別所重宗
| 時代 | 戦国時代 - 安土桃山時代 |
|---|---|
| 生誕 | 不明[1] |
| 死没 | 天正19年6月6日（1591年7月26日） |
| 改名 | 貞岳宗永（法名）、重宗 |
| 別名 | 孫右衛門尉（通称）[2]、重棟（諱） |
| 戒名 | 徳厳院貞岳[3] |
| 官位 | 主水正[2] |
| 主君 | 別所就治、安治、長治、豊臣秀吉 |
| 氏族 | 別所氏 |
| 父母 | 別所就治 |
| 兄弟 | 安治、吉親、重宗、治之、治友、淡河定範室 |
| 妻 | 正室：福島正信長女 |
| 子 | 吉治、宗治、蔵人、重家、福島正之、別所孫次郎室他 |
別所 重宗（べっしょ しげむね）は、戦国時代から安土桃山時代にかけての武将、大名。名は重棟（読み同じ）とも[2]。
生涯[編集]
前半生[編集]
播磨国美嚢郡の三木城（兵庫県三木市）を本拠とする、別所村治（就治）の三男として生まれる[4]。
天文21年（1552年）の時点で、重宗は貞岳宗永と名乗り、加東郡垂井荘の徳岩寺（小野市）の住持を務めている[4]。叔父・西花宗竹の跡を継いだもので、「実に英俊の少年也」と賞された[4]。
永禄2年（1559年）には、父・村治が攻略した依藤氏の居城・豊地城（小野市[5]）へと入った[4]。
長兄・安治は永禄11年（1568年）2月を最後に史料上から姿を消し、その子・長治が家督を継ぐ[6]。重宗は次兄の吉親（賀相）と共にその補佐役となった[7]。
永禄11年（1568年）9月、織田信長に擁され足利義昭が上洛すると、別所氏はそれまで協力関係にあった三好三人衆と手を切って、義昭・信長方に付いたものとみられる[6]。
『別所長治記』によると、永禄12年（1569年）1月、重宗は別所氏を代表して三好三人衆らとの戦いに出陣し、将軍・義昭からその活躍を褒されたという[8]。これにより重宗は増長し、吉親と不和になったとされる[8][注釈 1]。
永禄13年（1570年）1月、信長が近国の大名らに上洛を促したが、重宗も長治と共にその対象となっていた[2]。これは、重宗が別所家と別家扱いされたためとみられる[2]。同年9月、重宗は野田城・福島城の戦いに参陣[2]。天正3年（1575年）7月及び天正4年（1576年）11月、長治と共に上洛して信長に謁見した[2]。天正5年（1577年）2月には雑賀攻めに加わっている[2]。
天正5年（1577年）10月、播磨平定のため羽柴秀吉が播磨に入国し[10]、同年12月、秀吉は重宗の娘と黒田孝高の嫡男・長政の縁組を進めた[11]。
三木合戦と戦後の重宗[編集]
天正6年（1578年）2月[12]、または3月初頭[13]、長治は吉親らと共に信長から離反した（三木合戦）[14]。重宗は長治らを説得したが叶わず[15]、織田方に付く重宗は別所宗家と敵対することとなった[16]。
同年4月2日、重宗の守る加古郡阿閇城（加古川市）が、別所氏を支援する毛利軍と紀伊雑賀衆により攻められたが、黒田孝高の援軍を受けこれを撃退した[17]。また、この月の12日にかけて行われた野口城（加古川市）攻めに加わって、重宗は負傷している[18]。6月には梶原景秀の守る高砂城（高砂市[19]）を攻めている[20]。
天正8年（1580年）1月15日、重宗は三木城への使者となり、長治・吉親・友之（長治の弟）に切腹を勧めた[21]。それを受け入れた長治らは同月17日に自害し、三木城は開城した[22]。
その後間もなく剃髪したのか、天正13年（1585年）6月に津田宗及の茶会に参加した際の記録に「別所孫右入（入道）」と記されている[16]。
この年の閏8月、重宗は秀吉から但馬国に1万5千石[23][24]、または1万2千石を与えられ[25]、八木城へと入城した[24]。その後は九州平定や小田原征伐に従軍し、のち堺に隠居したという[16][24]。
天正19年（1591年）6月6日、死去した[26][24]。
妻子[編集]
福島正則の姉を娶り[27]、その子の正之は正則の養嗣子（後に廃嫡）となっている[27][28]。
系譜[編集]
関連作品[編集]
脚注[編集]
注釈[編集]
出典[編集]
- ^ 谷口 2010, pp. 398–399.
