ホンダ・CB400スーパーフォア

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CB400 SUPER FOUR(シービーよんひゃくスーパーフォア[1]、略称:CB400SFまたはスーフォア)は、本田技研工業が発売していた排気量399ccネイキッドタイプのオートバイである。

1992年4月23日に初代モデルが発売され、2005年3月30日にはSUPER BOL D'ORタイプが追加された。発売以来改良が重ねられロングセラーとなっている。2008年度からはオーストラリア、東南アジアでも発売されている。

2022年4月28日、ホンダは公式サイトにて「法規対応に伴う、Honda二輪車の一部機種の生産終了について」を発表した。これは、日本国内向け二輪車に対して2022年11月生産分より「令和2年排出ガス規制」が適用されることに伴い、 2022年10月生産分をもって生産終了とするものである。これにより、およそ30年間に渡るCB400SF⋅SBの生産に終止符が打たれた。

モデル一覧[編集]

CB400SF(NC31)[編集]

CB400SFは、PROJECT BIG-1のコンセプトの下に開発された。PROJECT BIG-1では、以下のような要件を掲げている。

  • 心臓部には4ストロークDOHC水冷直列4気筒エンジンを採用すること
  • ワイルド&セクシーなスタイルであること
  • 走る者の心を魅了する感動性能を有すること

1992年、第29回東京モーターショーにPROJECT BIG-1初の車種としてCB1000 SUPER FOURが参考出品され、その後4月に発売される。

ホンダは4気筒ネイキッドとしてCB-1を販売していたが、優秀なスポーツ性能の反面、実用面ではガソリンタンクの容量が少なかったことや、ライバル車と比べてスタイルが中途半端だったために販売で苦戦した。その失敗を糧に、CB400SFにはかつての名車のスタイルが取り入れられている。

CB-1からの主な変更点としては、以下の点が挙げられる。

マイナーチェンジでVersion Rが登場し、その後、ビキニカウルレスのVersion Sが登場した。またNC31をベースにCB750FOUR風のスタイルを取り入れたCB400FOURといったモデルも存在する。

登場当初から「CB400SFを選べば絶対にバイク選びに失敗はない」「選んで大正解のオートバイ」とライダーから絶賛された。そのため非常に扱いやすく乗りやすいオートバイであったということだが、特にコーナリング性能に定評があったため、当時盛り上がりを見せて盛んに開催されるようになった各地サーキットのネイキッドレースでも活躍した。1994年から鈴鹿サーキットで開催された鈴鹿選手権鈴鹿サンデーロードレースとの併催で、新カテゴリーの「NK4(ネイキッド400)」が鈴鹿NK4シリーズとして誕生し、国内有力コンストラクター12社からなる“鈴鹿コンストラクターズコミッティ”がレースを企画した。このレースはイコールコンディション&ローコスト、メーカー主導ではなく幅広いエントラントの意見をレギュレーションに反映し、そしてコミッティたちがレーシングパーツやアフターパーツを販売、利益を出してレースが続けられるようにするために始まった。特に強さを見せたのが初年度開幕戦3連勝を決めたテクニカルスポーツ(現:TSR)である[2]

Version R[編集]

1995年3月10日発売。ビキニカウル搭載のモデル[3]

STDモデルからの変更点

  • ビキニカウル&専用角型ヘッドライト
  • アルミ製のサイレンサー(STDはステンレスの一体型メガホンタイプ)
  • スロットル開度に連動して最適な点火時期を供給するPGM-IGコントロールシステム(電子制御点火システム)の採用。
  • Version R専用メーター
  • ハイカムに変更
  • 強化バルブスプリング
  • ハイグリップバイアスタイヤ
  • 専用焼結ブレーキパッド
  • 吸気変更(2・3シリンダーのエアファンネル長さ変更)
  • リアスプロケット番手変更(STD:42T→Ver.R:45T)
  • サスは前・後のダンピングフォース、リアのばねレートの変更
  • フロントエンジンハンガーの車体側を左右に連結するクロスパイプを追加
  • その他、各部ブラックアウト化(トリプルツリー・ステム・アンダーブラケット及びハンドル【Ver.R専用品】)

