一龍斎貞友

一龍斎いちりゅうさい 貞友ていゆう
プロフィール
性別 女性
出身地 日本の旗 日本 大阪府大阪市[1]
生年月日 (1958-06-20) 1958年6月20日(65歳)
血液型 A型[2][3]
職業 講談師
声優
事務所 フリー
公称サイズ(時期不明)[4]
身長 / 体重 158 cm / 48 kg
活動
活動期間 1981年[5] -
デビュー作まいっちんぐマチコ先生』(まる子)[5]
声優テンプレート | プロジェクト | カテゴリ
一龍斎いちりゅうさい 貞友ていゆう
一龍斎(いちりゅうさい) 貞友(ていゆう)
師匠 六代目一龍斎貞水

一龍斎[注 1] 貞友(いちりゅうさい ていゆう、1958年[6]6月20日[2][3] - )は、日本講談師声優である。師匠は講談師人間国宝一龍斎貞水[2]大阪府大阪市出身[1]。旧芸名鈴木 三枝(すずき みえ、1981年 - 1985年)、鈴木 みえ(読みは前の芸名と同じ、1985年 - 1998年)。声優から講談師に転向し、かつ声優業も継続して行う。

経歴[編集]

以前は太陽プロモーション[7]、プロダクションエム・スリー[8]同人舎プロダクション[9]ウイットプロモーション[10]ぷろだくしょんバオバブ[11]センテナリア[12]に所属していた。

未熟児で生まれ、幼少期は体が弱く家にこもって本を読むことが好きで、「本の中に埋もれて暮らせたら」と考えていたほど将来は図書館司書になりたかったという[13][14]

父が厳格な家庭に育ち、「自由になりたい」という気持ちが強く「早く親元を離れたい」と考えるようになる[13][14]。小学校時代の国語の教師が芝居が好きで、授業で芝居のようなもことをしたことがきっかけだったといい、その時に「お芝居って楽しいかも」と思うようになった[13]

文章の音読は父の前でしており、作文、感想文は必ず書いた後父の前で発表しなくてはならず、チェックが入って手直ししてまた発表する感じだったという[13]

学校の教師になるという条件で、学校を受験し、合格したが、「このままでいいのかな」と疑問や限界を感じるようになって途中で中退[13]

両親としては小さい頃体が弱かったこともあり心配だったと思うが、あまりにも禁止事項が多すぎて自我が目覚めてきた頃には、その生活を続けていくことは無理だったと語り、学校中退した時には両親は相当失望していたという[13]

学校中退前に転がり込む友達にあたりをつけておいて、大阪から上京[13]。両親は、役者を目指すことについて絶対反対だったが、その時は諦念していたようだったという[13]。上京後、独り暮らしになってしまったが、色々なアルバイトをしていた[15]。友人がたくさん上京していたため、精神的には大丈夫だったという。「演劇を学ぼう」と思い養成所を探し、1番の条件が月謝の安いところ見つけたススキダ演技研究所に入所[15]。本が好きだったこと、当時の夢はラジオなどで朗読のコーナーを持つことだったことから「朗読がしたい」と思っていた[15]。声優を目指したきっかけは特別に声優になろうと思ったわけではなかったという[3]。ただしラジオが好きで、「ラジオで朗読の仕事ができたら」と考えて、発声の訓練を受けており、本好きなため、「朗読の仕事を」と考えていたという[3][14][15]

知り合いのナレーターが「声優のオーディションを受けてみないか」と声をかけてくれて、オーディションに合格し、1981年、『まいっちんぐマチコ先生』のまる子役で声優としての活動を始める[5][14][15]。『まいっちんぐマチコ先生』の時には共演の先輩から多くのアドバイスをくれたという[15]

声優養成所出身ではなく、声優になろうと思っていた訳ではなかったため、当初は声優の業界用語がわからずかなり戸惑っていた[14][15]。ほかの声優たちとの人間関係、一龍斎に対する評判などに気持ちが萎えてしまったこともあった[14]

現場では他の声優のやり方を見て勉強し、態度は大きかったようで、そのことでも色々だった[15]。当時は、目の前の仕事をこなすことが精一杯だったことから、他に気を回す余裕がなかったという[15]

活動当初はアニメが多かったため、外画の現場でヘッドホンをつけるのも忘れており、デビューして何本かまとめて仕事が決まっていったため、大変だった[15]

それでも、声優としての活動を途絶えることなく続けることができた[14]。しかし声優のレギュラーのオーディションのキャスティングの状況の厳しさの中で、「この仕事で自分はキャリアを積んでいけるのだろうか」という思いがあった[14]

