ルパンレンジャーVSパトレンジャーVSキュウレンジャー

ルパンレンジャーVSパトレンジャーVSキュウレンジャー』(ルパンレンジャー ブイエス パトレンジャー ブイエス キュウレンジャー)は、2019年8月21日に発売されたオリジナルビデオ作品[1]

概要[編集]

特撮テレビドラマスーパー戦隊シリーズの『快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー』と『宇宙戦隊キュウレンジャー』のクロスオーバー作品[1]で、東映Vシネマのレーベル「Vシネクスト」よりリリースされる。映像ソフトとしてのリリースに先駆け、2019年5月3日には劇場公開も行われ、令和で最初に劇場公開されたスーパー戦隊シリーズの作品となった[2]。監督・脚本は、『ルパンレンジャーVSパトレンジャー』に参加した加藤弘之荒川稔久がそれぞれ担当した[3][4]。荒川は『ルパパト』第19話で離脱しているため、追加戦士の高尾ノエルについて執筆するのはこれが初めてであった[4]

ストーリーは『ルパパト』でルパンレンジャーの正体が明かされる前の時期[注釈 1]、『キュウレンジャー』では最終回から1年以内の時期が舞台となっている[1][5]。監督の加藤は、本作品撮影の時点で『ルパパト』終盤の展開が定まっていなかったため、明確な時系列は決めていないと述べている[3]

両作品のキャラクターのほか、サプライズで『動物戦隊ジュウオウジャー』の門藤操 / ジュウオウザワールド[6]、さらにスーツが現存していたことからヤツデンワニジェラシットといった過去のシリーズ作品のキャラクターも、本作品に複数登場している[7][5]。他方、本作品ではギャングラーの幹部やキュウレンジャーのロボは登場しない[8][5]

あらすじ[編集]

魁利・透真・初美花が並行宇宙から来たホシ★ミナトたちに誘拐された。偶然現場に居合わせた圭一郎たちは後を追うも、突然空から現れたラッキーに邪魔をされてしまったため逃げられてしまい、ラッキーは公務執行妨害で逮捕されてしまう。さらに身代金とともに国際警察の持つコレクションとミナトが現場で落としたギターを要求するが、その途中に突如として現れたギャングラー怪人リルス・リピッグにギターを盗まれてしまった。その背後にはジャークマターの残党・ドン・アルカゲの影があった。

登場人物[編集]

諸元
ドン・アルカゲ
身長 238 cm
体重 225 kg[9]
(ヒカエオロー時)
身長 64.3 m
体重 607.5 t
ドン・アルカゲ
ドン・アルマゲが秘密裏に用意したジャークマターの残党にして、アルマゲを越える最強の影武者[10][9]。ホシ★ミナトのギターに隠されたジャークマターの埋蔵金・ハイパープラネジュームを狙い、並行世界の宇宙に襲来。リルスと共謀してハイパープラネジュームを浴びたことでパワーアップする。
武器は双剣カゲムシャドーで、手から放つシャドー波動や背中から連射する鋭棘弾えいとげだんカゲムショットを得意技とするほか、フクショーグンの影武者クローンを生み出すことも可能[9]
シシレッドの捨て身の行動で腰の部分だけ、ハイパープラネジュームに染まらなかったことから、そこを集中攻撃されて弱体化。インフィニッシュブラスト、フェニックスエンド、ドラゴクラッシュ、オールスタークラッシュ、スーパールパンレッドのイタダキ・ド・ド・ドストライク、ルパンブルーとルパンイエローのVSチェンジャー、イチゲキストライク、スペリオルエックスを4方向から受けて敗北。巨大化後は、グッドクルカイザーVSXのグッドクルカイザーオールストライクで倒された。
  • 監督の加藤は、分身ではなく別個体であり、アントン博士によってドン・アルマゲそっくりに作られたという裏設定を考えていたと語っている[5]
諸元
リルス・リピッグ
身長 187 cm
体重 216 kg[1]
リルス・リピッグ
左胸と両肩に金庫を3つ持つステイタス・トリプルに分類されるギャングラー怪人戦闘時には豚足銃ダブルブダスター[1]を武器に、身体を高速回転させて地中を掘り進むピッグリスピン[1]を犯罪技とし、スマホ型のコレクションノルウェーの森〜Le bois norvègien〜壁の中のレンガ〜Une autre brique dans le mur〜の力で木の槍やレンガを無数に生み出すことができるほか、前述の2つと焔〜Le feu inoubliable〜の3つの能力によって発動する全部乗せ火炎トルネードを得意技とする[11]。アルカゲと手を組み、ホシ★ミナトのギターを盗んだ。
最終的には、イタダキ・ド・ド・ドストライクと快盗ブースト(マジックアロー装備のブルーとスプラッシュバスター装備のイエロー)とオールスタークラッシュ(オレンジ、ゴールド、シルバー、グリーン、イエロー)を受けて敗北。
  • デザインは久正人が担当[12]。デザインモチーフは『三匹の子豚[13][14]。初稿では、別モチーフの怪人が登場する予定だったが、デザイン画の段階で一番強そうなものであった豚が選ばれ、3つの金庫を持つことから『三匹の子豚』がデザインモチーフとなった[7][13]。身体は藁、右腕は木、左腕はレンガでできている[13][14]。ギャングラー怪人の共通の意匠である骨パーツは顔の真ん中に入れ、豚革のコートや豚足の銃など豚の怪人の要素を入れている[13][14]。また、目は漢字の「三」になっている[13]
ジェラタロウ
ジェラシットの息子で、ホシ★ミナトのマネージャーをしている[10]
  • 当初はスーツが現存していたため、ジェラシット本人として登場させる予定だったが、腹筋が増えてややこしくなるため息子という設定に変更された[7]

