国鉄ケ160形蒸気機関車

ケ160形は、かつて日本国有鉄道およびその前身である鉄道省等に在籍した、特殊狭軌線タンク式蒸気機関車である。

概要[編集]

鉄道省が、工事用に1922年(大正11年)に雨宮製作所で10両(ケ160 - ケ169[1])を製造した、車軸配置0-6-0(C)、公称8トン、飽和式2気筒単式のサイドタンク機関車である。特徴的なのは、蒸気ドームの頂上に置かれた大きな加減弁で、このあたりは先行するケ100形(第1種)と共通する意匠である。設計は、雨宮側が行い、鉄道省が承認する形であった。他に、類似した形態の機関車を雨宮製作所は製造していない。また、本形式は雨宮製作所が鉄道省から受注した最後の形式となった。

これらは1922年9月に落成し、ケ160 - ケ162の3両は東京建設事務所、ケ163 - ケ165の3両は長岡建設事務所、ケ166の1両は大分建設事務所、ケ167, ケ168の2両は秋田建設事務所、ケ169の1両は新庄建設事務所に配置された。その後は、ケ165を除いて一度は上越線清水トンネル)の建設に従事したことがあり、ケ160とケ167以外の8両は晩年、信濃川電気事務所(信濃川発電所)に集結した。残りの2両の最後は岡山建設事務所での赤穂線の建設であった。

廃車は、ケ167が1951年(昭和26年)度、ケ160が1953年(昭和28年)度であった。信濃川電気事務所の8両は、1954年(昭和29年)8月に一斉に廃車となった。そのうち、ケ167については、井笠鉄道に貸し出された記録が残っている。

施設局における車蒸番号は、番号順に7, 9, 26, 6, 10, 23, 17, 8, 20, 21であった。

主要諸元[編集]

  • 全長:5,450mm
  • 全高:2,800mm
  • 最大幅:1,650mm
  • 軌間:762mm
  • 車軸配置:0-6-0(C)
  • 動輪直径:572mm
  • 弁装置ワルシャート式
  • シリンダー(直径×行程):178mm×305mm
  • ボイラー圧力:11.2kg/cm2
  • 火格子面積:0.36m2
  • 全伝熱面積:11.5m2
  • 機関車運転整備重量:8.37t
  • 機関車動輪上重量(運転整備時):8.37t
  • 機関車動輪軸重(各軸均等):2.7t
  • 水タンク容量:0.80m3
  • 燃料積載量:0.26t
  • 機関車性能
    • シリンダ引張力:1,610kg
  • ブレーキ方式:手ブレーキ

脚注[編集]

  1. ^ 製造番号は、305 - 314であったと臼井茂信は推定している。

参考文献[編集]

  • 臼井茂信「日本蒸気機関車形式図集成 2」1969年、誠文堂新光社
  • 臼井重信「機関車の系譜図 3」1976年、交友社
  • 臼井茂信「国鉄狭軌軽便線 5」鉄道ファン1983年6月号(No.266)
  • 金田茂裕「形式別・国鉄の蒸気機関車 国鉄軽便線の機関車」1987年、エリエイ出版部刊