モノフォニー

モノフォニー(monophony)は、音楽において、例えばグレゴリオ聖歌に見られるように、1声部しかないテクスチュアのことである。

概要[編集]

演奏家や歌手の人数に関係なく、単一の旋律だけが続いている限り、そのような部分や全体のことを「モノフォニー」と呼ぶ。このため、器楽歌手が同じ旋律を重ねていてもモノフォニーと呼ばれる。

最も根本的な作曲技法であり、しばしば民族音楽では重要な創作原理となっている。キリスト教単旋律聖歌の他に、仏教などの宗教音楽でも、例えば声明などのように、古い時代のものはモノフォニーによるものが多い。

もっとも、モノフォニーがより素朴であり、ポリフォニーがより発達的であるとは、必ずしも言えない。たとえば、西方教会のモノフォニックなグレゴリオ聖歌に対し、東方教会ビザンティン聖歌グルジアの教会音楽、あるいはピグミー台湾オセアニアの音楽はポリフォニックな伝統をもつ。つまりポリフォニーは自然な現象であり、グレゴリオ聖歌などのモノフォニーは、宗教的な目的などのもとに発達した独自の様式として、むしろ積極的な意味をもつとも考えられる[1]

参考文献[編集]

  • 田村, 和紀夫『アナリーゼで解き明かす 名曲が語る音楽史 — グレゴリオ聖歌からボブ・ディランまで』音楽之友社、2000年4月。ISBN 4-276-11012-2 
  • Ardis Butterfield (1997). "Monophonic song: questions of category", Companion to Medieval & Renaissance Music. Oxford University Press. ISBN 0198165404.
  • DeLone et. al. (Eds.) (1975). Aspects of Twentieth-Century Music. Englewood Cliffs, New Jersey: Prentice-Hall. ISBN 0130493465.

脚注[編集]

注釈・出典[編集]

  1. ^ 田村 2000, pp. 11–14.

関連項目[編集]