- ^ a b c d e f g h 谷口 2010, p. 398.
- ^ a b c 柏木 2018, p. 587.
- ^ a b c d 金松 2021, p. 16.
- ^ 金松 2021, p. 15.
- ^ a b 金松 2021, p. 17.
- ^ 谷口 2010, p. 398; 渡邊 2016, p. 127.
- ^ a b 谷口 2010, pp. 398–400.
- ^ 山上登志美「別所重棟の虚像と実像―『別所記』に見る赤松氏の誇り―」『甲南国文』第45号、1998年。
- ^ 谷口 2010, pp. 398, 400.
- ^ 谷口 2010, p. 398; 渡邊 2016, p. 131; 金松 2021, p. 26.
- ^ 谷口 2010, p. 400.
- ^ 金松 2021, p. 28.
- ^ 谷口 2010, pp. 398–400; 金松 2021, pp. 26–27.
- ^ 谷口 2010, p. 399; 金松 2021, p. 27.
- ^ a b c 谷口 2010, p. 399.
- ^ 谷口 2010, p. 399; 金松 2021, pp. 31–32.
- ^ 金松 2021, p. 32.
- ^ 金松 2021, p. 18.
- ^ 金松 2021, p. 35.
- ^ 谷口 2010, p. 399; 金松 2021, p. 59.
- ^ 谷口 2010, pp. 399–400; 金松 2021, pp. 59–61.
- ^ 谷口 2010, pp. 399–400.
- ^ a b c d 八鹿町 編『八鹿町史 上巻』八鹿町、1971年、210頁。全国書誌番号:73022182。
- ^ 今井修平ほか 編『兵庫県の歴史』（2版）山川出版社〈県史 28〉、2011年8月30日、179-180頁。ISBN 978-4-634-32281-3。
- ^ 谷口 2010, p. 399; 柏木 2018, p. 587.
- ^ a b c d 『寛政重脩諸家譜 第八輯』國民圖書、1923年、565–566頁。全国書誌番号:21329102。
- ^ a b c d e 寛政重脩諸家譜 第三輯, p. 459.
- ^ 広島県 編『広島県史 近世1 通史III』広島県、1981年、70–71頁。全国書誌番号:82016774。
- ^ a b c d e 田畑喜右ヱ門 撰; 斎木一馬・岩沢愿彦 校訂『断家譜 第一』続群書類従完成会、1968年、142–143頁。全国書誌番号:73020487。
- ^ 柏木 2018, p. 588; 寛政重脩諸家譜 第三輯, pp. 458, 460.
- ^ 柏木 2018, p. 587; 寛政重脩諸家譜 第三輯, pp. 458, 460.
- ^ 寛政重脩諸家譜 第三輯, p. 460.
- ^ 柏木 2018, p. 587; 寛政重脩諸家譜 第三輯, p. 458.
- ^ 寛政重脩諸家譜 第三輯, pp. 458, 461.
- ^ a b 柏木 2018, p. 588; 寛政重脩諸家譜 第三輯, p. 461.
参考文献[編集]
- 柏木輝久 著; 北川央 監修『大坂の陣 豊臣方人物事典』（2版）宮帯出版社、2018年、587–588頁。ISBN 978-4-8016-0007-2。
- 金松誠『秀吉の播磨攻めと城郭』戎光祥出版〈図説 日本の城郭シリーズ16〉、2021年。ISBN 978-4-86403-385-5。
- 谷口克広『織田信長家臣人名辞典 第2版』吉川弘文館、2010年。ISBN 978-4-642-01457-1。
- 渡邊大門 著「三木合戦」、日本史史料研究会 監修; 渡邊大門 編『信長軍の合戦史 1560–1582』吉川弘文館、2016年。ISBN 978-4-642-08297-6。
- 『寛政重脩諸家譜 第三輯』國民圖書、1923年、458–461頁。全国書誌番号:21329093。