国鉄ヒ600形貨車

国鉄ヒ600形貨車
ヒ600形、ロヒ849 1984年、高松駅
ヒ600形、ヒ849
1984年、高松駅
基本情報
車種 控車
運用者 日本国有鉄道
北海道旅客鉄道(JR北海道)、四国旅客鉄道(JR四国)、日本貨物鉄道(JR貨物)
所有者 日本国有鉄道
北海道旅客鉄道(JR北海道)、四国旅客鉄道(JR四国)、日本貨物鉄道(JR貨物)
種車 トム16000形、ワ12000形ワ22000形ワム3500形ワム20000形ワム21000形ワム23000形ワム50000形ワム90000形スム1形、テム300形、テラ1形
改造年 1954年昭和29年) - 1981年(昭和56年)
改造数 253両
消滅 2002年平成14年)
常備駅 塩釜駅隅田川駅、他
主要諸元
車体色 →黒+黄1号
軌間 1,067 mm
全長 7,830 mm
全幅 2,580 mm
全高 2,695 mm
自重 6.8 t
換算両数 0.6
走り装置 シュー式一段リンク式二段リンク式
車輪径 860 mm
軸距 3,900 mm
最高速度 65 km/h
備考 上記寸法関係は一例である
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国鉄ヒ600形貨車(こくてつヒ600がたかしゃ)は、日本国有鉄道(国鉄)が1954年昭和29年)から製作した事業用貨車控車)である。

この項目では、同時に製作されたヒ500形についても記述する。

ヒ600形[編集]

ヒ600形 ヒ713
(1984年 出雲市駅
宇高連絡船からの車輌の搬出作業に使われるヒ600形 ヒ851(1984年 高松駅

ヒ600形は構内入換用もしくは航送車両の鉄道連絡船への積み下ろし作業用の控車として1954年(昭和29年)から1981年(昭和56年)にかけてトム16000形、ワ12000形ワ22000形ワム3500形ワム20000形ワム21000形ワム23000形ワム50000形ワム90000形スム1形、テム300形、テラ1形を種車として、総数253両(ヒ600 - ヒ852)が製作された。

改造に際しては種車の上回りを撤去し、手摺小屋(詰所)を設置したが、積み下ろし作業用に改造された車両については小屋はない。

走行装置は種車の違いにより、シュー式、一段リンク式二段リンク式である。最高速度は65 km/h

1968年(昭和43年)10月1日ダイヤ改正では高速化不適格車とされて最高速度65 km/hの指定車となり、識別のため記号に「ロ」が追加され「ヒ」となり黄1号の帯を巻いている。

1987年4月の国鉄分割民営化に際しては、北海道旅客鉄道(JR北海道)に35両、四国旅客鉄道(JR四国)に16両、日本貨物鉄道(JR貨物)へ7両の計58両が継承されたが日本貨物鉄道(JR貨物)貨物取扱駅の減少や鉄道連絡船の廃止により淘汰が進み、2002年平成14年)に形式消滅した。

ヒ852は、双頭連結器に交換され、四国旅客鉄道多度津工場にて、入換機関車の次位に連結されて構内の入れ替え用として使用されているが車籍はない。

ヒ500形[編集]

国鉄ヒ500形貨車
基本情報
車種 控車
運用者 日本国有鉄道
北海道旅客鉄道(JR北海道)
所有者 日本国有鉄道
北海道旅客鉄道(JR北海道)
種車 トム16000形ワ1形テム300形ウ500形
改造年 1954年(昭和29年) - 1971年(昭和46年)
改造数 87両
消滅 1988年(昭和63年)
常備駅 函館駅五稜郭駅、他
主要諸元
車体色 黒→黒+黄1号帯
軌間 1,067 mm
全長 7,830 mm
全幅 2,614 mm
全高 2,013 mm
自重 6.5 t
換算両数 0.6
走り装置 シュー式、一段リンク式、二段リンク式
車輪径 860 mm
軸距 3,900 mm
最高速度 65 km/h
備考 上記寸法関係は一例である
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ヒ500形は航送車両の鉄道連絡船への積み下ろし作業用の控車として1954年(昭和29年)から製作された車両で、トム16000形ワ1形テム300形およびウ500形からの改造により、1971年(昭和46年)までに総数87両(ヒ500 - ヒ580)が製作された。そのうちヒ540 - ヒ545は、初代・2代目が存在し、初代はヒ300形(ヒ318 - ヒ323)に改番されている。

改造に際しては種車の上回りを撤去し、手摺を設置した。

走行装置は種車の違いにより、シュー式、一段リンク式、二段リンク式である。最高速度は65 km/h。

1968年(昭和43年)10月1日ダイヤ改正では高速化不適格車とされて最高速度65 km/hの指定車となり、識別のため記号に「ロ」が追加され「ヒ」となり黄1号の帯を巻いている。

1987年(昭和62年)4月の国鉄分割民営化に際しては、北海道旅客鉄道(JR北海道)へ3両(ヒ575、ヒ576、ヒ578)が継承されたが、青函連絡船の廃止によって1988年度に全廃となった。

保存車[編集]

2017年現在、青函連絡船メモリアルシップ八甲田丸内の車両甲板にヒ600形ヒ760・ヒ833・ヒ834・ヒ835の4両が保存展示されている[1]。また、同船にほど近い岸壁にもヒ759がヨ14493と連結されて展示されていたが、痛みが激しく、2021年8月に撤去された。

脚注[編集]

  1. ^ 特定非営利活動法人あおもりみなとクラブ. “1階 車両甲板”. 青函連絡船メモリアルシップ八甲田丸公式ウェブサイト. 2017年9月4日閲覧。

参考文献[編集]

  • イカロス出版『J-train』
    • 岡田誠一「国鉄事業用車カタログ1980 Part2 電車・貨車編」2006年 Vol.21
    • 吉岡心平「昭和50年の貨車情勢」2008年 Vol.31
  • ネコ・パブリッシング
    • Rail Magazine』「JR事業用車のすべて」2001年12月号 Vol.219
    • 『トワイライトゾ〜ン MANUAL5』吉岡心平「控え〜ぃ、控えいっ! 〜控車。貨車入れ換えに活躍した裏方車輌〜」
    • 吉岡心平『控車のすべて』(初版)ネコ・パブリッシング〈RM LIBRARY 221〉、2018年1月1日。ISBN 978-4-7770-5420-6 
  • 電気車研究会 『鉄道ピクトリアル
    • 吉岡心平「JR貨車/私有貨車の全て」1990年2月号 No.523
  • 誠文堂新光社
    • 岡田直昭・谷雅夫『新版 国鉄客車・貨車ガイドブック』1978年

関連項目[編集]