全球団から本塁打

全球団から本塁打(ぜんきゅうだんからほんるいだ)は、あるプロ野球リーグに加盟する全ての球団から公式戦で本塁打を記録することである。

日本プロ野球[編集]

日本野球機構(NPB)に加盟する全12球団[注 1]と公式戦で対戦し、それぞれの球団の投手から本塁打を記録する。

その選手自身の所属する球団から本塁打を記録することはできず、記録を達成するにはNPB他球団への移籍が必要である。加えて2005年セ・パ交流戦制度が導入される以前は別リーグ球団との公式戦がなかったため、セントラルパシフィックの各リーグで2球団以上所属(最少3回の移籍)する必要があった。同制度が導入されてからはリーグを問わず2球団以上所属(最少1回の移籍)すれば達成できるようになり、それ以前と比べると達成者が大幅に増えている。

達成者[編集]

セ・パ12球団制となった1958年以降、2024年4月13日現在の達成者は44人(大阪近鉄バファローズ東北楽天ゴールデンイーグルスを含む13球団からの達成者は8人)である。このうち、セ・パ両リーグに2球団ずつ所属して達成したのは江藤慎一、富田勝、加藤英司、中村紀洋の4人である(中村以外の3人はセ・パ交流戦導入以前の記録。中村はセ・パ交流戦導入後だが、同一リーグ間の対戦のみで全球団本塁打を達成している[注 2])。

