伊予鉄道3000系電車

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伊予鉄道3000系電車
新塗装の伊予鉄道3000系電車
(2021年12月 梅津寺駅 - 港山駅間)
基本情報
製造所 東急車輛製造
主要諸元
編成 3両編成 (1M2T)
軌間 1,067 mm
電気方式 直流 600/750V
架空電車線方式
最高運転速度 65 km/h
設計最高速度 70[1] km/h
起動加速度 2.4[1] km/h/s
減速度(常用) 3.5[1] km/h/s
減速度(非常) 4.0[1] km/h/s
編成定員 395
車両定員 128(クハ3300)、138(モハ3100)、129(クハ3500)[1]
車両重量 27.9t(クハ3300)、32.1t(モハ3100)、26.1t(クハ3500)[1]
編成重量 86.1t[1]
全長 18,500 mm
全幅 2,844 mm
全高 4,100 mm
台車 東急車輛製造
TS801B(モハ用)
TS821(クハ用)
主電動機 かご形三相誘導電動機
東洋電機製造製 TDK6333-A[2]
主電動機出力 120kW[2]
駆動方式 中空軸平行カルダン
歯車比 85/14=6.07[1]
編成出力 120kW×4=480kW[2]
制御方式 IGBT素子VVVFインバータ制御[3]
制御装置 東洋電機製造
RG6010-A-M[3]
制動装置 回生発電ブレンディング併用HSC電磁直通ブレーキ[3]
保安装置 ATS
備考 京王電鉄より2009年に購入の上、京王重機整備にて改造後導入
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伊予鉄道3000系電車(いよてつどう3000けいでんしゃ)は、伊予鉄道の鉄道線用通勤形電車2009年平成21年)8月24日より営業運転が開始された。

導入の背景[編集]

製造から40年以上が経過し、老朽化が進んだ800系電車および700系電車の一部を置き換えるために、京王電鉄井の頭線で運行されていた3000系電車を購入し、京王重機整備にて[2]下回りを中心に改造の上導入した。

京王3000系のうち、軽量車体で車齢が比較的若く、京王時代にリニューアル工事を受けた第20 - 29編成のうちクハ3700形 (3720 - 3729) (Tc1) - デハ3000形 (3020 - 3029) (M1) - クハ3750形 (3770 - 3779) (Tc2) [4]で、2009年度と2010年度にそれぞれ12両、2011年度に6両の計30両が導入された[5]。この導入によって郊外線の車両のうち約6割が更新された[6]

また、本系列の導入により置き換えられた800系電車のうち4両が銚子電気鉄道へ再譲渡された[7]

車両概要[編集]

ステンレス製構体を用いる両開き3扉・18m級車体であるが、前面に普通鋼製のカラーマスク部分がある。このマスク部分の塗装は京王時代には編成ごとに異なっていたが、伊予鉄道ではすべての編成でアイボリーの塗装が施されている。側面窓下には在来車に準じた伊予鉄道のシンボルカラーである濃淡オレンジの帯を配しているが、前面には在来車と違い帯はない。行先表示器は字幕式でローマ字を併記している[5]。また、行先表示器の右側には「IYOTETSU」ロゴが表記されている[5]。京王時代に列車種別を示していた標識灯は存置されているが通常は使用されず、三津浜花火大会の臨時列車を識別する場合などごく限られた場合にのみ使用されている。

なお、2012年9月14日に伊予鉄道が125周年を迎えたのに合わせて、第8編成(クハ3308+モハ3108+クハ3508)に記念ラッピングを施した「だんだん125(ワン・ツー・号)」が2012年3月29日から2013年3月末まで運行された[8][9]

車内の座席はロングシートで、車椅子スペース優先座席(おもいやりゾーン)が設置されている[5]。また横河原方先頭車であるクハ3500形は冷房温度を28度に設定した弱冷房車となっている[10]。中間車であるモハ3000形には貫通扉が設置されている[5]。なお、ドアチャイムは装備されていない。

