ホンダ・リード

リードLEAD)は、本田技研工業が製造・販売するスクータータイプのオートバイのシリーズ商標である。

概要[編集]

初代から3代目モデルは空冷2ストロークエンジンを搭載し、原付一種(原動機付自転車)と原付二種(小型自動二輪車)が併売された。

4代目モデル以降は水冷4ストロークエンジンを搭載する原付二種のみのラインナップで、2017年現在では5代目となるLEAD125が販売されている[1]

モデル一覧[編集]

初代[編集]

LEAD80 HF01
LEAD80 HF01
LEAD125 JF01 ホンダコレクションホール保存車
LEAD125 JF01
ホンダコレクションホール保存車

1982年2月18日発表[2]排気量49ccモデルが型式名AF01/車名リード50[注 1]としてデラックス・スーパーデラックスの2グレードで同月19日より、排気量79ccモデルが型式名HF01/車名リード80としてデラックスグレードのみで同年3月下旬より発売。当初はプロテニス選手のビョルン・ボルグがイメージキャラクターに起用された[2]

さらに同年10月15日発表、同月16日発売で排気量124ccモデルとして型式名JF01/車名リード125を追加[3]。ただし本モデルは1年ほどで製造販売が終了となり、同社の125ccクラススクーターは4ストロークエンジン搭載のスペイシー125ストライカーへ移行した。

1983年2月15日発表、同月16日発売で以下の変更を施したリード50Sを追加[4]

  • シリンダーならびにポート形状の変更・点火プラグ2極化・スクーター初のパワーエキゾーストシステム搭載により最高出力を5.0ps→5.5psへ向上
  • リード125同様の透過光式タコメーターならびにエアスタビライザーを搭載

さらに同年4月18日発表、同月19日発売でデジタルメーターや液晶式デジタル時計を搭載した50ccモデル上級車種として型式名A-AF03/車名リーダーLEADER)を追加[5]。また同年6月10日発表、同月11日発売でリード50にもリーダー用5.5psエンジン搭載へ変更するマイナーチェンジを実施した[6]

1984年7月10日発表、同月11日発売で以下の設計変更を実施した型式名A-AF10/車名リードSSを追加[7]

  • 最高出力を6.2psまで向上させた新設計エンジンへの換装
  • 前輪ブレーキをシングルディスク
  • トレーリングリンク式フロントサスペンションにブレーキ作動時のフロント沈み込みを抑えるTLAD[注 2]を装備
  • メンテナンスフリー化した密閉型バッテリー搭載

同年9月21日発表、同月22日発売で50㏄モデルを上述したリードSSから一部装備を省略した型式名A-AF08/車名リード スーパーデラックスに集約[8]。一方でリード80は、1985年6月24日発表、同月25日発売で新型エンジンへの換装と車体装備をリードSSと同様にした型式名HF04/車名リード80SSへのモデルチェンジを実施[9]

1986年3月11日発表で以下のマイナーチェンジを実施[10]

  • エンジン出力を6.4psまで向上させたリードSSを同月25日に発売
  • リードSSからハンドルカバー周辺の形状変更やエアー封入式ダンパー装着するなどスポーティ指向を強めた型式名A-AF10/車名リードRを同月12日に追加発売

2代目[編集]

【左】 リード90 HF05
【右】 リード100 JF06

1988年3月29日発表で以下のフルモデルチェンジを実施した2代目モデルへ移行[11]

  • 排気量49㏄モデルは型式名A-AF20/車名リード[注 3]として同年4月20日発売
  • 排気量79㏄モデルは89㏄へ拡大して型式名HF05/車名リード90として同年4月15日発売

「ゆとりのボディサイズ」をコンセプトに車体は初代のスポーティー路線から高級上質化路線へ転換したモデルで、新機能としてシート下にヘルメットを格納できる容量28Lのメットイン機構」を新設。また燃料タンクも7.2Lへ増量された

1994年7月のマイナーチェンジでヘッドライトスイッチとポジションライトを廃止[注 4]

本モデルのエンジンなど一部パーツを流用してキャビーナブロードジョーカーの50cc・90ccモデルが製造販売されたほか、韓国では当時技術提携していたデーリムモーターからリード90をベースに外観を小変更したSuper LEADが生産された[注 5]。このほか、インド向け仕様が同国で[注 6]でも生産されたが、外装は樹脂製ではなく鉄板が使用された[注 7]

3代目[編集]

1998年1月26日発表で以下のフルモデルチェンジを実施した3代目モデルへ移行[13]

  • 排気量49㏄モデルは型式名BB-AF48/車名リード[注 3]として同年2月25日発売
  • 排気量89㏄モデルは101㏄へ拡大して型式名BD-JF06/車名リード100として同年3月10日発売

本モデルではフロントサスペンションをテレスコピック式へ変更。新たに前後輪連動のコンビブレーキを採用したほか、1998年10月施行の平成10年自動車排出ガス規制に対応した三元触媒内蔵マフラーを装着する[13]