  • ◎は、大阪近鉄バファローズ東北楽天ゴールデンイーグルスを含む13球団から本塁打を記録した選手。
  • ◎の表記のない選手は、達成時の既存12球団から本塁打を記録した選手。
  • ▲は、2004年以前より現役で、かつ公式戦では近鉄との対戦機会がないか、近鉄から本塁打を記録していない選手。
  • 選手名の太字表記は2023年1月現在のNPB在籍選手。所属球団はNPB在籍球団のみ記す。また太字表記は全球団から本塁打達成時の所属球団。
選手 所属
球団
達成日 対戦
相手
備考 通算
本塁打
江藤慎一 中日ドラゴンズ(1959年 - 1969年)
ロッテオリオンズ(1970年 - 1971年)
大洋ホエールズ(1972年 - 1974年)
太平洋クラブライオンズ(1975年)
ロッテオリオンズ(1976年)
1975年6月1日 ロッテ 日本プロ野球初
セ・パ交流戦導入以前の達成
367本
富田勝 南海ホークス(1969年 - 1972年)
読売ジャイアンツ(1973年 - 1975年)
日本ハムファイターズ(1976年 - 1980年)
中日ドラゴンズ(1981年)
1981年8月26日 巨人 セ・パ交流戦導入以前の達成 107本
加藤英司 阪急ブレーブス(1969年 - 1982年)
広島東洋カープ(1983年)
近鉄バファローズ(1984年 - 1985年)
読売ジャイアンツ(1986年)
南海ホークス(1987年)
1986年5月10日 広島 セ・パ交流戦導入以前の達成 347本
金本知憲 広島東洋カープ(1993年 - 2002年)
阪神タイガース(2003年 - 2012年)
2005年6月10日 日本ハム
セ・パ交流戦導入以降で初、単独リーグ所属での達成も初
476本
フェルナンド・セギノール オリックス・ブルーウェーブ(2002年)
北海道日本ハムファイターズ(2004年 - 2007年)
東北楽天ゴールデンイーグルス(2008年 - 2009年)
オリックス・バファローズ(2010年)
2005年7月2日 楽天
外国人初、13球団から初
172本
フリオ・ズレータ 福岡ダイエーホークス
福岡ソフトバンクホークス
(2003年 - 2006年)
千葉ロッテマリーンズ(2007年 - 2008年)
2007年4月1日 ソフトバンク 145本
グレッグ・ラロッカ 広島東洋カープ(2004年 - 2005年)
ヤクルトスワローズ(2006年)
オリックス・バファローズ(2007年 - 2010年)
2007年4月5日 ロッテ 116本
タフィ・ローズ 大阪近鉄バファローズ(1996年 - 2003年)
読売ジャイアンツ(2004年 - 2005年)
オリックス・バファローズ(2007年 - 2009年)
2007年5月27日 巨人 464本
アレックス・ラミレス ヤクルトスワローズ(2001年 - 2007年)
読売ジャイアンツ(2008年 - 2011年)
横浜DeNAベイスターズ(2012年 - 2013年)
2008年3月28日 ヤクルト [注 3] 380本
新井貴浩 広島東洋カープ(1999年 - 2007年)
阪神タイガース(2008年 - 2014年)
広島東洋カープ(2015年 - 2018年)
2008年5月14日 広島 319本
アレックス・カブレラ 西武ライオンズ(2001年 - 2007年)
オリックス・バファローズ(2008年 - 2010年)
福岡ソフトバンクホークス(2011 - 2012年)
2008年5月9日 西武 357本
谷佳知 オリックス・ブルーウェーブ
オリックス・バファローズ(1997年 - 2006年)
読売ジャイアンツ(2007年 - 2013年)
オリックス・バファローズ(2014年 - 2015年)
2008年6月3日 オリックス
日本人では初となる13球団からの達成
133本
タイロン・ウッズ 横浜ベイスターズ(2003年 - 2004年)
中日ドラゴンズ(2005年 - 2008年)
2008年6月6日 日本ハム 240本
北川博敏 阪神タイガース(1995年 - 2000年)
大阪近鉄バファローズ(2001年 - 2004年)
オリックス・バファローズ(2005年 - 2012年)
2008年6月23日 ヤクルト 102本
和田一浩 西武ライオンズ(1997年 - 2007年)
中日ドラゴンズ(2008年 - 2015年)
2009年5月19日 西武 319本
多村仁志 横浜ベイスターズ(1995年 - 2006年)
福岡ソフトバンクホークス(2007年 - 2012年)
横浜DeNAベイスターズ(2013年 - 2015年)
中日ドラゴンズ(2016年)
2009年6月2日 横浜 195本
石井琢朗 横浜大洋ホエールズ
横浜ベイスターズ(1989年 - 2008年)
広島東洋カープ(2009年 - 2012年)
2009年7月4日 横浜
通算100本塁打と同時達成
102本
二岡智宏 読売ジャイアンツ(1999年 - 2008年)
北海道日本ハムファイターズ(2009年 - 2013年)
2010年5月19日 巨人 173本
小笠原道大 日本ハムファイターズ
北海道日本ハムファイターズ(1997年 - 2006年)
読売ジャイアンツ(2007年 - 2013年)
中日ドラゴンズ(2014年 - 2015年)
2010年6月4日 日本ハム 378本
ホセ・フェルナンデス 千葉ロッテマリーンズ(2003年)
西武ライオンズ(2004年 - 2005年)
東北楽天ゴールデンイーグルス(2006年 - 2008年)
オリックス・バファローズ(2009年)
埼玉西武ライオンズ(2010年 - 2011年)
東北楽天ゴールデンイーグルス(2012年)
オリックス・バファローズ(2013年)
2011年5月22日 阪神 206本
内川聖一 横浜ベイスターズ(2001年 - 2010年)
福岡ソフトバンクホークス(2011年 - 2020年)
東京ヤクルトスワローズ(2021年 - 2022年)
2011年6月19日 横浜 196本
中村紀洋 近鉄バファローズ
大阪近鉄バファローズ(1992年 - 2004年)
オリックス・バファローズ(2006年)
中日ドラゴンズ(2007年 - 2008年)
東北楽天ゴールデンイーグルス(2009年 - 2010年)
横浜ベイスターズ
横浜DeNAベイスターズ(2011年 - 2014年)
2012年5月4日 中日
セ・パ交流戦とは無関係に達成
404本
ターメル・スレッジ 北海道日本ハムファイターズ(2008年 - 2009年)
横浜ベイスターズ(2010年 - 2011年)
北海道日本ハムファイターズ(2012年)
2012年5月22日 DeNA 96本
村田修一 横浜ベイスターズ(2003年 - 2011年)
読売ジャイアンツ(2012年 - 2017年)
2012年8月4日 DeNA 360本
トニ・ブランコ 中日ドラゴンズ(2009年 - 2012年)
横浜DeNAベイスターズ(2013年 - 2014年)
オリックス・バファローズ(2015年 - 2016年)
2013年3月31日 中日 181本
糸井嘉男 北海道日本ハムファイターズ(2004年 - 2012年)
オリックス・バファローズ(2013年 - 2016年)
阪神タイガース(2017年 - 2022年)
2013年5月11日 日本ハム 171本
相川亮二 横浜ベイスターズ(1995年 - 2008年)
東京ヤクルトスワローズ(2009年 - 2014年)
読売ジャイアンツ(2015年 - 2017年)
2013年6月5日 楽天 69本
吉村裕基 横浜ベイスターズ
横浜DeNAベイスターズ(2003年 - 2012年)
福岡ソフトバンクホークス(2013年 - 2018年)
2014年5月29日 DeNA
全打順本塁打も達成
131本
アーロム・バルディリス 阪神タイガース(2008年 - 2009年)
オリックス・バファローズ(2010年 - 2013年)
横浜DeNAベイスターズ(2014年 - 2015年)
2015年5月27日 オリックス [1] 93本
大引啓次 オリックス・バファローズ(2007年 - 2012年)
北海道日本ハムファイターズ(2013年 - 2014年)
東京ヤクルトスワローズ(2015年 - 2019年)
2015年9月10日 DeNA 現時点で達成者の中で最少の通算本塁打数 48本
中島宏之 西武ライオンズ
埼玉西武ライオンズ(2001年 - 2012年)
オリックス・バファローズ(2015年 - 2018年)
読売ジャイアンツ(2019年 - 2023年)
中日ドラゴンズ(2024年 - )
2016年9月22日 西武
現時点で最後の13球団から達成者
(現役)
ホセ・ロペス 読売ジャイアンツ(2013年 - 2014年)
横浜DeNAベイスターズ(2015年 - 2020年)
2017年6月6日 楽天 198本
福留孝介 中日ドラゴンズ(1999年 - 2007年)
阪神タイガース(2013年 - 2020年)
中日ドラゴンズ(2021年 - 2022年)
2018年6月14日 日本ハム 285本
丸佳浩 広島東洋カープ(2008年 - 2018年)
読売ジャイアンツ(2019年 - )
2019年4月17日 広島 [注 4] (現役)
大田泰示 読売ジャイアンツ(2009年 - 2016年)
北海道日本ハムファイターズ(2017年 - 2021年)
横浜DeNAベイスターズ(2022年 - )
2019年6月9日 阪神 (現役)
浅村栄斗 埼玉西武ライオンズ(2009年 - 2018年)
東北楽天ゴールデンイーグルス(2019年 - )
2019年6月14日 広島 全打順本塁打も達成 (現役)
ブランドン・レアード 北海道日本ハムファイターズ(2015年 - 2018年)
千葉ロッテマリーンズ(2019年 - 2022年)
2019年6月22日 ヤクルト 213本
ステフェン・ロメロ オリックス・バファローズ(2017年 - 2019年)
東北楽天ゴールデンイーグルス(2020年)
オリックス・バファローズ(2021年)
2020年7月22日 オリックス 96本
長野久義 読売ジャイアンツ(2010年 - 2018年)
広島東洋カープ(2019年 - 2022年)
読売ジャイアンツ(2023年 - )
2020年9月22日 巨人 (現役)
ゼラス・ウィーラー 東北楽天ゴールデンイーグルス(2015年 - 2020年)
読売ジャイアンツ(2020年 - 2022年)
2021年5月25日 楽天 135本
ウラディミール・バレンティン 東京ヤクルトスワローズ(2011年 - 2019年)
福岡ソフトバンクホークス(2020年 - 2021年)
2021年6月13日 ヤクルト NPB通算300本塁打・NPB通算1000安打と同時達成 301本
中田翔 北海道日本ハムファイターズ(2008年 - 2021年)
読売ジャイアンツ(2021年 - 2023年)
中日ドラゴンズ(2024年 - )
2022年5月28日 日本ハム (現役)
森友哉 埼玉西武ライオンズ(2014年 - 2022年)
オリックス・バファローズ(2023年 - )
2023年6月17日 ヤクルト [2] (現役)
山川穂高 埼玉西武ライオンズ(2014年 - 2023年)
福岡ソフトバンクホークス(2024年 - )
2024年4月13日 西武 (現役)

