三菱・ディグニティ

ディグニティDIGNITY)は、三菱自動車工業が販売していた最高級乗用車。初代はリムジン型で自社製造によりわずか15ヶ月間のみ。約11年の空白期間を経て2代目は兄弟車のプラウディアと同時に日産自動車からOEM供給を受け、ハイブリッド専用ロングボディのセダンとして復活した。

初代 S43A型(2000年 - 2001年)[編集]

三菱・ディグニティ(初代)
S43A型
フロント
リア
概要
別名 ヒュンダイ・エクウス(初代)
販売期間 2000年2月 - 2001年3月
ボディ
乗車定員 4名
ボディタイプ 4ドアリムジン
駆動方式 FF
パワートレイン
エンジン 8A80 4.5L V型8気筒DOHC32バルブ(GDI
最高出力 280ps/5,000rpm
最大トルク 42.0kg・m/4,000rpm
変速機 5AT
F マクファーソンストラット式
・R マルチリンク式
F マクファーソンストラット式
・R マルチリンク式
車両寸法
ホイールベース 3,080mm
全長 5,335mm
全幅 1,870mm
全高 1,485mm
車両重量 2,150kg
系譜
先代 デボネア
後継 三菱・ディグニティ※日産OEM
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トヨタ・センチュリー日産・プレジデントの対抗馬として、1999年(平成11年)12月に発表、2000年(平成12年)2月に発売された[1]。発売時の車両本体価格は999万円。兄弟車にヒュンダイ・エクウスがある。

プラウディアリムジン仕様という位置付けであり、全体の骨格はプラウディアと共通で、非常に太いセンターピラーが最大の特徴。全長を伸ばし豪華な内装が与えられている。エンジンは、プラウディアの最上級グレード同様、最大出力280馬力を発揮する、排気量4,500ccのV型8気筒DOHC GDIエンジンを横置き搭載したFF車であった。

秋篠宮家公用車として宮内庁に納入された実績がある。後に2代目ディグニティが納車されたが、2020年に秋篠宮が皇嗣となった後も夫妻専用車として使用され続けている[2]

当時の平成不況で需要が減少していた上に、「三菱グループ重役専用車」の印象が強く、非三菱系企業関係者に敬遠されたこと、販売開始からその半年後に三菱リコール隠しが発覚したことや、前輪駆動車であったことが超高級車らしからぬ[注 1]と当時は不評で[要出典]、翌年3月末までにプラウディアと共に販売終了となった。最終的な生産台数は59台[3]にとどまり、これまで市販された日本製乗用車で、限定車を除けば生産実績が最も少ない車種である[注 2]

基本グレード[編集]

グレード 販売年 エンジン型式 エンジン 排気量 最大出力 最大トルク 変速機 燃費 価格
ベースグレード 2000年02月-2001年3月 8A80(GDI) V型8気筒DOHC32バルブ 4,498cc 280ps/5,000rpm 42.0kg・m/4,000rpm 5AT 7.8km/l 9,990,000円

2代目 BHGY51型(2012年 - 2016年)[編集]

三菱・ディグニティ(2代目)
BHGY51型
VIP
概要
別名 日産・シーマ(5代目)
販売期間 2012年4月 - 2016年11月
ボディ
乗車定員 5名
ボディタイプ 4ドアセダン
駆動方式 FR
パワートレイン
エンジン 日産・VQ35HR 3.5L V型6気筒DOHC24バルブ
モーター HM34型 交流同期電動機
最高出力 エンジン
306ps/6,800rpm
モーター
68ps
最大トルク エンジン
35.7kg・m/5,000rpm
モーター
27.5kg・m
変速機 7AT
フロント
独立懸架ダブルウィッシュボーン式
リア
独立懸架マルチリンク式
フロント
独立懸架ダブルウィッシュボーン式
リア
独立懸架マルチリンク式
車両寸法
ホイールベース 3,050mm
全長 5,095mm
全幅 1,845mm
全高 1,510mm
車両重量 1,950kg
その他
製造事業者 日産自動車
系譜
後継 無し
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2012年4月26日、三菱自動車工業はHGY51型日産・シーマOEM供給を発表[4]。同年5月16日、車名が「ディグニティ」となると発表された[5]

