ホンダ・クラリティ フューエル セル

ホンダ・クラリティ フューエル セル
ZC4型
東京モーターショー2015
概要
製造国 日本の旗 日本埼玉県
販売期間 2016年3月10日-2021年9月30日(日本)
2016年7月-2021年12月(北米
ボディ
乗車定員 5名
ボディタイプ 4ドアセダン
駆動方式 前輪駆動
パワートレイン
エンジン 燃料電池スタック:
固体高分子形
モーター MCF4型:
交流同期電動機
最高出力 燃料電池スタック
103 kW(140 ps)
モーター
130 kW(177 ps)/
4,501 - 9,028 rpm
最大トルク モーター
300 N·m (30.6 kgf·m)/
0-3,500 rpm
前:マクファーソン式
後:マルチリンク(ウィッシュボーン)式
前:マクファーソン式
後:マルチリンク(ウィッシュボーン)式
車両寸法
ホイールベース 2,750 mm
全長 4,915 mm
全幅 1,875 mm
全高 1,480 mm
車両重量 1,890 kg
その他
ブレーキ 前:油圧式ベンチレーテッドディスク
後:油圧式ディスク
系譜
後継 無し
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クラリティ フューエル セルCLARITY FUEL CELL)は、本田技研工業がかつて、日本、および北米市場で製造・販売していた量産型のセダン燃料電池自動車。なお、日本市場においても2016年3月から2021年9月まで製造・販売されていた[1]。なお、本項では便宜上、プラグインハイブリッドモデルの「クラリティPHEV」、エレクトリックモデル(BEV)の「クラリティ エレクトリック」についても本稿で述べる。

クラリティ フューエル セル[編集]

ホンダは1980年代後半からFCVの研究開発を開始し、2002年に「FCX」、2008年には「FCXクラリティ」のリースを行い各種データの収集を行ってきた[2]。これらの豊富な蓄積を活かし、ホンダ初の量産型FCV市販車としてクラリティ フューエル セルは発売された[2]。FCスタックのセル出力を従来の1.5倍に向上することで、セルの厚みを20%、数を30%削減し、従来型から33%の小型化を実現[2]。世界で初めてセダンのボンネット内に搭載することで、大人5人がゆったりと乗車できる空間を確保することに成功している[2]

2015年東京モーターショーにFCXクラリティのコンセプトを継ぐ車として発表され[3]、2016年3月10日発売が開始された[1]。1充填(3分)あたり航続距離750kmを実現している[4]。ホンダがリースをしてきたFCXクラリティより高圧の70MPaの圧縮水素タンクを採用し、トヨタ・MIRAIと共通化を果しており、水素ステーションの設備の共通化に貢献する取り組みとなっている[5]

2019年12月18日、一部改良をした2020年モデルをアメリカで発表[6][7]。車両接近通報装置、寒冷時のシステムの起動性能が改良された[6][7]

クラリティ PHEV[編集]

2017年4月14日から開催されたニューヨーク国際オートショーで、本車のプラグインハイブリッド版である「CLARITY PLUG-IN HYBRID(クラリティ プラグイン ハイブリッド)」を電気自動車の「CLARITY ELECTRIC(クラリティ エレクトリック)」と同時に発表した。[8]

日本では2018年夏から導入する予定であると東京モーターショー2017で発表され[9]、2018年7月19日に「クラリティ PHEV」の車種名で翌20日から発売すると正式に発表された[10]

クラリティ エレクトリック[編集]

2017年4月14日から開催されたニューヨーク国際オートショーで、本車の純電動版である「CLARITY ELECTRIC(クラリティ エレクトリック)」を「CLARITY plug-in hybrid (クラリティ プラグインハイブリッド)と同時に発表した。[8]

2017年8月4日からカリフォルニア州オレゴン州でリース販売を開始した[11]。これによって、世界で初めて同一プラットフォームにFCEV、PHEV、BEVという3種類の電動パワートレインを採用した車種となった。

