全日本仏教会

公益財団法人全日本仏教会
JAPAN BUDDHIST FEDERATION
仏旗
仏旗
団体種類 公益財団法人
設立 2012年4月
所在地 東京都港区芝公園4丁目7番4号
北緯35度39分25.9秒 東経139度44分48.6秒 / 北緯35.657194度 東経139.746833度 / 35.657194; 139.746833座標: 北緯35度39分25.9秒 東経139度44分48.6秒 / 北緯35.657194度 東経139.746833度 / 35.657194; 139.746833
法人番号 8010405010453 ウィキデータを編集
起源 仏教懇話会
主要人物 会長 大谷暢裕
活動地域 日本の旗 日本
主眼 仏陀の和の精神を基調とし、相互の緊密な連絡提携のもとに、全国の各種仏教運動に全一性と計画性をもたせ、真に時代に即応する活発な全一仏教運動の展開と仏教による国際文化の交流を促進し、もって、仏教文化の宣揚と世界平和の進展に寄与すること
活動内容 各種仏教運動の総合的企画及び促進 他
ウェブサイト www.jbf.ne.jp ウィキデータを編集
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公益財団法人全日本仏教会(ぜんにほんぶっきょうかい)は、日本の伝統仏教諸宗派(2012年4月現在59宗派)によって合同で設立された伝統仏教を代表する財団法人。略称は「全仏」(ぜんぶつ)。「ぜんふつ」は誤読。仏旗および法輪をシンボルとして掲げる[1]。2018年時点で、59の宗派、36の都道府県仏教会、10の各種仏教団体が加盟している[2]。日本の伝統仏教界を代表する唯一の総連合体である[2]

加盟団体に所属する寺院・教会等は7万を超える[2]。日本仏教界を代表して世界仏教徒連盟に加盟している[2]ほか、神道キリスト教新宗教の連合体と日本宗教連盟を構成している[2]。その名称から、弁護士会と同様、日本の伝統仏教諸宗派・寺院全てが加盟していると思われがちだが、実際には全仏に加盟していない宗派・単立本山寺院も存在する(日蓮正宗など)。一方で、仏教系新宗教である念法眞教孝道教団本門佛立宗が全仏に加盟している。また、国柱会日本山妙法寺大僧伽など、全仏を脱退した団体も存在する。

会長職は各派の管長が2年交代で務める。2022年4月現在の会長は真宗大谷派門主の大谷暢裕[3]

歴史[編集]

1900年明治33年)に設立された国家の宗教統制に反対して結成された「仏教懇話会」に淵源を持ち[2]、「大日本仏教会」「日本仏教連合会」を経て[2]、1957年(昭和32年)友松円諦が中心となって再組織化し、財団法人全日本仏教会と改称[2]2012年平成24年)4月に公益財団法人となる[2]

組織[編集]

組織図[編集]

公式ホームページで確認できる組織図は以下の通り。巨大組織であるが故に複雑な構造となっている。なお、団体では「機構図」と呼んでいる[4]

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
会長
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
副会長
 
WFB日本センター
 
 
評議員会
 
評議員選定委員会
 
 
 
 
 
 
宗派代議員会議
 
 
 
理事会
 
監事
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
都道府県仏教会
仏教団体代議員会議
 
 
 
 
 
 
 
 
 
総務財政審議会
社会人権審議会
国際交流審議会
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
事務総局
関西支部
 
 
宗教教育推進委員会
 

事務総局[編集]

  • 総務部
  • 財務部
  • 広報文化部
  • 社会人権部
  • 国際部
  • 関西支局

諮問委員会[編集]

  • 総務財政審議会
  • 社会人権審議会
  • 国際交流審議会

加盟団体[編集]

計106団体(平成30年11月現在)

歴代会長[編集]