新人の頃、一気に7本の番組が決まったが、7本とも終わってしまったという[16]。女性の場合、「キャリアを積むのは難しい」と感じており、そういった状況になった時に、他人をうらやんだりしないようにするためには「まず行動してアプローチしていかなくては」と思うようになったという[14][16]

1985年、芸名を鈴木みえに変更。

1992年、6代目一龍斎貞水に入門[1][5]1993年に初舞台[1][5]

講談の世界に入ろうと思った理由は声優のオーディションのキャスティングの状況の中で「どうしたらいいのか」と考えて声優の仕事を引退しても大丈夫なように朗読、司会の勉強、社員教育インストラクターの学校にも通っており、結婚式の司会を年間200組ぐらい担当したこともある[14][16]。結果的には声の仕事の魅力に勝る仕事には巡り会えず、「何か突拍子のないことを始めるよりしゃべりに関係することのほうがいいかな」と考えて周囲からは「これ以上新しいことを増やさないほうがいい」と言われていたが、「声優という仕事をリタイアしても、古典芸能なら女性でもキャリアを積んでいけるのではないか」と思い、「講談をやってみたい」と考えるようになる[16]。元々落語が好きで、後に師匠になる一龍斎貞水の講談を聞いて感銘を受けて「立体的に語るとはこういうことなんだ、この人はすごい!」と思い、弟子入りを決めたからである[14]。講談を始めた時は、周囲から反対されたという[17]

最初の5年間あまりは前座修業で、師匠の身の回りのお世話が主な仕事で、「一旦入門したからには腹を据えてやらなければ」と、必死で修業していた[14]。自分で決めたことだったことから、「厳しいことに直面 しても引くに引けない」という覚悟があったという[14]

1996年、二つ目昇進[1][5]

1999年、芸名を鈴木みえから一龍斎貞友に改名。

2004年真打昇進[1][5]。昇進披露パーティーは東京ドームホテルに600人を招いて盛大に行われた[18]

人物[編集]

講談師になる前は滅多に顔出しはしていなかったが、『忍たま乱太郎』のイベントには他のメインキャストと参加していた。

講談師として真打に昇進した際は、『クレヨンしんちゃん』原作コミックの41巻38頁に作者である臼井儀人からの「祝・真打★貞友」というメッセージが載せられた。

講談を学んだことで声優として意識が変わったりことはあり、一つ目は講談の師匠に「お前の芸は“引いてしまう芸”だ」と指摘されたことがあった[17]。気が小さく、「もっと押し出していけ」といわれ、はっとしていたという[17]

講談では声の仕事のように「声を変えるのがせこい」と言われ、習性でキャラクターで声を変えていき、2004年時点では、「“持ち味”として活かしなさい」と許しがでているという[17]。講談を始めてからは、ナチュラル&リアリティのシーンの距離感、思いなどを伝えるのに、今まで以上に奥の深い部分を意識するようになった[17]

語られない深い部分を「凝縮して台詞として表現したい」と思うようになり、間尺など、色々と制約がある中でいかにリアリティを出すかということを師匠から学んだと語る[17]。自分自身の目標をたてる時に、近い目標と遠い目標の2つを同時に立てるようにしている[17]

師匠の手伝いなど内弟子としての仕事があったことから、声優としての仕事はかなり抑えなければならなかった[17]。本気で学ばなくてはならないことからカルチャーショックの連続で、我慢しなければいけなかったこともたくさんあったという[17]。講談をするようになり、声優の仕事の大切さ、好きな気持ちを、意識できるようになったという[17]

『忍たま乱太郎』をはじめ、『ちびまる子ちゃん』『クレヨンしんちゃん』など、長寿アニメのレギュラーキャラクターを担当[12]

2017年から川崎大師にて「三土の会」と称する独演勉強会を開始。

特技はバレエピアノ日本舞踊大阪弁京都弁山形弁[4]

出演[編集]

太字はメインキャラクター。

テレビアニメ[編集]

1981年
1982年
1983年
1984年
1985年
1986年
1987年
1988年
1989年
1990年
1991年
1992年
1993年
1994年
1995年
1996年
1999年
2000年
2003年
2004年
2005年
2006年
2008年
2009年
2013年
2015年
2016年
2018年

劇場アニメ[編集]