ホンダ・クラリティPHEV
ZC5型
北米仕様フロント
概要
製造国 日本の旗 日本埼玉県
販売期間 2017年-2021年(北米
2018年7月20日-2021年9月30日(日本)
ボディ
乗車定員 5名
ボディタイプ 4ドアセダン
駆動方式 前輪駆動
パワートレイン
エンジン LEB型:
1,496cc 直列4気筒DOHC
モーター H4型:交流同期電動機
最高出力 エンジン:
77kW (105PS)/5,500rpm
モーター:
135kW (184PS)/5,000-6,000rpm
最大トルク エンジン:
134N·m (13.7kgf·m)/
5,000rpm
モーター:
315N·m (32.1kgf·m)/
0-2,000rpm
変速機 電気式無段変速機
前:マクファーソン式
後:マルチリンク(ウィッシュボーン)式
前:マクファーソン式
後:マルチリンク(ウィッシュボーン)式
車両寸法
ホイールベース 2,750mm
全長 4,915mm
全幅 1,875mm
全高 1,480mm
車両重量 1,850kg
その他
ブレーキ 前:油圧式ベンチレーテッドディスク
後:油圧式ディスク
系譜
後継 無し
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ホンダ・クラリティ エレクトリック
リア
概要
製造国 日本の旗 日本埼玉県
販売期間 2017年-2019年
ボディ
乗車定員 5名
ボディタイプ 4ドアセダン
駆動方式 前輪駆動
パワートレイン
モーター 120 kW
車両寸法
ホイールベース 2,750 mm
全長 4,895 mm
全幅 1,877 mm
全高 1,478 mm
車両重量 1,825 kg
その他
モーター位置 フロント
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年表[編集]

  • 2015年10月20日 - 東京モーターショー2015で世界初披露[3]
  • 2016年
  • 2017年5月18日 - 燃料電池自動車の将来の用途拡大に向け、東京都帝都自動車交通宮城県の仙台タクシー、埼玉県の大宮自動車、神奈川県日野交通の4社の協力を受け、同年6月末をめどにタクシー運用を開始することを発表した[14]
  • 2018年7月19日 - 日本での発売を予告していたプラグインハイブリッドモデル「CLARITY PHEV(クラリティ ピーエイチイーブイ)」[10]を翌7月20日から発売すると発表。
    • パワートレインを燃料電池から2モーターハイブリッドシステム「SPORT HYBRID i-MMD」とバッテリーの組み合わせにしたもので、EV走行距離(充電電力使用時走行距離)は114.6km(ハイブリッド燃費はJC08モードで28.0km/L、WLTCモードで24.2km/L)を実現。また、販売開始に合わせてNCSネットワークの充電器約20,800基が利用できるホンダ独自の充電カードサービス「Honda Charging Service(ホンダ チャージング サービス)」を開始する。タイプ体系は「EX」のみの設定。リース販売形式だったアコードプラグインハイブリッドと異なり、全国のHonda Cars店で一般販売される。
  • 2019年12月19日 - 燃料電池モデルのフューエル セルを一部改良[15]
    • ドアミラーのカラーをルーフカラー(ボディカラーでクリスタルブラック・パール設定時は除く)と同じブラックに、アルミホイールの塗装をグレーメタリックにそれぞれ変更。ガラスは赤外線(IR)カット機能が追加されたほか、低温域での性能が向上された。なお、ボディカラーはブラックのルーフカラーと組み合わせた有料色の2トーン仕様で設定が変更され、赤系は「プレミアムブリリアントガーネット・メタリック」から「プレミアムディープロッソ・パール」に、ホワイトパール系は「ホワイトオーキッド・パール」から「プラチナホワイト・パール」へそれぞれ入れ替えとなった。
  • 2020年6月11日 - 燃料電池モデルのフューエル セルにおいて、個人向けリースの取り扱いを開始したことが発表された。なお、水素ステーションの設置状況の関係で、取り扱い開始時点では、全国のHonda Carsのうち、26都道府県・35社のみとなる[16]
  • 2021年
    • 6月15日 - 同年12月末の狭山工場の閉鎖に伴い、同年12月末までにフューエル セル、PHEV共に日本仕様車の生産終了が公表された[17]
    • 9月中旬 - フューエル セル、PHEVの各日本仕様車が生産終了。
    • 9月30日 - フューエル セル、PHEVの各日本仕様車が販売終了。前者は同社が日本市場におけるFCVから事実上撤退する事となり、後者は販売期間が僅か3年2カ月で、同社が2017年9月から2020年8月まで販売していた10代目シビックセダン(日本仕様車)に次ぐ短命な車種となった。
    • 12月 - フューエル セル、PHEVの各北米仕様車が販売終了。名実共にクラリティの商標が消滅した。