発売当時の値段は、STDモデルより10万円高となっている。

  • ビキニカウルを廃しSTDモデル用丸目ライトに換装、赤/白のCBXカラーにリペイントされヤマモトスリップオンマフラーを装着されたモデルも極少数存在する。CB400SF初のCBXカラー車である。[要出典]

Version S[編集]

バージョンSは、バージョンRからビキニカウルをはずし、ネイキッドスタイルとしたほか、フロントブレーキがNISSIN製対向4ポットキャリパーとなっている[4]

また、1996年12月のマイナーチェンジによりフロントブレーキにブレンボ製対向4ポットキャリパーを装備したモデルも存在する[5]

Version.Rから具体的な変更を下記に示す。なお、基本的にはVer.Rのカウルレス仕様である。

  • エンジンの外観変更(Version Rはつや消しブラック塗装、Version Sは艶ありブラック)
  • リアショックの変更
  • フロントディスクローターの変更
  • フロントブレーキキャリパーをNISSIN製対向4ポットキャリパーに変更
  • 前後ホイールは艶ありブラック
  • メーター周りの変更(トップブリッジはポリッシュ仕上げ・メーターは3眼仕様・トリプルツリー・ステム・アンダーブラケットはシルバー)

1996年12月のマイナーチェンジでは下記の変更となる。

  • フロントブレーキキャリパーはブレンボ製に変更
  • テールカウルの形状変更、及びそれに伴い、カウルステーの増設、タンデムグリップ、リアフェンダーの形状変更
  • シートの形状変更、及び皮のパターン変更
  • フロントフォークの変更(スプリングのテンショナーが装着される)

また1998年6月にはホンダ創業50周年を記念してアニバーサリー仕様車が500台限定で発売される。これはカラーリングと鍵の変更のみで通常のVersion Sと大差はない。

CB400 SF HYPER VTEC(NC39)[編集]

CB400 SF HYPER VTEC (NC39)
基本情報
排気量クラス 普通自動二輪車
メーカー 日本の旗本田技研工業
車体型式 BC-NC39
エンジン NC23E型 399 cm3 4ストローク
水冷DOHC4バルブ 直列4気筒
内径×行程 / 圧縮比 55.0 mm × 42.0 mm / 11.3:1
最高出力 39 kW (53 PS) / 11,000 rpm
最大トルク 38 N·m (3.9 kgf·m) / 9,500 rpm
乾燥重量 168 kg
車両重量 188 kg
HYPER VTEC 切り替えタイミング
6,750 rpm
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1999年2月23日発売。

NC31からの主な変更点。

  • 中型車では初めてとなるHYPER VTECを初採用
  • ラジアルタイヤに変更(それに伴うタイヤサイズ・大型指定ZRレンジへのタイヤ強度の変更&スイングアーム変更)
  • 外装デザインの大幅な変更

特に、エンジンに可変バルブ機構であるHYPER VTECを採用したことがモデルチェンジの目玉とされている。但しこのHYPER VTECは4輪のVTECと違い、カムシャフトリフト量変化ではなく、バルブの開閉による調整を行うものである。具体的には、一定の回転数までは4バルブ中2バルブが閉鎖しているが、一定の回転数を超えると4バルブ化するようになっており、これはかつてCBR400Fに搭載されていたREV機能から発展したもので、燃費の向上などを目的としており、四輪のVTEC(i-VTEC等)と差別化するためにHYPER VTECと名付けられている。

CB400 SF HYPER VTEC SPEC II(NC39)[編集]

CB400 SF HYPER VTEC SPEC II (NC39)
基本情報
排気量クラス 普通自動二輪車
メーカー 日本の旗本田技研工業
車体型式 BC-NC39
エンジン NC23E型 399 cm3 4ストローク
水冷DOHC4バルブ 直列4気筒
内径×行程 / 圧縮比 55.0 mm × 42.0 mm / 11.3:1
最高出力 39 kW (53 PS) / 11,000 rpm
最大トルク 38 N·m (3.9 kgf·m) / 9,500 rpm
乾燥重量 169 kg
車両重量 189 kg
HYPER VTEC 切り替えタイミング
6,300 rpm
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2002年1月30日にマイナーチェンジされ発売。