2012年7月4日、プラウディアと同時にフルモデルチェンジを公式発表し、同月26日販売開始[6]。自社製造されていた初代に比べて全高は高くなっているが、全長と全幅は短くなり、車両重量は200kg軽量化されるとともに、ロングボディとなった。日本国内における三菱車では初のハイブリッドカーとなり、「平成17年基準排出ガス75%低減レベル(☆☆☆☆)」と「平成27年度燃費基準+20%」を同時に達成した(なお、2015年4月に新たに設けられた平成32年度燃費基準に対応しており、「平成32年度燃費基準+20%」を達成)。HGY51型シーマに対して、エンブレム類やフロントデザインを変更しているが(商標権の都合上、サイドとリヤの「PURE DRIVE/HYBRID」エンブレムも付かない)、フロントデザインはベースとなったシーマとは異なり、フーガをベースとしたプラウディアと共通のデザインとなる。同時に、リアのクロームガーニッシュもシーマに採用されている格子状ではなく、プラウディア同様にフーガと同じものを採用する。また、ボディカラーのガーネットブラックパールとブレードシルバーメタリックはディグニティでは設定していない。なお、グレード体系は「VIP」のみのモノグレード体系だが、装備内容や価格はHGY51型シーマの最上級グレードである「HYBRID VIP G」と同等である。車両本体価格は先代から159万円値下げされている。なお、三菱が独自に設けている「10年間・10万km」の特別保障制度の対象外となっていた[7]。その他、初代と同じく秋篠宮家公用車として宮内庁に納入されている。

2016年11月、登場から一度も改良されることなく、プラウディアとともに販売を終了。公式サイト上からも削除された。

基本グレード[編集]

グレード 販売年 エンジン型式 エンジン 排気量 最大出力 最大トルク 変速機 燃費 価格
VIP 2012年07月-2016年11月 VQ35HR V型6気筒DOHC24バルブ 3,498cc エンジン
・306ps/6,800rpm
モーター
・68ps
エンジン
・35.7kg・m/5,000rpm
モーター
・27.5kg・m
7AT 16.6km/l 8,640,000円

車名の由来[編集]

英語の"DIGNITY"に由来。意味は「尊厳」、「気品」。[8]

注/脚注[編集]

[編集]

  1. ^ プラウディア共々、ベースをFFのデボネア(3代目モデル)としていたことに由来する。
  2. ^ 歴代の三菱車の中で生産実績が最も少ない車種は50台限定で生産(実際は40台程度しか生産されなかった)されたピスタチオである。

脚注[編集]

  1. ^ 「プラウディア」「ディグニティ」』(プレスリリース)三菱自動車工業、1999年12月20日http://www.mitsubishi-motors.com/jp/corporate/pressrelease/products/detail522.html 
  2. ^ 秋篠宮夫妻が「傷だらけの公用車」に乗り続ける理由とは”. ポストセブン. p. 2 (2020年11月28日). 2020年11月29日閲覧。
  3. ^ 三菱自動車ファクトブック” (PDF). 三菱自動車 (2002年9月). 2013年8月16日閲覧。
  4. ^ 今夏発売予定の高級セダン、車名を『プラウディア』に決定』(プレスリリース)三菱自動車工業、2012年4月26日http://www.mitsubishimotors.com/publish/pressrelease_jp/corporate/2012/news/detail4568.html 
  5. ^ 今夏発売予定の最高級セダン、車名を『ディグニティ』に決定』(プレスリリース)三菱自動車工業、2012年5月16日http://www.mitsubishi-motors.com/publish/pressrelease_jp/corporate/2012/news/detail4572.html 
  6. ^ 高級セダン『プラウディア』及び最高級セダン『ディグニティ』を新発売』(プレスリリース)三菱自動車工業、2012年7月4日http://www.mitsubishimotors.com/publish/pressrelease_jp/products/2012/news/detail4585.html 
  7. ^ 最長10年10万km特別保証延長 - 三菱自動車 愛着力サイト
  8. ^ 車名の意味・由来”. 三菱自動車工業. 2013年8月16日閲覧。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]