坂木司

坂木 司
(さかき つかさ)
ペンネーム 坂木 司さかき つかさ
誕生 1969年[1](日付不明)
東京都[1][2]
職業 小説家
言語 日本語
国籍 日本の旗 日本
活動期間 2002年[1][2] -
ジャンル お仕事系日常の謎小説[3]
ブラック[4]
ショートショート[5]
主題 主人公の成長
日常の謎
代表作「ひきこもり探偵」シリーズ
「ホリデー」シリーズ
和菓子のアン
主な受賞歴 第二回静岡書店大賞「映像化したい文庫部門」大賞[6](『和菓子のアン』)
デビュー作 『青空の卵』[2][3]
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(さかき つかさ、1969年[1] -)は、日本作家東京都出身[1][2]。作品の基本スタイルは「主人公の成長」と「日常の謎[9]日本推理作家協会会員[10]本格ミステリ作家クラブ会員[11]

略歴・人物[編集]

幼少時代から、活字本は児童書、漫画は『ドラえもん』、テレビアニメは『カルピス劇場』、アニメ版『リボンの騎士』等に親しむ[12]。大学卒業後[4]、気晴らしに池波正太郎の『剣客商売』を読みながらの電車通勤生活中[12]沢木耕太郎の『深夜特急』に感化されて辞職[12]。その後、当時、東京創元社社長だった戸川安宣と対面し手元にある、後に『青空の卵』に収録された短編4本の書籍化を検討され[12][13]、2002年、『青空の卵』で覆面作家としてデビューする。デビュー作を含む『ひきこもり探偵シリーズ』で注目された[3]

ペンネームの由来はデビュー作の登場人物から[12]。デビュー前にペンネームが決まっていなかったが、何も思いつかずに登場人物の名前からとった[12]。出生年・生い立ち・学歴は公開しているが他は性別すらも未公表[12]。性別などのプロフィールを公開することによって読者に先入観を与えないためである[注釈 1]

作風[編集]

作品に関しては、隙間産業[14][15] と自身引き出しの事情[15]天邪鬼な性格[14] から、他人と「被らないこと」を大切にしていると述べている[14]

何が困るかって[編集]

『何が困るかって』収録作品「ぶつり」は「Webミステリーズ!」にてオンライン小説として公開され[16]、後に『何が困るかって』に収録された[17]POP広告内のイラストは坂木自身が担当した[18]

作品リスト[編集]

ひきこもり探偵シリーズ[編集]

坂木の代表作。日常の謎を扱ったミステリであると同時に、人間関係のあり方を問う青春小説でもある。

  • 青空の卵(2002年5月 創元クライム・クラブ / 2006年2月 創元推理文庫
    • 収録作品:夏の終わりの三重奏 / 秋の足音 / 冬の贈りもの / 春の子供 / 初夏のひよこ
  • 仔羊の巣(2003年5月 創元クライム・クラブ / 2006年6月 創元推理文庫)
    • 収録作品:野生のチェシャ・キャット / 銀河鉄道を待ちながら / カキの中のサンタクロース
  • 動物園の鳥(2004年3月 創元クライム・クラブ / 2006年10月 創元推理文庫)

ホリデーシリーズ[編集]

  • ワーキング・ホリデー(2007年6月 文藝春秋[注釈 2] / 2010年1月 文春文庫[注釈 3]
    • 収録作品:宛先人不明 / 火気厳禁 / こわれ物注意 / 代金引換 / 天地無用
  • ウィンター・ホリデー(2012年1月 文藝春秋 / 2014年11月 文春文庫)
    • 収録作品:配達予告 / サンタ便(トナカイなし) / 歳末特別配送 / 初荷の酒 / ハート配達人 / 届けたい
  • ホリデー・イン(2014年5月 文藝春秋 / 2017年4月 文春文庫[注釈 4]
    • 収録作品:ジャスミンの部屋 / 大東の彼女 / 雪夜の朝 / ナナの好きなくちびる / 前へ、進 / ジャスミンの残像

二葉と隼人の事件簿シリーズ[編集]

