地・六十年目の証言』角川学芸出版 2006 / 角川ソフィア文庫 2012
  • 『回想80年 沖縄学への道』沖縄タイムス社 2007
  • 沖縄の食文化』新星出版 2010 / ちくま学芸文庫 2022

編纂[編集]

  • 『沖縄健児隊』大田昌秀共編 日本出版協同 1953
  • 『校本おもろさうし』仲原善忠共編 角川書店 1965
  • 『おもろさうし 辞典総索引』仲原善忠共編 角川書店 1967、第二版1978
  • 『混効験集 校本と研究』角川書店 1970
  • 『沖縄文化論叢 4 文学・芸能編』平凡社 1971
  • 『沖縄文化論叢 5 言語編』平凡社 1972[9]
  • 『宮古島の神歌』新里幸昭共編 三一書房 1972
  • 日本思想大系 18 おもろさうし西郷信綱共校注、岩波書店 1972
    • 改訂版『おもろさうし』上下、岩波文庫 2000、ワイド版2015。校注・現代語訳付
  • 伊波普猷『をなり神の島』全2巻、平凡社東洋文庫 1973、ワイド版2007
  • 『伊波普猷全集』全11巻、平凡社 1974-76、新版1993。服部四郎仲宗根政善と編集委員
  • 『南島抒情 琉歌百選』[10]仲程昌徳共著 角川選書 1974
  • 金城朝永全集』上下、大藤時彦共編 沖縄タイムス社 1974
  • 『伊波普猷 人と思想』平凡社 1976、再版1989
  • 『南島文学―おもろさうし・琉歌組踊 鑑賞日本古典文学 第25巻』角川書店 1976
  • 島袋全發『沖縄童謡集』平凡社東洋文庫 1977、ワイド版2003。校訂解説
  • 『日本民俗文化大系 12 伊波普猷 おもろ研究』講談社 1978。他は金田一京助(藤本英夫)
  • 『南島歌謡大成』全4巻、宮良安彦共編 角川書店 1978-80
  • 『日本言語学要説』佐川誠義共編 朝倉書店 1984
  • 『定本 琉球国由来記』波照間永吉共編 角川書店 1997
  • 伊波普猷『古琉球』岩波文庫 2000。校訂解説
  • 『定本 おもろさうし』波照間永吉共編 角川書店 2002

参考サイト[編集]

脚注[編集]

  1. ^ a b c 外間 守善”. 福岡アジア文化賞. 2022年4月23日閲覧。
  2. ^ a b c d e f g h 外間守善 プロフィール”. 福岡アジア文化賞委員会. 2022年4月閲覧。
  3. ^ 外間守善『私の沖縄戦記 前田高地・六十年目の証言』角川学芸出版 2006 / 角川ソフィア文庫 2012
  4. ^ a b c d 外間守善氏が死去 沖縄学の第一人者”. 琉球新報デジタル. 2022年4月23日閲覧。
  5. ^ デジタル版 日本人名大辞典+Plus 外間守善
  6. ^ 「沖縄学」先導、外間守善さん死去 天皇陛下への進講役 朝日新聞 2012年11月21日閲覧
  7. ^ 外間守善氏死去 沖縄学の一時代築いた”. 琉球新報デジタル. 2022年4月23日閲覧。
  8. ^ ほかましゅぜん【外間守善】 | ほ | 辞典”. 学研キッズネット. 2022年4月23日閲覧。
  9. ^ 全5巻で、他は歴史編・民俗編 Ⅰ・Ⅱ
  10. ^ 後年に新編『沖縄ことば咲い渡り』全3冊、仲程昌徳・波照間永吉解説、ボーダーインク 2020

外部リンク[編集]