中国国際郵便覚醒剤密輸事件

中国国際郵便覚醒剤密輸事件(ちゅうごくこくさいゆうびんかくせいざいみつゆじけん)とは、中国籍の男が国際郵便を使って覚醒剤密輸入しようとしたとして起訴されたが、無罪となった事件である。

概要[編集]

中国籍の男性が2010年4月13日朝に観光ビザで日本に入国してから、4月13日に東京都内で香港から国際郵便で発送されてきた覚醒剤約4.5キロ(約3億6600万円相当)入りの段ボールを受け取ったとして逮捕されてその後に起訴された。捜査段階から被告は中身が覚醒剤と知らなかったとして容疑を否認。2011年1月24日に1審・東京地裁は無罪の判決を下した。検察は、入国後に携帯電話で関係者と連絡を取った履歴がないため、郵便受け取りを事前に把握していたこと、受取人名義に偽名を用いたことなどの間接証拠を主張したが判決は、「携帯は押収後に発信履歴があり、不透明な操作が加えられた疑いが残る」として捜査の問題点を指摘、また、郵便物をホテル室内に置いたまま外出しようとしたことについて密輸グループの一味なら部屋を無人としないことが自然と述べた。また、被告自身に資産があり動機が不明で、被告自身が覚醒剤を認識していたとみられる発言についても広東語を日常に使う被告の通訳が英語と北京語を介して行われていたため、信用性に欠けるとした。裁判員裁判の全面無罪は3例目で、一部無罪を含めると5件目。検察は控訴を断念したため、裁判員裁判としては初の全面無罪判決確定となった。

参考文献[編集]

  • 2011年2月5日朝日新聞