  • 先生と僕(2007年12月 双葉社[注釈 2] / 2011年12月 双葉文庫[注釈 3]
    • 収録作品:先生と僕 / 消えた歌声 / 逃げ水のいるプール / 額縁の裏 / 見えない盗品
  • 僕と先生(2014年2月 双葉社 / 2017年6月 双葉文庫[注釈 4]
    • 収録作品:レディバード / 優しい人 / 差別と区別 / ないだけじゃない / 秋の肖像 / 指先の理由

和菓子のアンシリーズ[編集]

  • 和菓子のアン(2010年4月 光文社 / 2012年10月 光文社文庫
    • 収録作品:和菓子のアン / 一年に一度のデート / 萩と牡丹 / 甘露家 / 辻占の行方
  • 和菓子のアン - 大活字本
    • 上巻(2017年6月 埼玉福祉会)
      • 収録作品: 和菓子のアン / 一年に一度のデート / 萩と牡丹
    • 下巻(2017年6月 埼玉福祉会)
      • 収録作品:甘露家 / 辻占の行方
  • アンと青春(2016年3月 光文社 / 2018年10月 光文社文庫)
    • 収録作品: 空の春告鳥 / 女子の節句 / 男子のセック / 甘いお荷物 / 秋の道行き
  • アンと愛情(2020年10月 光文社 / 2023年8月 光文社文庫)
    • 収録作品: 甘い世界 / こころの行方 / あまいうまい / 透明不透明 / かたくなな / 冬を告げる/ 豆大福
  • アンと幸福(2023年10月 光文社)
    • 収録先品:江戸と長崎 / 秋ふかし/ 雲の上 / はしりとなごり / お菓子の神さま / 湯気と幸福

読切短編[編集]

  • ゴルフ帰り同盟(『ミステリーズ!』vol.23 JUNE 2007 2007年6月 東京創元社)- 『切れない糸』続編
  • チヨコレイコ(『ミステリーズ!』vol.45 FEBRUARY 2011 2011年2月 東京創元社)
  • 波の皺(『本の旅人』No.206 December 2012 2012年11月 角川書店) - 『大きな音が聞こえるか』刊行記念品

エッセイ[編集]

  • 3時のおやつ ふたたび(2016年2月 ポプラ文庫)「土台はいらねえ」
  • 甘い系乾きもの菓子頂上作戦(ダ・ヴィンチ 2017年3月号 2017年3月)
  • おしゃべりな銀座(2017年6月 扶桑社)「本と銀座とわたし」
  • おやつが好き(2019年4月 文藝春秋)

その他の作品[編集]

  • 切れない糸(2005年5月 創元クライム・クラブ / 2009年7月 創元推理文庫)
    • 収録作品:グッドバイからはじめよう / 東京、東京 / 秋祭りの夜 / 商店街の歳末
  • シンデレラ・ティース(2006年9月 光文社 / 2009年4月 光文社文庫)
    • 収録作品:シンデレラ・ティース / ファントムvs.ファントム / オランダ人のお買い物 / 遊園地のお姫様 / フレッチャーさんからの伝言
  • ホテルジューシー(2007年9月 角川書店[注釈 2]/ 2010年9月 角川文庫
    • 収録作品:ホテルジューシー / 越境者 / 等価交換 / 嵐の中の旅人たち / トモダチ・プライス / ≠(同じじゃない) / 微風
  • 夜の光(2008年10月 新潮社 / 2011年8月 新潮文庫
    • 収録作品:季節外れの光 / スペシャル / 片道切符のハニー / 化石と爆弾 / それだけのこと
  • 短劇(2008年12月 光文社 / 2011年2月 光文社文庫)
    • 収録作品:カフェラテのない日 / 目撃者 / 雨やどり / 幸福な密室 / MM / 迷子 / ケーキ登場 / ほどけないにもほどかある / 最後 / しつこい油 / 最後の別れ / 恐いのは / 変わった趣味 / 穴を掘る / 最先端 / 肉を拾う / ゴミ掃除 / 物件案内 / 壁 / 試写会 / ビル業務 / 並列歩行 / カミサマ / 秘祭 / 眠り姫 / いて
  • 大きな音が聞こえるか(2012年12月 角川書店 / 2015年7月 角川文庫)
  • 肉小説集(2014年10月 KADOKAWA / 2017年9月 角川文庫[注釈 5]
    • 収録作品:武闘派の爪先 / アメリカ人の王様 / 君の好きなバラ / 肩の荷(+9)/ 魚のヒレ / ほんの一部
  • 何が困るかって(2014年12月 東京創元社 / 2017年12月 創元推理文庫[注釈 4]
    • 収録作品:いじわるゲーム / 怖い話 / キグルミ星人 / 勝負 / カフェの風景 / 入眠 / ぶつり / ライブ感 / ふうん / 都市伝説 / 洗面台 / ちょん / もうすぐ五時 / 鍵のかからない部屋 / 何が困るかって / リーフ / 仏さまの作り方 / 神様の作り方
  • 女子的生活(2016年8月 新潮社)
  • 鶏小説集(2017年10月 KADOKAWA)
    • 収録作品:トリとチキン / 地鶏のひよこ / 丸ごとコンビニエント / 羽のある肉 / とべ エンド
  • 楽園ジューシー(2022年2月 KADOKAWA)
    • 収録作品:約束 / 風の音 / 境界 / ローリングカラーストーン/ フェア/君ではない/眩しさ
  • ショートケーキ。(2022年4月 文芸春秋)
    • 収録作品:ホール / ショートケーキ。 / 追いイチゴ / ままならない / 騎士と狩人