期別 氏名 在任時期 肩書 自坊
第2期 大谷光照 1955年07月 - 1957年10月 浄土真宗本願寺派門主 西本願寺
第3期 高階瓏仙 1957年10月 - 1959年10月 曹洞宗管長 永平寺總持寺
第4期 大谷光暢 1959年10月 - 1961年10月 真宗大谷派門首 東本願寺
第5期 大谷光照 1961年10月 - 1963年10月 浄土真宗本願寺派門主 西本願寺
第6期 高階瓏仙 1963年10月 - 1965年12月 曹洞宗管長 永平寺・總持寺
第7期 岸信宏 1965年12月 - 1967年12月 浄土門主 知恩院
第8期 大谷光暢 1967年12月 - 1969年12月 真宗大谷派門首 東本願寺
第9期 大谷光照 1969年12月 - 1971年12月 浄土真宗本願寺派門主 西本願寺
第10期 岩本勝俊 1971年12月 - 1972年3月 曹洞宗管長 總持寺
第10期 佐藤泰舜 1972年04月 - 1973年8月 曹洞宗管長 永平寺
第11期 佐藤泰舜 1973年09月 - 1976年3月 曹洞宗管長 永平寺
第12期 大谷光暢 1976年04月 - 1978年3月 真宗大谷派門首 東本願寺
第13期 大谷光真 1978年04月 - 1980年3月 浄土真宗本願寺派門主 西本願寺
第14期 秦慧玉 1980年04月 - 1982年3月 曹洞宗管長 永平寺
第15期 金子日威 1982年04月 - 1984年3月 日蓮宗管長 池上本門寺
第16期 藤井実応 1984年04月 - 1986年3月 浄土門主 知恩院
第17期 阿倍野竜正 1986年04月 - 1988年3月 高野山真言宗管長 金剛峯寺
第18期 大谷光真 1988年04月 - 1990年3月 浄土真宗本願寺派門主 西本願寺
第19期 春見文勝 1990年04月 - 1992年3月 臨済宗妙心寺派管長 妙心寺
第20期 山田惠諦 1992年04月 - 1994年3月 天台座主 延暦寺
第21期 中村康隆 1994年04月 - 1996年3月 浄土門主 知恩院
第22期 高井隆秀 1996年04月 - 1998年3月 真言宗智山派管長 智積院
第23期 濱野堅照 1998年04月 - 2000年3月 真言宗豊山派管長 長谷寺
第24期 大谷暢顯 2000年04月 - 2002年3月 真宗大谷派門首 東本願寺
第25期 大谷光真 2002年04月 - 2004年3月 浄土真宗本願寺派門主 西本願寺
第26期 藤井日光 2004年04月 - 2006年3月 日蓮宗管長 久遠寺
第27期 大道晃仙 2006年04月 - 2008年3月 曹洞宗管長 總持寺
第28期 松長有慶 2008年04月 - 2010年3月 高野山真言宗管長 金剛峯寺
第29期 河野太通 2010年04月 - 2012年3月 臨済宗妙心寺派管長 妙心寺
第30期 半田孝淳 2012年04月 - 2014年3月 天台座主 延暦寺
第31期 加藤精一 2014年04月 - 2016年3月 真言宗豊山派管長 長谷寺
第32期 小峰一允 2016年04月 - 2018年3月 真言宗智山派管長 智積院
第33期 江川辰三 2018年04月 - 2020年3月 曹洞宗管長 總持寺
第34期 大谷光淳 2020年04月 - 2022年3月 浄土真宗本願寺派門主 西本願寺
第35期 大谷暢裕 2022年04月 - 現職 真宗大谷派門首 東本願寺

諸問題[編集]

町田発言[編集]

1979年(昭和54年)に世界宗教者平和会議で、全日本仏教会理事長の町田宗夫(曹洞宗宗務総長当時)が「日本には部落差別はない」と発言(町田発言)した事がきっかけで、宗教界に対する強い糾弾が行われ、これが引き金となり、2年後の1981年に同和問題にとりくむ宗教教団連帯会議(同宗連)が結成された[5]。1985年に、天台宗延暦寺において同宗連の第9回同和研修会が行われ前述の町田宗夫が基調講演を行った事を全国仏教会の機関誌「全仏」が伝えている[6]。これによれば、部落解放同盟による糾弾会は5回行われ、それによって「自らの真摯な懺悔を根幹として、同和問題への取り組みへの姿勢を切々と語った」「同和問題の解決こそが我々宗教者の真の使命」と述べた。

イオンとの軋轢[編集]

イオン2010年平成22年)、イオンクレジットサービスが手がける葬儀紹介サービスにて「布施の価格目安」を打ち出したところ、全日本仏教会が「戒名や布施に定価はない。企業による宗教行為への介入だ」と反発した。しかし8宗派、全国約600の寺院の協力が得られることになった。今後、これが『定価』として一人歩きしてしまうことも懸念されている。

僧侶派遣についての軋轢[編集]

Amazon.co.jpでは、2015年(平成27年)12月から、葬儀会社紹介サイトである「みんれび」が提供する、法事の僧侶派遣サービス「お坊さん便」を掲載するようになったが、これに対して、全日本仏教会が、宗教行為を商品化しているなどとして、アメリカ合衆国Amazon.comに対し、ウェブサイトの掲載中止を申し入れることになった[7]

宗教行為の商品化によって、宗教法人への租税優遇の根拠が揺らぎかねないと、仏教会側が懸念していることが背景にある[8]。2016年(平成28年)4月、アマゾンから「お坊さん便の中止に応じない」との回答があったと報じられた[9]。その後、2019年に全日本仏教会とよりそう(旧:みんれび)が会談し、双方合意の上で2019年10月によりそうはAmazon.co.jpへの掲載をとりやめた

脚注[編集]

  1. ^ 全仏公式HP「仏旗・法輪・三帰依文について」
  2. ^ a b c d e f g h i 全日本仏教会”. WEB版新纂浄土宗大辞典. 2022年2月14日閲覧。
  3. ^ 役員一覧”. 全日本仏教会. 2022年6月1日閲覧。
  4. ^ 全仏機構図
  5. ^ 差別と芸能、宗教の関わり直聞インタビュー 猿まわし師 村崎太郎さん」『中外日報』、2013年3月23日。2015年3月24日閲覧。オリジナルの2014年9月13日時点におけるアーカイブ。
  6. ^ 同宗連の同和研修会 町田宗夫師が基調講演」(PDF)『全仏』第314号、全日本仏教会、5頁、1985年12月1日。 オリジナルの2015年4月2日時点におけるアーカイブhttps://web.archive.org/web/20150402132133/http://www.jbf.ne.jp/pdf/zenbutsu/314.pdf2015年3月24日閲覧 
  7. ^ 佐藤秀男 (2015年12月26日). “お坊さんネット手配「中止を」 アマゾンに仏教会要請へ”. 朝日新聞デジタル. 2016年3月9日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年7月11日閲覧。
  8. ^ お坊さん便、波紋呼ぶ 仏教界、「商品化」懸念 利用者「供養、大差ない」 朝日新聞 2015年12月26日
  9. ^ アマゾン「お坊さん便」中止要請に回答 事実上の拒否か”. 朝日新聞デジタル (2016年4月18日). 2016年4月18日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年7月11日閲覧。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]