メルセデス・ベンツ・シタン

シタンCitan)は、ドイツ自動車メーカー・メルセデス・ベンツ・グループが、メルセデス・ベンツブランドにて欧州で販売している商用車ならびに乗用車である。

ベース車はルノー・カングーであり、ボディも含め、メカニズムの多くはカングーから流用している。カングー同様、製造はフランスモブージュにあるルノーの子会社「 モーブージュ・コンストラクション・オートモーティブ(MCA)」が担当する。

歴史[編集]

初代 W415型(2012年 - 2021年)[編集]

メルセデス・ベンツ・シタン(初代)
415型
カステンヴァーゲン フロント
トゥーラー フロント
カステンヴァーゲン リヤ
概要
製造国 フランスの旗 フランス
販売期間 2012年-2021年
ボディ
乗車定員 2名/5名
ボディタイプ トールワゴン
駆動方式 FF
パワートレイン
最高出力 (1461ccディーゼル)
55kW(77ps)/4000rpm(108CDI)
66kW(90ps)/4000rpm(109CDI)
81kW(110ps)/4000rpm(111CDI)
(1197ccガソリン)
84kW(114ps)/4500rpm(112)
最大トルク 200Nm/2500rpm(108CDI)
220Nm/3000rpm(109CDI)
260Nm/2750rpm(111CDI)
190[1]Nm/4000rpm(112)
変速機 5MT/6MT/6AT
車両寸法
ホイールベース 2,313 - 3,081mm
全長 3,937 - 4,705mm
全幅 1,829mm
全高 1,809 - 1,839mm
テンプレートを表示

2010年4月にフランスのルノーならびに日本日産自動車と業務提携[2]したことによるアライアンスの成果として、カングーをベースにフロントマスクをメルセデスタイプとした上で発表。同年秋ごろの発売予定をアナウンス[3]したのち、同年10月27日より欧州市場にて発売を開始。商業的に失敗したバネオ(W414型)の実質的後継車種でもあり、当車種はW415型とされている。

ドイツでは以下の5モデルが設定されている。ボディサイズはカングー同様、3937mm(Kompakt)、4321mm(Lang)、4705mm(Extralang)の3種類設定されており、モデル毎に選択できるサイズが異なっている。

  • Kastenwagen(カステンヴァーゲン)
    • 貨物モデル。定員は2名で、後部ドアの窓ガラスは設置されない。全長は3937mm、4321mm、4705mmの設定。Kastenwagenは配送車のことを指す。
    • 廉価グレードのWORKERは必要最小限の装備に留められており、カステンヴァーゲン等で標準装備となっている先進装備や運転席周りの収納、助手席エアバッグなどの設定がない(またはオプション)。全長は4321mmのみ設定。
  • Mixto(ミクストゥ)
    • 乗貨混用モデル。定員は5名で、4705mmのみ設定。
  • Tourer Gewerblich(トゥーラー・ガヴァブリッヒ)
    • 乗用(商用)モデル。全長は4705mmのみ設定。Gewerblichは英語でbusinessという意味。
    • 廉価グレードのCREWは前述のWORKER同様、必要最小限の装備に留められている。全長は4321mm、4705mmの設定。
  • Tourer Privat(トゥーラー・プリヴァート)
    • 乗用(民生)モデル。4321mm、4705mmの設定。
    • 廉価グレードのEDITIONは通常モデルと異なりカラーバンパーやルーフレールなどが標準装備だが、車内設備はシートベルトリマインダーや花粉フィルターなどの設定がない点で異なる。
  • Tourer TAXI(トゥーラー・タクシー)
    • タクシー専売モデル。店員は5名で、4705mmのみ設定。
    • カラーバンパーの他、タクシーメーター、屋根上の行灯、乗客用足元灯などのタクシー用設備が標準装備されている。オプションで車椅子乗降機器も選択可能。関連会社のメルセデス・ベンツ・バンパートナーが改造を行う。

エンジンは1.5Lディーゼルエンジンと1.2Lガソリンエンジンが設定され、オートマ車はガソリンエンジンのみ。


2代目 W420型(2021年 - )[編集]

メルセデス・ベンツ・シタン(2代目)
W420型
フロント
リヤ
概要
製造国 フランスの旗 フランス
販売期間 2021年-
ボディ
ボディタイプ 3/5ドア トールワゴン
駆動方式 FF
パワートレイン
変速機 7DCT/6MT
車両寸法
ホイールベース 2,716mm
全長 4,498mm
全幅 1,859mm
全高 1,811 - 1,832mm
その他
別名 Tクラス
EQT
テンプレートを表示

2021年8月に発表され、翌9月より予約の受付を開始。先代(W415型)に引き続き、ルノーカングーの兄弟車として登場し、カングーや日産・タウンスターとともにMCAで生産される。

プラットフォームは一新され、CMF-CDを採用。エンジンについてはルノー製の2種の1.3Lガソリン(M282)と3種の1.5Lディーゼル(OM608)が設定される。

ボディは先代における「ロング」のみとなり、「コンパクト」「エクストラロング」に相当するモデルはない。

先代同様、商用タイプは「カステンヴァーゲン」、乗用タイプは「トゥーラー(ツアラー)」を名乗るが、後者には上級車種として新たにTクラスが設定される。また、EV仕様(EQT)も2023年2月に発売された。

脚注[編集]

  1. ^ キックダウン作動時は205
  2. ^ ルノー・日産アライアンスとダイムラーAG、幅広い分野で戦略的協力日産自動車ニュースリリース 2010年4月7日(2012年12月3日 閲覧)
  3. ^ メルセデス、ルノー日産と協業から生まれた新型商用車を発表WebCG 2012年4月20日(2012年12月3日 閲覧)

関連項目[編集]

外部リンク[編集]

メルセデス・ベンツ・シタン(ドイツ語)