アンソロジーその他[編集]

「」内が坂木司の作品

雑誌連載中作品[編集]

  • おやつが好き(銀座百店会『銀座百点』2017年4月号 - )
  • 和菓子のアン(『ジャーロ』No.80 2022 JANUARY - )
  • きみのかたち(『紙魚の手帖』vol.04 APRIL 2022 - )
  • 山の学校(『文蔵』2011年6月号-2018年3月号)

メディア・ミックス[編集]

映画[編集]

ドラマ[編集]

漫画[編集]

  • ワーキング・ホリデー(作画:こやまあやこ マッグガーデン BLADE COMICS)
    1. 2009年3月発売
    2. 2009年9月発売
  • 青空の卵(作画:藤たまき 新書館 ウイングスコミック)
    1. 2010年12月発売
    2. 2013年4月発売
  • 和菓子のアン(作画:猪狩そよ子 白泉社 花とゆめCOMIC[24][25]
    1. 2014年6月発売
    2. 2015年7月発売
    3. 2015年10月発売

朗読化[編集]

『青空の卵』(2002年5月 創元クライム・クラブ / 2006年2月 創元推理文庫)他「ひきこもり探偵」シリーズ全3作が朗読化されている。朗読者は西山宏太朗。株式会社アールアールジェイにて運営する、スマートフォンサイト『kikubon』にて配信中。

2016年12月15日『青空の卵』、2017年4月20日『仔羊の巣』がオーディオブック配信サイト「FeBe」より配信。朗読者は寺島愛

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ かつて数回だけサイン会が行われており、その際は参加者に対し情報を口外しないようにという趣旨のカードを配布している。
  2. ^ a b c 初版には特別便『ホリデーとホテルと僕』を収録[19]
  3. ^ a b 特別便『ホリデーとホテルと僕』を収録
  4. ^ a b c 文庫版初版には特別便『ホリデーが肉だと先生が困る』を収録
  5. ^ 文庫版には特別便『ホリデーが肉だと先生が困る』を収録(公式発表なし[20])。
  6. ^ 後に『ホテルジューシー』収録
  7. ^ 後に『先生と僕』収録
  8. ^ 『青空の卵』創元推理文庫版からの収録
  9. ^ 後に『アンと青春』収録
  10. ^ 初出は『小説宝石』2012年6月号(光文社)
  11. ^ 『和菓子のアン』と共にスポーツインストラクター(スイミングインストラクター)に関するお仕事小説として『小説・マンガで見つける!すてきな仕事』第3巻で紹介された[21]
  12. ^ 後に『女子的生活』収録
  13. ^ 坂木本人より『何が困るかって』からの「どんでん返し」作品自薦