用語[編集]

ジャークマターの埋蔵金
その正体は惑星100個分のハイパープラネジューム。ホシ★ミナトが持つギターの中に隠されていた。
グッドクルカイザーオールスターストライク
グッドクルカイザーVSXに搭乗した19人[注釈 2]で放つグッドクルカイザービークルラッシュストライクと12個のキュータマのエネルギーを合わせた合体必殺攻撃[9]。これによりアルカゲを倒した。

キャスト[編集]

声の出演[編集]

スーツアクター[編集]

スタッフ[編集]

音楽[編集]

エンディングテーマ「キュータマダンシング! Ver.VS」
作詩:ショウ・ロンポー、井上望 / 作曲:平沢敦士 / 編曲:川瀬智(Project.R) / 歌:Project.R(松原剛志吉田達彦吉田仁美) / ダンス振付:ラッキィ池田 / ダンス指導:藤田可奈子
『ルパンレンジャーVSパトレンジャー』ではエンディングおよびダンスがなかったため、本作品ではその要素も盛り込まれることとなった[7]
挿入歌
「バーサス!スーパー戦隊」
作詞:八手三郎 / 作曲:高木洋 / 編曲:高木洋・大石憲一郎 / 歌:Project.R(高取ヒデアキ/YOFFY/谷本貴義
本来は『スーパー戦隊VSシリーズ劇場』の主題歌だが、歌詞で「VS(バーサス)」を3回連呼することから、選曲担当の宮葉勝行が本作品にふさわしい曲として使用した[21]。作曲の高木は本作品の劇伴も担当しているが、試写で観た際に自身で何の曲かすぐには気づけず、日の目を見ることはないと思っていた曲であったため感激したと述べている[21]
「ルパンレンジャーVSパトレンジャー」
作詩:藤林聖子 / 作曲・編曲:高木洋 (Project.R) / 歌:Project.R(吉田達彦、吉田仁美)
「LUCKYSTAR」
作詩:藤林聖子 / 作曲:KoTa / 編曲:Project.R(KoTa、高橋哲也) / 歌:幡野智宏(Project.R)

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ 撮影段階の時点ではテレビシリーズ最終回の撮影前であったため、『ルパパト』のキャスト陣には撮影当時の感じで演じるよう指示されていたと言われている[5]
  2. ^ キュウレンジャーのメンバーは、中央コクピットにはシシレッド・テンビンゴールド・ヘビツカイシルバー・ホウオウソルジャー、快盗コクピットにはサソリオレンジ・カメレオングリーン・カジキイエロー、警察コクピットにはオオカミブルー・オウシブラック・ワシピンク・リュウコマンダー・コグマスカイブルーがそれぞれ乗り込んだ。
  3. ^ エンディングクレジットでは「傳法悠」と誤表記。
  4. ^ エンディングクレジットでは「寺田夏」と誤表記。
  5. ^ エンディングクレジットでは「藤謙也」と誤表記。

出典[編集]

