地球カレンダー

地球カレンダー(ちきゅうカレンダー)は、約46億年におよぶ地球の歴史を1年に見立て、人間の時間スケールに馴染みの深いカレンダーになぞらえたもの[1][2]地球史カレンダー進化カレンダー[3]地球進化史カレンダー[4]とも呼ばれる。

地球カレンダーでは地球誕生を1月1日の午前0時、今現在を12月31日の午後12時と仮定し、地球史上の出来事をカレンダー上の日付にプロットする[2][3]。例えば、ヒトの誕生は年越しの23分前にあたる12月31日午後11時37分の出来事である[1][5]。1億年がカレンダー上では約8日に換算される[6]。カレンダー上の1日ごとに約1300万年が経過する計算になり、冥王代原生代では1日でほぼ変化しない光景が顕生代では著しく変貌する[4]

なお、地球誕生ではなく宇宙誕生を1月1日として約138億年[注 1]の宇宙の歴史を1年に落とし込む宇宙カレンダーもある。宇宙カレンダーにおいて地球をはじめとする太陽系の誕生は9月として扱われる[7]

カレンダー[編集]

日付は目安であり、参照する文献によって年代や日付の食い違いがある。また今後の研究の進展により日付が前後することもある。出来事の詳細に関しては当該記事またはその出典を参照されたい。

1月1日 - 11月17日[編集]

冥王代太古代原生代にあたる。

カレンダー上の日付 出来事など
1月1日 地球誕生。
1月5日 - 6日 ジャイアント・インパクト原始惑星が原始地球に衝突し、飛散した惑星の欠片から後にが形成される[6]
1月24日ごろ 微惑星の衝突頻度が低下して地球が冷却され、マグマオーシャンの時代が終わり、海洋が形成される[3][6]
1月下旬 - 2月中旬 生命誕生[8]
2月9日 大気中の二酸化炭素が海水に溶け、大気圧が低下し、空が晴れ渡る[6]
2月19日 プレート運動が始まり、沈み込み帯に沿って火成活動が起こり島弧が形成される[6]
2月中旬 - 3月上旬 後期重爆撃期。全海洋蒸発[8]
3月5日 2015年時点で確認されている最古の化石[3]
3月29日 シアノバクテリアの出現[3]
5月31日 大陸の形成[3]
6月1日 ストロマトライトの繁栄[3]
6月上旬 地球磁場の発生[6]
6月下旬 - 7月上旬 最低1回のスノーボールアースヒューロニアン氷期[9]
7月上旬 真核生物の出現[8]
7月下旬 シアノバクテリアを取り込んで真核生物の藻類が出現(細胞内共生説[6]
8月3日 ヌーナ超大陸の形成[3]
8月中旬 多細胞生物の出現[8]
10月中旬 ロディニア超大陸の成立[8]
10月下旬 - 11月中旬 ロディニア超大陸の分裂[6]。最低2回のスノーボールアース(スターティアン氷期マリノアン氷期[9]
11月15日 - 16日 エディアカラ生物群の繁栄[3][10]

11月18日 - 12月30日[編集]

これ以降の時代は顕生代となる。

カレンダー上の日付 出来事など
11月18日 カンブリア爆発[3][8]ゴンドワナ超大陸の形成[9]
11月19日 バージェス動物群の繁栄[10][3]
11月24日 2015年時点で知られている最古の植物化石[3]
11月27日 オルドビス紀末の大量絶滅[9]
11月28日 昆虫の繁栄[3]ローレンシア大陸バルティカ大陸およびアバロニア大陸英語版が衝突しイアペトゥス海が消滅[9]
11月29日 - 30日 上記の三大陸の衝突によりカレドニア山脈が形成される[9]
12月2日 アーケオプテリスによる地球最古の森林の形成。後期デボン紀の大量絶滅[9]
12月3日 脊椎動物が陸上に進出[9]
12月4日 木生シダ植物が大森林を形成している[10]
12月5日 爬虫類の出現[11]
12月7日 単弓類の出現[11]
12月8日 パンゲア超大陸の形成[3][11]
12月11日 スーパープルームの発生[3]
12月12日 ペルム紀末の大量絶滅[3][11]
12月13日 恐竜の出現[3][11]
12月14日 哺乳類の出現[11]。パンゲア超大陸が分裂を開始[3]
12月15日 三畳紀末の大量絶滅[11]
12月20日 被子植物[3]鳥類[11]の出現。
12月21日 前期白亜紀イグアノドンなど恐竜の繁栄[10]
12月26日 白亜紀末の大量絶滅[3][11]
12月27日 古第三紀プロパレオテリウム英語版など哺乳類の繁栄[10]暁新世-始新世温暖化極大霊長類の出現[11]
12月28日 インド亜大陸ユーラシア大陸と衝突し、ヒマラヤ山脈が形成され始める[12]。またこのころ真猿型下目が出現[11]
12月29日 南極大陸オーストラリア大陸などその他の大陸から孤立。南極環流が卓越して地球全体が寒冷化する[11]

12月31日[編集]

