京福電気鉄道ホデハ251形電車

京福電気鉄道ホデハ251形電車
京福電気鉄道モハ251形電車
モハ1101形(左)と並ぶモハ251(右)
2000年京福電気鉄道越前本線列車衝突事故で被災した
基本情報
運用者 京福電気鉄道
製造所 日本車輌製造
製造数 4両(251 - 254)
改造年 1958年3月
運用終了 2000年12月17日
主要諸元
軌間 1,067mm
電気方式 直流600V
架空電車線方式
設計最高速度 60 km/h
車両定員 100人(座席48人)
車両重量 28.0 t
全長 15,772 mm
全幅 2,690 mm
全高 3,985 mm
台車 日本車輌製造 D-16
日本車輌製造 D-14(251、登場時)
日本車輌製造 ND-4(254、1981年以前~廃車時)
機関出力 56.3 kw ×4基
37.3 kw ×4基(251、登場時)
主電動機 SE-131B
MB-86A(251、登場時)
駆動方式 吊り掛け駆動方式
歯車比 3.65
2.81(251、登場時)
出力 225.2 kw
149.2 kw(251、登場時)
定格速度 45 km/h
制動装置 空気ブレーキ(間接自動ブレーキ)
備考 数値は[1][2]に基づく。
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京福電気鉄道モハ251形(けいふくでんきてつどうモハ251がた)は、京福電気鉄道福井支社(福井鉄道部)がかつて所有していた電車。製造当初はホデハ251形と言う形式名であった[2]。また、当初はホデハ251形(251)とホデハ252形(252-254)で別れていたとする[3]意見もある。

概要[編集]

1957年11月29日に発生した福井口車庫の火災により焼失したホデハ11形2両(ホデハ15・17)[注釈 1]とホデハ221形(ホデハ222)[注釈 2]および被災を免れたホデハ103[注釈 3]の台車や機器を流用して製造された形式。同時期に鋼体化が行われたホデハ241形(モハ241形)と同型の日車標準車体と呼ばれる車両群に類似した全金属車体[4]を採用し、奇数車(251・253)の福井駅側、偶数車(252・254)の京福大野駅永平寺駅三国港駅側には貫通扉が設置されていた。車内には転換クロスシートを備えた。製造当初はモハ251のみ電動機が異なっていた[注釈 4]が、1973年に改造を受け電動機は統一されている[2]。台車については1974年3月[8]の時点で、モハ254のみ名古屋鉄道5000系で使用された試作型台車ND-101に由来するND6型台車を履いていた[9]

運用[編集]

1958年に4両が導入され、形式名がモハ251形に変更されて以降も引き続き使用された。1988年12月にはモハ252・(旧)253の2両にワンマン化工事が施され、同時にモハ251と253の番号の交換が行われた。ワンマン運転に対応しないまま残された2両(モハ253・254)は1991年に廃車された一方、改造が行われた2両は座席のロングシート化などの改造が行われ、その後も使用されていた。運用末期には現役最後の日車標準車体を有する電車となっていたが、2000年12月17日、モハ251がブレーキロッドの破損により制動不能の状態となり、モハ1101形(1101)正面衝突する京福電気鉄道越前本線列車衝突事故を引き起こし251は大破。ブレーキの仕組み自体に原因があることもあり[10]当日以降使用が停止された。後に京福電気鉄道福井支社の路線を継承したえちぜん鉄道にも受け継がれる事なく廃車された[11][12]

なお、機器流用元の車両も含めた番号の新旧対比は以下の通りである[13]

  • ホデハ15  → ホデハ251 → モハ251 → モハ253
  • ホデハ222 → ホデハ252 → モハ252
  • ホデハ103 → ホデハ253 → モハ253 → モハ251
  • ホデハ17  → ホデハ254 → モハ254

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ 1928年日本車輛製、旧三国芦原電鉄の車両。楕円形の「丸窓」が特徴のいわゆる「日車北陸型」車体である。
  2. ^ 1930年日本車輛製、旧京都電燈の車両。こちらもいわゆる「日車北陸型」車体であった。
  3. ^ 1929年日本車輛製、旧永平寺鉄道の車両。被災した付随車を代替するため電送解除された。こちらもいわゆる「日車北陸型」車体であった。
  4. ^ 種車になった4両のうち、ホデハ103のみ主電動機が三菱電機のMB-86A[5]、他の3両が芝浦製作所のSE-131B[6]であったことに由来する[7]

出典[編集]

  1. ^ 朝日新聞社 1964, p. 190-191.
  2. ^ a b c 寺田裕一 2002, p. 37.
  3. ^ 消えた車輌写真館 京福電気鉄道モハ252 - 鉄道ホビダス(2008年12月10日)
  4. ^ 日車標準型と言われる新潟交通モハ10形などに外見は似ているが、登場が数年早い上、狭小だった下荒井トンネルなど京福側条件から車体長が短い、窓の幅や配置も異なる、ウィンドウ・シル/ヘッダーがあるなど相違点は多い。
  5. ^ 端子電圧600V、37.3kW
  6. ^ 端子電圧600V、44.7kW
  7. ^ 高井 (2023) p.192-193
  8. ^ 『鉄道ピクトリアル』No.295 p.69
  9. ^ 寺田裕一 2002, p. 166.
  10. ^ 松本陽「鉄道事故調査の動向と最近の事故事例に関する考察 (PDF) 」の3ページに記述があるがこの車両のブレーキは1本のロッドですべてのブレーキを作動させるためこのロッドが何らかの理由で破損すると少なくとも単行の場合すべてのブレーキが動作しなくなる。
  11. ^ 寺田裕一 2002, p. 37-38.
  12. ^ 京福電気鉄道株式会社及びえちぜん鉄道株式会社 申請の鉄道事業の譲渡譲受について”. 国土交通省 (2003年1月17日). 2019年5月24日閲覧。
  13. ^ 寺田祐一 2002, p. 166.

参考資料[編集]

  • 寺田裕一『ローカル私鉄車輌20年 西日本編』JTB、2002年1月。ISBN 978-4533041020 
  • 朝日新聞社『世界の鉄道 昭和40年版』朝日新聞社、1964年。 
  • 藤井信夫「私鉄車両めぐり(102) 京福電気鉄道 福井支社」『鉄道ピクトリアル』第295号、電気車研究会、1974年7月、64-74頁。 
  • 高井薫平『昭和30年代~50年代の地方私鉄を歩く 第17巻  北陸の電車たち(3) 福井県の私鉄』株式会社ネコ・パブリッシング、2023年6月30日。ISBN 978-4-8021-3385-2