HYPER VTEC(初代)からの変更点

  • バルブ切り替えタイミング回転数の引き下げ(6750rpm→6300rpm)
  • イモビライザーのH.I.S.S.(Honda lgnition Security System)を400 ccクラスで初採用
  • メーターの変更
  • フォークのボトムケースが2ピースから1ピースに変更され、フォークカバーが追加
  • 細かい箇所の改良、サスセッティング変更

2002年12月23日

  • CBX400Fのカラーをモチーフにした新色のキャンディブレイジングレッド(通称:CBXカラー)が追加された。

2003年7月18日

  • ホンダプロス店限定のモリワキスリップオンマフラー付のパールヘロンブルーのCBXカラーの車両の限定発売されるが、スリップオンマフラーは車両登録後に装着のかたちとなっている。

CB400 SF HYPER VTEC SPEC III(NC39)[編集]

CB400 SF HYPER VTEC SPEC III (NC39)
基本情報
排気量クラス 普通自動二輪車
メーカー 日本の旗本田技研工業
車体型式 BC-NC39
エンジン NC23E型 399 cm3 4ストローク
水冷DOHC4バルブ 直列4気筒
内径×行程 / 圧縮比 55.0 mm × 42.0 mm / 11.3:1
最高出力 39 kW (53 PS) / 11,000 rpm
最大トルク 38 N·m (3.9 kgf·m) / 9,500 rpm
乾燥重量 170 kg
車両重量 190 kg
HYPER VTEC 切り替えタイミング
6速のみ6,750 rpm (1速から5速は6,300 rpm)
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2003年12月25日発売。2003年10月25日11月5日までに開催された東京モーターショーに参考出品された。

HYPER VTEC SPEC IIからの変更点

  • テールランプがLED
  • 6速のみバルブの切り替え回転数の変更(6300rpm→6750rpm)
  • シートをローダウン化し足付き性の向上
  • ヘッドライトのマルチリフレクター化
  • グラブレールを標準装着(SPEC2までは純正オプション扱い)
  • リアキャリパーを従来(SPEC2以前)の下引きを見直したことにより上引きに設定を変更し整備性・ブレーキタッチを向上させている
  • サイドカバーの形状を初代HYPER VTECから一新し、足付き性を向上させている
  • カラーオーダープランの増加
  • CB1300SFのマイナーチェンジを受け、外装の形状をCB1300SFに準じて一新

2005年3月30日マイナーチェンジし、フロントショックにプリロード調整機能がついた(衰力調整機能とは多少異なる)

CB400 SUPER BOL D'OR[編集]

CB400 SUPER BOL D'OR

CB400 SUPER BOL D'OR(シービーよんひゃくスーパーボルドール:略称CB400SB)は2005年のCB400SFのマイナーチェンジに併せ、ハーフカウルを装備したモデルとして登場した。エンジン、車体などはCB400SF SPECIII(NC39)と同じである。

高速道路における二人乗り解禁に合わせた長距離走行に適した仕様となっており、主な変更点は

  • ハーフカウル
  • 角型マルチリフレクターヘッドライト
  • 左右カウル内側の約1Lの収納スペース(左側は鍵付き)

となっている。

CB400SF HYPER VTEC Revo(NC42)[編集]

CB400 SF HYPER VTEC Revo (NC42)
〔 〕内はABS仕様【 】内はE Package
基本情報
排気量クラス 普通自動二輪車
メーカー 日本の旗本田技研工業
車体型式 EBL-NC42
エンジン NC42E型 399 cm3 4ストローク
水冷DOHC4バルブ 直列4気筒
内径×行程 / 圧縮比 55.0 mm × 42.0 mm / 11.3:1
最高出力 39 kW (53 PS) / 10,500 rpm
最大トルク 38 N·m (3.9 kgf·m) / 9,500 rpm
車両重量 197〔200〕【201】 kg
HYPER VTEC 切り替えタイミング
6速のみ6,750 rpm
(1速から5速は6,300〜6,750 rpm スロットル開度に応じて切り替え)
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CB400 SUPER BOL D'OR HYPER VTEC Revo (NC42) 2009年式

