坊っちゃん文学賞

坊っちゃん文学賞(ぼっちゃんぶんがくしょう)は、愛媛県松山市による公募形式による文学賞である。

1989年の市政100周年を機に創設[1]され、青春文学の登竜門として知られた[2]。 2019年度(第16回)からは、ショートショート専門の賞として開催されている。

概要[編集]

2017年度(第15回)までは隔年開催され、小説部門では400字詰め原稿用紙80 - 100枚[2]、2017年度のみ設けられたショートショート部門では400字詰め原稿用紙15枚以下の短編小説が募集された。ショートショート部門は、松山市出身の俳人・正岡子規と、子規の親友でもある夏目漱石2017年、生誕150年となることを記念したもの[2]

2019年度(第16回)のリニューアルから毎年開催となり、4000字以下のショートショートが募集されている。

大賞受賞作はマガジンハウス社刊行の「鳩よ!」誌上に掲載されていたが、休刊に伴って「ダカーポ」「クウネル」、2019年度(第16回)からは「ダ・ヴィンチ」と移り変わっている。

受賞作一覧[編集]

第1回-19回[編集]

回(年) 応募数 受賞・入選作 著者 初刊 文庫化
第1回(1989年) 1386編 大賞 「今日もクジラは元気だよ」[注 1] 月本裕 1990年12月
佳作 「テクノデリック・ブルー」 鳥羽耕史
「シェイク」 原尚彦
第2回(1991年) 740編 大賞 「魚のように」 中脇初枝 1993年3月 1997年10月
佳作 「ある登校拒否児の午後」 竹森茂裕
「鳥人の儀礼」 四十雀亮
第3回(1993年) 1057編 大賞 「土曜日の夜 The Heart of Saturday Night」 光山明美 1994年10月
「ノスタルジア」 巌谷藍水
佳作 「燕よ、春をつれてこい」 北沢渚
第4回(1995年) 1164編 大賞 がんばっていきまっしょい[注 2] 敷村良子 1996年7月 2005年6月
佳作 「夏の日」 鳴沢恵
「父のラブレター」 河野敬子
第5回(1997年) 1037編 大賞 「映写機カタカタ」 大武 完
佳作 「温故堂の二階から」 武石貞文
「ランニング・シャドウ」 加藤唱子
第6回(1999年) 910編 大賞 「マジックドラゴン」 長屋潤 2000年7月
佳作 「ゆれる甲板」 岡田京子
「ゆうぐれ」 桜井ひかり
第7回(2001年) 811編 大賞 「富士川」 鬼丸智彦 2006年6月
「卵の緒」 瀬尾まいこ 2002年11月 2007年7月
第8回(2003年) 1008編 大賞 「三度目の正直」 浅井柑 2004年12月
佳作 「二重奏」 岩下啓亮
「激痛ロード・グラフィティー」 時田慎也
第9回(2005年) 1067編 大賞 「ゆくとし くるとし」 大沼紀子 2006年11月 2013年4月
佳作 「坂の下の蜘蛛」 高橋亮光
「明日へ帰れ」 無茶雲
第10回(2007年) 1048編 大賞 「タロウの鉗子」[注 3] 甘木つゆこ 2008年9月
佳作 「君が咲く場所」 こみこみこ
「ともだちごっこ」 吉乃かのん
第11回(2009年) 1138編 大賞 「右手左手、左手右手」 ふじくわ綾
「なれない」 村崎えん
第12回(2011年) 1057編 大賞 「桃と灰色」 真枝志保
佳作 「星々」 遊部香
「チチノチ」 白崎由宇
第13回(2013年) 1060編 大賞 「キラキラハシル」 桐りんご
佳作 「日曜日の翌日はいつも」 相川英輔
「赤いろ黄信号」 仲村萌々子
第14回(2015年) 911編 大賞 「名もない花なんてものはない」[3] 卯月イツカ
佳作 「ひかり駆ける」 吉田勉
第15回(2017年) 小説部門
854編 大賞 「ルカの麒麟」[4] 鈴川紗以
佳作 「坂道」 塩見知伸
佳作 「星の紛れ」 荒木佳純
ショートショート部門
1087編 大賞 「オトナバー」 塚田浩司
佳作 「shell work」 小狐裕介
子規・漱石
特別賞
「はるのうた」 松山帖句

第20回-[編集]

回(年) 応募数 受賞・入選作 著者
第16回(2019年) 5628編 大賞 「羽釜」 高野ユタ
佳作 「思い出カジノ」 眞山マサハル
「今夜だけスーパースター」 草間小鳥子
「ダンスの神様」 福井雅
「プリンター」 松野志部彦
「レトルト彼」 霜月透子
第17回(2020年) 9318編 大賞 「ドリームダイバー」 山猫軒従業員・黒猫
佳作 「象と暮らして」 森水陽一郎
「枕上げの夜」 小笠原柚子
「家の家出」 石原三日月
「ハードルの係」 藤白幸枝
「海辺のカプセル」 霜月透子
第18回(2021年) 6952編 大賞 「月光キネマ」 椿あやか
佳作 「再配達」 知花沙季
「魚のタトゥー」 藤原あゆみ
「父の化石頭」 中乃森豊
「どっちつかズ」 石原三日月
「わたしは西瓜が食べられない」 伊藤見桜
第19回(2022年) 7026編 大賞 「ジャイアントキリン群」 そるとばたあ
佳作 「嘘つきは透明のはじまり」 草間小鳥子
「空色ネイル」 内池陽奈
「幻島」 霜月透子
「メトロポリスの卵」 石原三日月
「野次馬スター」 中乃森豊
第20回(2023年) 8014編 大賞 「ライフ・イズ・ア・ムービー」 望月滋斗
佳作 「鯉のぼり」 藤原チコ
「砂道教室」 尻野ベロ彦
「純愛の繭」 たておきちはる
「のどぼとけさま」 望月滋斗
「ルビぃなヤツら」 まり。

選考委員[編集]

  • 第1回 - 第5回 - 景山民夫椎名誠[審査委員長]、高橋源一郎中沢新一早坂暁
  • 第6回 - 第14回 - 椎名誠[審査委員長]、高橋源一郎、中沢新一、早坂暁
  • 第15回 -【小説部門】椎名誠[審査委員長]、早坂暁、中沢新一、高橋源一郎

      【ショートショート部門】田丸雅智[審査委員長]、ウェス・じゃん=まーく、神野紗希、水鏡なお

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ 掲載時「キャッチ Catch as catch can」に改題
  2. ^ 応募時「東高がんばっていきまっしょい」
  3. ^ 刊行時「はさんではさんで」に改題

出典[編集]

  1. ^ 坊っちゃん文学賞に応募910点 60歳以上最多、若年層は減”. 産経新聞社. 2017年12月3日閲覧。
  2. ^ a b c 坊っちゃん文学賞に新部門 短編作品含め募集開始”. 産経新聞社. 2017年12月3日閲覧。
  3. ^ 第14回坊っちゃん文学賞 大賞に卯月さん”. 愛媛新聞 (2015年11月27日). 2017年12月3日閲覧。
  4. ^ 坊っちゃん文学賞 鈴川、塚田さん大賞”. 読売新聞 (2017年11月27日). 2017年12月3日閲覧。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]