2001年6月29日発表、同月30日発売で以下のマイナーチェンジを実施[14]

  • カラーリング変更
  • メインスイッチ・シートオープナー・ハンドルロック機構をキーシャッター装備のメインキーシリンダーに集約
  • オプションのイモビライザーアラームキットが装着できるプレワイヤリングを標準装備化

2003年に同社の二輪車エンジン4ストローク化方針[15]に伴いBC-JF13型スペイシー100へモデルチェンジする形で生産終了。

4代目[編集]

リード110 JF19

リード100の後継車として販売されていたBC-JF13型スペイシー100ならびにBC-JF04型スペイシー125は、平成19年度二輪車排出ガス規制に対応させず2008年一杯で製造ができなくなることから、同年1月15日に中華人民共和国の現地法人五羊-本田摩托(広州)有限公司Wuyang-Honda Motors (Guangzhou) Co., Ltd.)で2006年から製造販売していたSCR110(中国名:佳御)[16]を日本国内の法規に適合させた上で型式名EBL-JF19/車名リード[注 9]として同月25日から正規輸入販売することを発表[18]

本モデルは、排気量107ccの水冷4ストロークSOHCエンジンを搭載。燃料供給は従来のキャブレターからPGM-FI電子制御式燃料噴射装置へ変更、三元触媒内蔵マフラーと併せて平成19年度二輪車排出ガス規制に対応したほか、車体はスポーツセダンのイメージを取り入れたスポーティーかつ高級感あふれるものとした[18]

2010年2月18日発表、同月25日発売で以下のマイナーチェンジを実施[19]

  • 車名をリード EXに変更
  • カラーリング変更
  • コンビブレーキシステムを3ポット式フロントブレーキキャリパーへ改良
  • 希望小売価格を273,000円から249,900円へ改定。

後述する5代目発売後も併売されたが、2015年に日本仕様の生産終了が公表された。

5代目[編集]

リード125 JK12

2013年3月22日に翌23日の第40回東京モーターサイクルショーベトナムの現地法人法人ホンダ・ベトナム・カンパニー・リミテッドHonda Vietnam Co., Ltd.)が製造販売するLEAD125[20]を一般公開し、日本国内でも同年初夏頃に正規輸入販売する予定と発表[21]。同年5月22日に型式名EBJ-JF45/車名リード125として同年7月4日から発売することを正式発表した。

搭載エンジンは、125cc水冷単気筒のグローバルエンジン「eSP[注 10]」とされ、ACGスターター・アイドリングストップシステムを装備。尾灯とポジションランプはLED電球を使用する。

2017年11月30日発表、12月8日発売の2018年モデルで以下のマイナーチェンジを実施[22]

2022年1月28日発表、3月24日発売の2022年モデルで以下のマイナーチェンジを実施[23]

  • 水冷4バルブ単気筒エンジン「eSP+」を新たに搭載
  • エンジン始動やシートの解施錠に使えるHonda SMART Keyシステムを新たに採用
  • スマートフォンなどの端末の充電が可能なUSBソケット(Type-C)を標準装備
  • カラーリング変更
  • 希望小売価格(税込み)はマットテクノシルバーメタリック色が330,000円、その他が324,500円

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ 光岡自動車が1982年から製造販売した50㏄ミニカー BUBUシャトル50シリーズに本モデルのエンジンなど一部パーツが流用された。
  2. ^ Trailing Link & Anti Dive suspension(トレーディング・リンク&アンチ・ダイブサスペンション)の略でフロントフェンダー側面にTLADを示すステッカーを貼付[7]
  3. ^ a b 他の排気量モデルと明確に区別するために排気量表記も加えてリード50と通称で呼ばれることもある。ただし初代AF01型の正式車名がリード50が正式名であるので注意が必要。
  4. ^ ヘッドライト常時点灯を義務化する保安基準1998年から施行されたが、適用前に自主対応した。
  5. ^ 外観以外の諸元で差異があったかは不明。
  6. ^ 当時はヒーロー・ホンダ
  7. ^ 外装が破損しても板金修理を可能とするインド市場特有の要求による[12]
  8. ^ 以前はスペイシー80北米仕様車の名称でモデルチェンジ扱いとなる。
  9. ^ 現行モデルの正式名称には排気量を示す数字はつかないが歴代モデルと区別するためユーザーからはリード110の通称で呼ばれており雑誌などにおいても通称で記述される[17]。また北米向け仕様はELITE(エリート)の車名[注 8]で販売。
  10. ^ enhanced Smart Powerの略で、日本語訳は強化洗練された動力。日本国内モデルへの搭載はPCXのマイナーチェンジで初採用され、本モデルが2例目となる。

出典[編集]

外部リンク[編集]

本田技研工業公式HP
BBB The History