2007年12月25日発売。電子制御式燃料噴射装置であるPGM-Fiを装備し、HYPER VTECを改良したHYPER VTEC Revoを搭載する[6]。1986年に発売されたCBR400Rから20年以上に亙って搭載されていたNC23Eエンジンに代わって新設計のNC42Eが搭載された。前後連動アンチロック・ブレーキ・システム(T.R.-C.ABS)採用モデルもラインナップされている。また、SUPER BOL D'ORも引き続きラインナップされる。

2014年3月20日にはマイナーチェンジモデルが発売された。サイドカバー、リアカウルなど外装が一部変更され、SUPER BOL D'ORモデルにはLEDヘッドライトが採用された。ホイールは新たにデザインされた10本スポークのアルミダイキャストホイールが用いられている。ABS搭載モデルについては、ETC車載器とグリップヒーター、専用ETCインジケーターランプを取り付けたE-Packageモデルが受注生産車として用意されていた[7]

しかし令和2年排出ガス規制対応に伴い2022年10月生産分を持って生産を終了した[8]

CB400SF-K(教習車仕様)[編集]

奥 (手前はNC750L)

乗りやすいとの評価が高く、NC31モデルとNC39モデルを元に製造された車体が自動車教習所で広く採用されている。教習車として使われるCB400SFはNC39の外装のものでもHYPER VTECを採用していないモデルが存在する。これはHYPER VTECのバルブ切り替え時に挙動が変化する事が教習には不向きであるためと思われる。また、馬力・トルクも大幅にダウンされ、どの回転数からでも均等のパワーが出るように改良されている。市販車からの変更点としては次のような点があげられる。

NC31ベース外装

  • 走行状況表示ランプ装備
  • 大型エンジンガード・マフラーガード装備
  • リアショックのリザーバータンク撤去
  • マフラー変更(メッキ→黒塗装)
  • メーターリング変更(メッキ→黒)
  • ライト変更(⌀180ハロゲンライト→小径の普通のバルブ式に)
  • シート変更(ローシート装着)
  • ライトスイッチ装備(教習所内走行のため)
  • Hiビームのランプがメータに装備されず、ハンドルバーに後付けされる形
  • 水温計を装備

機構

  • リアスプロケット変更(42丁→45丁)
  • エンジン機構デチューン(常時2バルブ作動)
  • エンジン馬力デチューン(53PS→38PS)
  • エンジントルクデチューン(3.9kg·m→3.3kg·m)
  • 最高回転数:12500rpm

NC39ベース外装

  • NC31時代の外装・マフラー・エンジン外見をNC39ベースの外装に変更
  • Fタイヤ110/70、Rタイヤサイズも140/70のまま
  • メーター内にHiビームのランプが装備される
  • 水温計を廃止、代わりに燃料計を装備した

機構

  • エンジンはNC39ベースであるが、教習車専用のカムシャフトを使用しVTECをキャンセル。常時2バルブのみ駆動
  • 最高回転数は10500rpmまでに引き下げ

NC42ベース

  • 基本はNC39ベースと同様、NC31の前後ホイール、スイングアーム、Fフォーク等がNC42フレームに付いている
  • エンジンはNC42E。エンジンの外見も同じ
  • 外装はNC39のまま。小物部品も同様
  • NC42Eの変更に伴い燃料供給装置をキャブレターからPGM-Fiに変更
  • キャタライザー異常加熱警告灯がハンドルバーに装着される
  • タコメーターは市販車と同様に「HYPER VTEC Revo」表記が入ったものを流用。レッドゾーンは13000rpmから(6300rpmくらいから目盛り幅が変わる)

脚注[編集]

外部リンク[編集]