出典[編集]

  1. ^ a b c d e 「BOOKS KOBUNSHA 〈光文社書店〉『リクエスト・アンソロジー』シリーズ 坂木 司インタビュー」、『ダ・ヴィンチ』(2013年3月号) pp. 118
  2. ^ a b c d 坂木司,サカキツカサ|東京創元社”. 東京創元社. 2013年2月24日閲覧。
  3. ^ a b c 藤田香織(坂木司による小説の解説)「解説」『和菓子のアン』(初版2刷)光文社〈光文社文庫〉、2012年10月20日、403頁。ISBN 978-4-334-76484-5 
  4. ^ a b 自分に一番近い主人公”. 文藝春秋. 2016年12月25日閲覧。
  5. ^ 乾くるみ大崎梢加納朋子近藤史恵、坂木司、若竹七海「解説」『自薦 THE どんでん返し』 2巻(第1刷)、双葉社〈双葉文庫〉、265頁。ISBN 978-4-575-51962-4 
  6. ^ 初めての授賞式&懇親会を開催しました” (2013年12月8日). 2016年2月4日閲覧。
  7. ^ 坂木司「時候の挨拶」『ミステリーズ!』東京創元社、4頁。ISBN 978-4-488-03033-9 
  8. ^ 坂木司『先生と僕』(第4刷)双葉社〈双葉文庫〉、292頁。ISBN 978-4-575-51472-8 
  9. ^ 藤田香織(坂木司による小説の解説)「解説」『和菓子のアン』(初版2刷)光文社〈光文社文庫〉、2012年10月20日、402頁。ISBN 978-4-334-76484-5 
  10. ^ 会員名簿 坂木司”. 2016年7月29日閲覧。
  11. ^ 会員名簿 2015年7月現在”. 2016年8月11日閲覧。
  12. ^ a b c d e f g 作家の読書道 第76回 坂木司さん”. 本の雑誌 (2008年2月29日). 2013年2月22日閲覧。
  13. ^ 坂木司「文庫版あとがき」『青空の卵』(初版)〈創元推理文庫〉、2006年2月24日、386頁。ISBN 978-4-488-45701-3 
  14. ^ a b c 田中美保. “『何が困るかって』配信記念! 作家:坂木司インタビュー”. Reader Store. ソニー・ミュージックエンタテインメント. 2016年6月1日時点のオリジナルよりアーカイブ。2017年3月10日閲覧。
  15. ^ a b 「坂木司 ロング・インタビュー」『ジャーロ』第48巻、光文社、25頁、ISBN 978-4-334-87109-3 
  16. ^ 何が困るかって”. 東京創元社. 2017年3月16日閲覧。
  17. ^ 坂木司「初出一覧」『何が困るかって』(再版)東京創元社、230頁。ISBN 978-4-488-02744-5 
  18. ^ 12月刊行、坂木司『何が困るかって』のPOPです” (PDF). 東京創元社. 2017年3月17日閲覧。
  19. ^ 「先生と僕シリーズ」『かつくら新紀元社、20頁。ISBN 978-4-7753-1275-9 
  20. ^ 肉小説集”. KADOKAWA. 2017年10月9日閲覧。
  21. ^ 学研教育出版 編『小説・マンガで見つける!すてきな仕事』 3巻、Gakken、92頁。ISBN 978-4-05-501140-2 
  22. ^ 羽海野チカら参加の同人誌付き「パレス・メイヂ」4巻発売、書店特典も”. コミックナタリー (2015年8月20日). 2015年11月24日閲覧。
  23. ^ 坂木司のデビュー作、連続ドラマ化決定!|お知らせ|東京創元社”. 東京創元社 (2012年6月15日). 2013年2月24日閲覧。
  24. ^ 「世界から猫が消えたなら」「和菓子のアン」マンガ版発売”. コミックナタリー (2014年6月20日). 2015年3月19日閲覧。
  25. ^ 「和菓子のアン」が花とゆめで移籍連載、「ヨナ」キャラコンの結果も”. コミックナタリー (2014年12月5日). 2015年3月19日閲覧。

外部リンク[編集]

何が困るかって