あと1球団で達成する選手[編集]

NPB所属の現役選手のみ。現所属球団からのホームランでの達成は除く。

参考までに、仮に中村剛也埼玉西武ライオンズ)がNPB他球団に移籍し、対西武戦において本塁打を打った場合、大阪近鉄バファローズを含む13球団からの本塁打を達成することになると同時に、最後の同記録達成者になる[注 5]

メジャーリーグベースボール[編集]

全30球団から本塁打を記録すると達成できる。日本プロ野球に比べて移籍の頻度が多いものの、球団数が多く交流戦が少ないため、達成は非常に困難である。2024年現在、マニー・ラミレスサミー・ソーサマイク・ピアッツァなど30人が達成している。

韓国プロ野球[編集]

全10球団から本塁打を記録すると達成できる。解散した3球団を含めることもある。韓国プロ野球は単一のKBOリーグのみであるため、日本より達成は容易である。

台湾プロ野球[編集]

全5球団から本塁打を記録すると達成できる。解散した4球団を含めることもある。

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ 2004年大阪近鉄バファローズオリックス・バファローズとの合併により消滅したこと、および2005年シーズンから東北楽天ゴールデンイーグルスパシフィック・リーグに参加したことにより、13球団からの本塁打を記録した者と近鉄とは対戦したことがない者が存在する。
  2. ^ 中村は2009年に楽天に移籍した時点で、中日戦で本塁打を打てば全球団本塁打達成であったが、楽天在籍時の交流戦では中日から本塁打を打てず、横浜(DeNA)移籍後にリーグ戦で中日から本塁打を打って達成した。
  3. ^ 2001年の日本シリーズで近鉄から本塁打を記録している。
  4. ^ FA権行使により広島から読売へ移籍した際の人的補償選手である長野久義も後に達成している。
  5. ^ 大阪近鉄最終年の2004年以前にプロ入りし、2023年現在、現役の野手は記録達成済の中島及び中村も含め4名となったが、2004年以前はセ・リーグ球団のみ在籍の青木宣親と、対戦歴があり、且つ中村同様移籍の可能性はあっても、対近鉄戦での本塁打がない栗山巧はこの記録を達成することは不可能。

出典[編集]

関連項目[編集]