五菱会事件

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最高裁判所判例
事件名  損害賠償請求事件
事件番号 平成19(受)569
2008年(平成20年)6月10日
判例集 民集 第62巻6号1488頁
裁判要旨
  1. 社会の倫理,道徳に反する醜悪な行為に該当する不法行為の被害者が,これによって損害を被るとともに,当該醜悪な行為に係る給付を受けて利益を得た場合には,同利益については,加害者からの不当利得返還請求が許されないだけでなく,被害者からの不法行為に基づく損害賠償請求において損益相殺ないし損益相殺的な調整の対象として被害者の損害額から控除することも,民法708条の趣旨に反するものとして許されない。
  2. いわゆるヤミ金融の組織に属する業者が,借主から元利金等の名目で違法に金員を取得して多大の利益を得る手段として,年利数百%〜数千%の著しく高利の貸付けという形をとって借主に金員を交付し,これにより,当該借主が,弁済として交付した金員に相当する損害を被るとともに,上記貸付けとしての金員の交付によって利益を得たという事情の下では,当該借主から上記組織の統括者に対する不法行為に基づく損害賠償請求において同利益を損益相殺ないし損益相殺的な調整の対象として当該借主の損害額から控除することは,民法708条の趣旨に反するものとして許されない。
第三小法廷
裁判長 那須弘平
陪席裁判官 藤田宙靖堀籠幸男田原睦夫近藤崇晴
意見
多数意見 全員一致
意見 田原睦夫
反対意見 なし
参照法条
民法708条,民法709条,出資の受入れ,預り金及び金利等の取締りに関する法律(平成15年法律第136号による改正前のもの)5条2項
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五菱会事件(ごりょうかいじけん)とは、平成時代闇金融事件[1]

五菱会は全国の多重債務者リストを基に、多重債務者にダイレクトメールなどを送り、無担保融資を勧誘するという闇金融システムを構築。融資を申し込んできた人の銀行口座に現金を振り込み、返済も口座振込みにして、客と顔を合わせないようにした。五菱会は、複数の店舗を統括する「センター」を設置して、顧客情報を管理していた。顧客の返済期限が近づくと(殆どの顧客の返済能力は乏しかった)、別の五菱会系闇金融が新たな融資を持ちかけ、客の借金を一気に大きく膨らませていった。

2003年(平成15年)1月、警視庁愛知県警広島県警福島県警の合同捜査本部は、東京都新宿区にある貸金業「アームズ」の経営者(五菱会傘下の組員)を逮捕した。合同捜査本部は2001年(平成13年)7月から2003年4月まで、高木康男は、梶山進が闇金融の収益で購入した約5000万円相当の金融債券を、梶山進から数回に渡って受取ったことを掴んだ。

同年8月、梶山進は出資法違反の疑いで逮捕された。

その後、合同捜査本部は、五菱会本部事務所などを家宅捜索した。同年10月、五菱会は、闇金融で稼いだ金を、山口組に上納しているとして、合同捜査本部は山口組総本部を家宅捜索した。

同年11月、合同捜査本部は組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律(組織犯罪処罰法)違反で、高木康男を逮捕した。

脚注[編集]

  1. ^ 読売新聞 2008年5月14日

関連項目[編集]