制御方式は京王時代は界磁チョッパ制御であったが、IGBT素子による[3]VVVFインバータ制御に改造された[5]。伊予鉄道におけるVVVFインバータ制御車両は軌道線のモハ2100形に続くもので、鉄道線では初の導入となる。主制御器は定格1.7kV/1200AのIGBTモジュール素子を使用した2レベル方式の東洋電機製造製RG6010-A-Mであり、主電動機はTDK-6333-A(出力120kW、端子電圧550V、電流162A、周波数65Hz、定格回転数1,920rpm)である。冷房装置は種車の集中式冷房装置三菱電機製CU-711Bを活用している。補助電源装置は三菱電機NC-EBT120Aである。 当形式の導入により、従来の2両編成よりも電力使用量を抑えつつ輸送力増強を両立させることができたとされている[11]

当形式も、2017年夏頃から新塗装化(橙一色化)が始まり、2019年度末時点では第2編成をのぞき新塗装となっている。オレンジ1色の塗装はステンレスボディでありながらラッピングでなく塗装により行われた。 2021年に3302編成も新塗装化され、伊予鉄道の電車から旧塗装が姿を消した。

また、2023年10月現在で3301~3306、3308編成の前面のライトがLEDに変更されている [12]

車内灯についてもLED化が進められており、現在車内灯は3305編成までがLED化されている。

なお、2025年2月より投入予定の7000系による代替対象からは外されている[13]

車両番号の変遷[編集]

伊予鉄道での車両番号 京王時代の車両番号 竣工日
クハ3301 モハ3101 クハ3501 クハ3770 デハ3020 クハ3720 2009年8月24日
クハ3302 モハ3102 クハ3502 クハ3771 デハ3021 クハ3721 2009年8月24日
クハ3303 モハ3103 クハ3503 クハ3772 デハ3022 クハ3722 2009年12月12日
クハ3304 モハ3104 クハ3504 クハ3773 デハ3023 クハ3723 2009年12月12日
クハ3305 モハ3105 クハ3505 クハ3774 デハ3024 クハ3724 2010年4月1日
クハ3306 モハ3106 クハ3506 クハ3775 デハ3025 クハ3725 2010年4月1日
クハ3307 モハ3107 クハ3507 クハ3776 デハ3026 クハ3726 2011年5月4日
クハ3308 モハ3108 クハ3508 クハ3777 デハ3027 クハ3727 2011年5月4日
クハ3309 モハ3109 クハ3509 クハ3778 デハ3028 クハ3728 2012年3月20日
クハ3310 モハ3110 クハ3510 クハ3779 デハ3029 クハ3729 2012年3月20日

脚注[編集]

  1. ^ a b c d e f g h 伊予鉄道株式会社3000系VVVFインバータ制御システム - 東洋電機技報 第120号 2009.9 (p.27) ISSN 0285-1814(インターネットアーカイブ)。
  2. ^ a b c d 伊予鉄道株式会社3000系VVVFインバータ制御システム - 東洋電機技報 第120号 2009.9 (p.29) ISSN 0285-1814(インターネットアーカイブ)。
  3. ^ a b c d 伊予鉄道株式会社3000系VVVFインバータ制御システム - 東洋電機技報 第120号 2009.9 (p.27, 28) ISSN 0285-1814(インターネットアーカイブ)。
  4. ^ 『鉄道ファン』2009年3月号(通巻575号)
  5. ^ a b c d e f 新型鉄道車両(3000系)安全祈願祭
  6. ^ RNB オンラインニュース 伊予鉄道が新型車両出発式 松山 (2009-08-24・12:02/Web魚拓)
  7. ^ 車両支援オーナー募集と車両愛称命名権売却要旨 (PDF) - 銚子電気鉄道のニュースリリース
  8. ^ 記念電車|いよてつ125周年記念電車”. 伊予鉄道125周年. 2013年1月30日閲覧。
  9. ^ だんだん125”. 伊予鉄ファン. 2013年1月30日閲覧。
  10. ^ RNB オンラインニュース 伊予鉄道が新型車両出発式 動画内ナレーション
  11. ^ 車両の改造・リニューアル”. 京王重機整備. 2023年5月12日閲覧。
  12. ^ . https://rail.hobidas.com/rmnews/397098/ 
  13. ^ 67年ぶり!? 伊予鉄が中古じゃない「完全新設計の新型車」導入のワケ 既存3車種はどうなる?”. 乗りものニュース (2023年11月15日). 2023年11月17日閲覧。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]