時刻 出来事など
4時57分 モンスーンの成立。ヒマラヤ山脈で乾燥した気流がアフリカ大陸に流れ込んで乾燥化する[12]
10時40分 人類が他の霊長目から枝分かれする[3][12]
15時39分 人類が直立二足歩行を始める[13]
20時11分 ホモ属の出現[12]
23時25分 ネアンデルタール人の出現[12]
23時37分 ホモ・サピエンスの出現[3][12]
23時51分 芸術の始まり[12]
23時58分 農耕の始まり[3]

23時59分47秒に我々に馴染み深い西暦が始まる。

利用[編集]

教育[編集]

日本においては、高等学校における地学理科)や地理歴史社会科)の題材として用いられることもある[14][15]。川口広美は、生徒に授業への興味関心を引き出すための「おもしろい」授業方法の1つとして地球カレンダーを挙げている[15]。また、後期中等教育における理科の生物分野を扱う『スクエア最新図説生物』の「生物の進化」の単元では46億年を1年に換算したカレンダーが図示されている[10]

地球カレンダーを扱った作品[編集]

関連項目[編集]

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ 出典では約137億年として計算されている。

出典[編集]

  1. ^ a b 蟹澤聰史「新刊紹介」『岩石鉱物科学』第42巻第2号、2013年、101頁、doi:10.2465/gkk.42.101a 閲覧は自由
  2. ^ a b 高川真一「海はどうしてできたのか 藤岡 換太郎 著」『日本船舶海洋工学会誌 KANRIN(咸臨)』第48巻、2013年、64頁、doi:10.14856/kanrin.48.0_64 閲覧は自由
  3. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w 森川和子「生物進化の歴史における共生と地球史カレンダー」『共生科学』第7巻第7号、2016年、96-99頁、doi:10.32137/kyosei.7.7_96 オープンアクセス
  4. ^ a b 山中敦子、村越英昭、小田泰史、川上紳一「地域で育てるWEB教材「トレジャー・プラネット」の開発と実証実験」『日本科学教育学会研究会研究報告』第17巻第6号、2003年、13頁、doi:10.14935/jsser.17.6_11 閲覧は自由
  5. ^ 坂根正弘「最終ゴールは化石資源枯渇後の代替エネルギーの確保」『日本原子力学会誌ATOMOΣ』第60巻第11号、2018年、665頁、doi:10.3327/jaesjb.60.11_655 閲覧は自由
  6. ^ a b c d e f g h 中牧弘充 (2019年10月2日). “第156回 ミュージアム・カレンダー① ―日本科学未来館”. 新日本カレンダー株式会社. 2021年5月1日閲覧。
  7. ^ サイエンスウィンドウ編集部「水を知る旅に出よう」『サイエンスウィンドウ』第4巻第2号、2010年、13頁、doi:10.1241/sciencewindow.20100402 オープンアクセス
  8. ^ a b c d e f NHK「地球大進化」プロジェクト『地球大進化 46億年・人類への旅 2 全球凍結』NHK出版、2004年5月25日、11頁。ISBN 4-14-080862-4 
  9. ^ a b c d e f g h NHK「地球大進化」プロジェクト『地球大進化 46億年・人類への旅 3 大海からの離脱』NHK出版、2003年6月25日、9頁。ISBN 4-14-080863-2 
  10. ^ a b c d e f 『スクエア最新図説生物』(改訂3版)第一学習社、2015年3月10日、282-285頁。ISBN 978-4-8040-4683-9 
  11. ^ a b c d e f g h i j k l NHK「地球大進化」プロジェクト『地球大進化 46億年・人類への旅 5 大陸大分裂』NHK出版、2004年9月30日、9頁。ISBN 4-14-080865-9 
  12. ^ a b c d e f g NHK「地球大進化」プロジェクト『地球大進化 46億年人類への旅 6 ヒト果てしなき冒険者』NHK出版、2004年11月25日、11頁。ISBN 4-14-080866-7 
  13. ^ ミッション”. 北海道大学エネルギー環境システム部門原子力システム安全工学研究室. 2021年4月28日閲覧。
  14. ^ 飯田和明「「埼玉から地学 地球惑星科学実習帳」を軸とした埼玉地学の活動(<特集>これからの地学教育をどうすすめるか)」『地学教育と科学運動』第73巻、2014年、33頁、doi:10.15080/chitoka.73.0_29 閲覧は自由
  15. ^ a b 川口広美「教師による社会系教科カリキュラム設計方法論の構築 : 高校日本史カリキュラム開発共同研究を事例として」『社会科研究』第80巻、2014年、13頁、doi:10.20799/jerasskenkyu.80.0_9 閲覧は自由
  16. ^ a b 平成14年度版(平成14年〜平成16年使用)5年”. 教科書クロニクル 小学校編. 光村図書出版. 2021年5月4日閲覧。
  17. ^ 吉田裕久・難波博孝・神野正喜・原正寛・望月真・長谷川みどり・桂聖「言語生活力の伸長をめざす国語科学習指導の研究(2)」『学部・附属学校共同研究紀要』第32号、広島大学学部・附属学校共同研究機構、2004年3月30日、131-141頁、doi:10.15027/27318 
  18. ^ つつみがおか”. 学校だより9月第11号. 福岡市立堤丘小学校 (2020年9月10日). 2021年5月4日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年5月4日閲覧。