  1. ^ a b c d e f 宇宙船164 2019, pp. 66–67, 「ルパンレンジャーVSパトレンジャーVSキュウレンジャー」
  2. ^ ルパパト:“パトレン1号”結木滉星 令和最初のスーパー戦隊劇場公開に「1号だらけで光栄」毎日新聞公式サイト
  3. ^ a b 公式完全読本 2019, p. 51, 「LUPINRANGER VS PATRANGER DIRECTOR INTERVIEW 03 加藤弘之」
  4. ^ a b 公式完全読本 2019, p. 53, 「LUPINRANGER VS PATRANGER WRITER INTERVIEW 荒川稔久」
  5. ^ a b c d e 東映HM59 2019, pp. 92–93, 「LUPINRANGER VS PATRANGER VS KYURANGER STAFF INTERVIEW_02 加藤弘之[監督]」
  6. ^ 『ルパパトキュウ』に『ジュウオウジャー』國島直希がサプライズ出演「5人の思い背負い、爪痕残す」”. マイナビニュース. マイナビ (2019年4月16日). 2019年5月11日閲覧。
  7. ^ a b c d 東映HM59 2019, pp. 89–91, 「LUPINRANGER VS PATRANGER VS KYURANGER STAFF INTERVIEW_01 荒川稔久[脚本]」
  8. ^ 東映HM59 2019, pp. 82–87, 「LUPINRANGER VS PATRANGER VS KYURANGER TRIPLE RED CROSS TALK 伊藤あさひ×結木滉星×岐洲匠」
  9. ^ a b c d 超全集 2019, pp. 94–96, 「VSキュウレンジャー」
  10. ^ a b 東映HM59 2019, pp. 78–81, 「ルパンレンジャーVSパトレンジャーVSキュウレンジャー」
  11. ^ 超全集 2019, p. 102, 「異世界犯罪者集団ギャングラー」
  12. ^ 戦変万化 2022, p. 233, 「第3章 2017-2019 ―異能の参戦― 快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー」
  13. ^ a b c d e 公式完全読本 2019, p. 111, 「LUPINRANGER VS PATRANGER CREATURE DESIGN WORKS 50」
  14. ^ a b c 戦変万化 2022, p. 263, 「第3章 2017-2019 ―異能の参戦― DESIGNER INTERVIEW 久正人 feat.松井大 / 渋谷亮介[快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー]」
  15. ^ 公式完全読本 2019, p. 5, 「LUPINRANGER VS PATRANGER MAIN CAST INTERVIEW SIDE LUPIN_01 伊藤あさひ
  16. ^ a b c d 公式完全読本 2019, p. 11, 「LUPINRANGER VS PATRANGER MAIN CAST INTERVIEW SIDE LUPIN_02 濱正悟
  17. ^ a b c 公式完全読本 2019, pp. 66–67, 「LUPINRANGER VS PATRANGER SUITS ACTOR TALK SIDE LUPIN 浅井宏輔×竹内康博×下園愛弓
  18. ^ a b c d 公式完全読本 2019, p. 25, 「LUPINRANGER VS PATRANGER MAIN CAST INTERVIEW SIDE PAT_03 奥山かずさ
  19. ^ 東映HM59 2019, pp. 66–75, 「CROSS TALK 伊藤あさひ×結木滉星×濱正悟×横山涼×工藤遥×奥山かずさ×元木聖也」.
  20. ^ 東映HMP 2018, pp. 73–74, 「LUPINRANGER VS PATRANGER W HEROINE LAST MESSAGE SIDE:LUPINRANGER 工藤遥」
  21. ^ a b 公式完全読本 2019, p. 63, 「LUPINRANGER VS PATRANGER COMPOSER INTERVIEW 高木洋」

出典(リンク)[編集]

参考文献[編集]

  • 関連書籍
    • 『快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー公式完全読本 LUPINRANGER VS PATRANGER VS ULTIMATE COLLECTION』ホビージャパン〈ホビージャパンMOOK 937〉、2019年6月24日。ISBN 978-4-7986-1953-8 
    • 『快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー超全集』小学館てれびくんデラックス愛蔵版〉、2019年7月。  ※『快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー超全集BOX』所収
    • 『スーパー戦隊怪人デザイン大鑑 戦変万化 2011-2021』ホビージャパン、2022年11月30日。ISBN 978-4-7986-3007-6 
  • 宇宙船』vol.164(SPRING 2019.春)、ホビージャパン、2019年4月1日、ISBN 978-4-7986-1916-3 
  • 『東映ヒーローMAX』VOLUME 59(2019 WINTER)、辰巳出版、2019年4月20日、ISBN 978-4-7778-2248-5 
  • 『東映ヒロインMAX PREMIUM』、辰巳出版、2019年7月24日、ISBN 978-4-7778-2365-9 

外部リンク[編集]