1981年
1985年
1986年
1988年
1990年
1991年
1992年
1993年
1995年
1996年
1997年
1998年
1999年
2000年
2001年
2002年
2003年
2004年
2005年
2006年
2007年
2008年
2009年
2010年
2011年
2012年
2013年
2014年
2015年
2016年
2017年
2018年
2019年
2020年
2021年
2022年
2023年
2024年

OVA[編集]

1988年
1989年
1990年
1991年
1995年
  • うるるちゃんのかずあそび(ポポロ)

Webアニメ[編集]

ゲーム[編集]

1994年
1995年
1996年
2000年
2001年
2003年
2005年
2006年
2007年
2008年
2009年
2010年
2011年
2013年
2014年
2017年
2018年
2021年
2024年
  • クレヨンしんちゃん 「炭の町のシロ」(マサオくん)

吹き替え[編集]

担当女優[編集]

ジュリー・ウォルターズ

映画[編集]

ドラマ[編集]

アニメ[編集]

特撮[編集]

ラジオ[編集]

CD[編集]

ナレーション[編集]

テレビドラマ[編集]

テレビ番組[編集]

その他コンテンツ[編集]

  • 進研ゼミ小学講座(くりけいかん)
  • 溜池NowGyaO)第39 - 41回「すべらない怪談話 Vol.1 - 3」に出演
  • ハウス食品 栄養強化米 CM(2016年、人形の声)
  • 毎日香(さだきち君の母親の声)
  • エネワンでんき CM(北海道限定、ナレーション)

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ 講談協会の公式サイトでは「一龍貞友」としている[1]
  2. ^ サンライズワールドでは、ナレーション表記[31]
  3. ^ 2015年1月5日放送分のみ。

シリーズ一覧

  1. ^ 『SPIRITS』(2007年)、『WARS』(2009年)
  2. ^ 『学年対抗戦パズル!の段』(2010年)、『ふっとびパズル!の段』(2015年 - 2017年)

出典[編集]

