三教平心論

三教平心論』(さんきょう へいしんろん)は、中国代の三教に関する論書である。撰者は劉謐。全2巻。成立年は不詳。

概要[編集]

宋代の三教調和論を代表する論著であり、仏日契嵩が撰した『輔教編』、張商英の手になる『護法論』と並び称される。

その主張するところは、

  • 仏教 - もって心を治む(治心)。
  • 道教 - もって身を治む(治身)。
  • 儒教 - もって世を治む(治世)。

といい、三教の鼎立を認める立場に立っており、その三者の調和を主張する。

また、儒学者による仏教批判に対しては、強硬に反対する意見を述べている。とりわけ韓愈の論に対しては、痛烈な反論を展開している。一例として、君臣父子の関係に関して見れば、仏教の見解を主張している。それは、仏の仏心には親疎の別がなく、しかも限りないので、仏が衆生を見るさまは、親が一子を見る如きものである。それは、韓愈の全く与り知らぬことであるので、論を展開することは不可である、と述べている。

このように、三教調和論とは言っても、本書の立場はその基盤を仏教に置き、儒教・道教を従属的位置に置くものである、ということができる。