  1. ^ a b c d e f g 一龍齋 貞友”. 講談協会. 2023年9月22日閲覧。
  2. ^ a b c 一龍斎貞友(いちりゅうさいていゆう)のプロフィール・画像・出演スケジュール”. ザテレビジョン. 2019年6月3日閲覧。
  3. ^ a b c d 「「キャプテン翼」の声優さん集合!座談会」『アニメージュ』1985年12月号、徳間書店、1985年11月、163-166頁。 
  4. ^ a b 『日本タレント名鑑(2010年版)』VIPタイムズ社、2010年2月27日、458頁。ISBN 978-4-904674-01-7 
  5. ^ a b c d e f g 一龍斎貞友”. NHKプロモーション. 2023年9月22日閲覧。
  6. ^ 「女性の部」『'89日本タレント名鑑』VIPタイムズ社、1989年1月、385頁。 
  7. ^ 『出演者名簿(1983年版)』著作権情報センター、1982年、235頁。 
  8. ^ 『声優名鑑 アニメーションから洋画まで…』近代映画社、1985年、87頁。 
  9. ^ 『出演者名簿(1991年版)』著作権情報センター、1991年、309頁。 
  10. ^ 『日本タレント名鑑(1991年版)』VIPタイムズ社、1991年、449頁。 
  11. ^ 鈴木 みえ - ぷろだくしょんバオバブ(Wayback Machineによる1998年5月11日時点のアーカイブ)”. 2019年12月31日閲覧。
  12. ^ a b 一龍斎貞友|センテナリア(Wayback Machineによる2023年11月30日時点のアーカイブ)”. 2024年3月9日閲覧。
  13. ^ a b c d e f g h 声優・講談師の両輪で、芸と自分を磨いていく。一龍斎貞友インタビューVOl.1”. 声優になる!マガジン. 雷鳥社 (2005年7月13日). 2023年4月28日閲覧。
  14. ^ a b c d e f g h i j k l m 『職業研究』2015年夏季号 「しごとインタビュー」” (PDF). pp. 14-15. 2023年9月22日閲覧。
  15. ^ a b c d e f g h i j 声優・講談師の両輪で、芸と自分を磨いていく。一龍斎貞友インタビューVOl.2”. 声優になる!マガジン. 雷鳥社 (2005年7月27日). 2023年4月28日閲覧。
  16. ^ a b c d 声優・講談師の両輪で、芸と自分を磨いていく。一龍斎貞友インタビューVOl.3”. 声優になる!マガジン. 雷鳥社 (2005年8月3日). 2023年4月28日閲覧。
  17. ^ a b c d e f g h i j 声優・講談師の両輪で、芸と自分を磨いていく。一龍斎貞友インタビューVOl.4”. 声優になる!マガジン. 雷鳥社 (2005年8月10日). 2024年1月15日閲覧。
  18. ^ 『平成16年10月号』東京かわら版、2004年9月28日、63頁。 
  19. ^ キャプテン翼(第1作)|アニメキャスト・キャラクター・登場人物・1983秋アニメ最新情報一覧”. アニメイトタイムズ. 2022年11月20日閲覧。
  20. ^ 北斗の拳”. 東映アニメーション. 2016年6月12日閲覧。
  21. ^ 小公女セーラ”. 日本アニメーション. 2016年5月18日閲覧。
  22. ^ ミスター味っ子”. サンライズワールド. サンライズ. 2023年1月7日閲覧。
  23. ^ 魔法使いサリー(第2期)”. 東映アニメーション. 2016年6月15日閲覧。
  24. ^ まじかるハット”. スタジオぴえろ 公式サイト. ぴえろ. 2023年6月25日閲覧。
  25. ^ ちびまる子ちゃん(第1期)”. 日本アニメーション. 2016年6月10日閲覧。
  26. ^ a b ちびまる子ちゃん(第2期)”. 日本アニメーション. 2016年6月10日閲覧。
  27. ^ 丸出だめ夫”. スタジオぴえろ 公式サイト. ぴえろ. 2023年1月7日閲覧。
  28. ^ 声の出演&スタッフ”. クレヨンしんちゃん. 2023年2月15日閲覧。
  29. ^ スタッフとキャスト”. 忍たま乱太郎. NHK. 2023年2月9日閲覧。
  30. ^ レッドバロン”. トムス・エンタテインメント 公式サイト. トムス・エンタテインメント. 2023年6月18日閲覧。
  31. ^ ニャニがニャンだー ニャンダーかめん”. サンライズワールド. サンライズ. 2023年1月7日閲覧。
  32. ^ キャラクター/キャスト”. アニメ「若おかみは小学生!」公式サイト. 2018年4月17日閲覧。
  33. ^ キャプテン翼 ヨーロッパ大決戦”. メディア芸術データベース. 2022年9月28日閲覧。
  34. ^ キャプテン翼 危うし! 全日本Jr.”. メディア芸術データベース. 2022年9月28日閲覧。
  35. ^ キャプテン翼 明日に向って走れ!”. メディア芸術データベース. 2022年9月29日閲覧。
  36. ^ 北斗の拳|キャラクター/キャスト”. 東映アニメーション. 2022年7月25日閲覧。
  37. ^ ちびまる子ちゃん 劇場版”. 日本アニメーション. 2016年6月9日閲覧。
  38. ^ クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ 栄光のヤキニクロード”. メディア芸術データベース. 2016年8月21日閲覧。
  39. ^ 劇場版アニメ 忍たま乱太郎 忍術学園 全員出動!の段”. メディア芸術データベース. 2016年8月14日閲覧。
  40. ^ クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ!オラと宇宙のプリンセス”. メディア芸術データベース. 2016年10月23日閲覧。
  41. ^ キャスト・スタッフ”. ちびまる子ちゃん イタリアから来た少年. 2017年4月21日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年8月17日閲覧。
  42. ^ キャスト/キャラクター”. 映画「若おかみは小学生!」公式サイト. 2018年9月23日閲覧。
  43. ^ “「屋根裏のラジャー」に一龍斎貞友、かぬか光明、大谷育江、平澤宏々路、川原瑛都”. コミックナタリー (ナターシャ). (2023年11月14日). https://natalie.mu/comic/news/549133 2023年11月14日閲覧。 
  44. ^ 「忍たま乱太郎」新作劇場アニメ、12月に公開 屈指の人気エピソードが初の映像化”. コミックナタリー. ナタリー (2024年2月22日). 2024年2月22日閲覧。
  45. ^ ジャングルウォーズ”. 日本アニメーション. 2016年8月2日閲覧。
  46. ^ キャラクター”. クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ カスカベ映画スターズ!. 2013年11月21日閲覧。
  47. ^ 参加声優紹介”. キャプテン翼 ~たたかえドリームチーム~ 公式サイト. KLab. 2017年6月24日閲覧。
  48. ^ ハリー・ポッターと秘密の部屋”. 金曜ロードSHOW!. 2016年9月6日閲覧。
  49. ^ ハリー・ポッターと謎のプリンス”. 金曜ロードSHOW!. 2016年7月29日閲覧。

外部リンク[編集]