脚注[編集]

注釈[編集]

出典[編集]

  1. ^ a b c ホンダ公式サイト - ニュースリリース - 「新型燃料電池自動車「CLARITY FUEL CELL」を発売 〜ゼロエミッションビークルで世界トップクラスの一充填走行距離約750kmを実現〜」
  2. ^ a b c d “【ホンダ、FCVのクラリティ フューエル セルを発売。一充填で約750km走行可能”. カービュー. (2016年3月11日). http://carview.yahoo.co.jp/article/photo/20160310-20102780-carview/ 2016年4月10日閲覧。 
  3. ^ a b “新型燃料電池自動車「CLARITY FUEL CELL」市販予定車を「第44回東京モーターショー2015」で世界初披露 〜2016年3月に日本でリース販売を開始〜”. Hondaニュースリリース. (2015年10月28日). http://www.honda.co.jp/news/2015/4151028.html 
  4. ^ “【ホンダ クラリティ フューエル セル】航続距離750km、当初目標から50kmも伸長”. Response.. (2016年3月11日). http://response.jp/article/2016/03/11/271391.html 2016年4月10日閲覧。 
  5. ^ “ホンダのスマート水素ステーションは燃料電池車の普及を後押しする”. SankeiBiz. (2016年3月27日). https://web.archive.org/web/20160401151211/http://www.sankeibiz.jp/business/news/160327/bsa1603271702004-n1.htm 2016年4月10日閲覧。 
  6. ^ a b ホンダ クラリティ の燃料電池車、寒冷時の起動性能を向上…2020年型を米国発表”. レスポンス. 株式会社イード (2019年12月18日). 2020年1月3日閲覧。
  7. ^ a b ホンダ、FCV「クラリティ フューエル セル」を一部改良”. Car Watch. 株式会社インプレス (2019年12月19日). 2020年1月3日閲覧。
  8. ^ a b 2017年ニューヨークオートショーで「CLARITY PLUG-IN HYBRID」と「CLARITY ELECTRIC」を世界初公開”. 本田技研工業 (2017年4月13日). 2017年10月26日閲覧。
  9. ^ “【東京モーターショー2017】ホンダ 八郷社長が4輪の「クラリティ PHEV」、2輪の「PCX ハイブリッド」2018年発売を告知”. Car Watch. (2017年10月26日). https://car.watch.impress.co.jp/docs/event_repo/2017tokyo/1088154.html 2017年10月26日閲覧。 
  10. ^ a b 新型プラグインハイブリッドモデル「CLARITY PHEV」を発売』(プレスリリース)本田技研工業、2018年7月19日http://www.honda.co.jp/news/2018/4180719-clarity-phev.html2018年7月19日閲覧 
  11. ^ “ホンダ米法人、「CLARITY ELECTRIC」をカリフォルニア州とオレゴン州で提供開始”. スマートグリッドフォーラム. (2017年8月4日). http://sgforum.impress.co.jp/news/4105 2017年10月26日閲覧。 
  12. ^ “【【ニューヨークモーターショー16】ホンダ クラリティ フューエル セル、米国仕様を初公開へ”. Response.. (2016年3月22日). http://response.jp/article/2016/03/22/271931.html 2016年4月10日閲覧。 
  13. ^ 「CLARITY FUEL CELL」が2016〜2017 日本自動車殿堂カーテクノロジーオブザイヤーを受賞』(プレスリリース)本田技研工業株式会社、2016年11月7日http://www.honda.co.jp/news/2016/4161107.html2016年11月7日閲覧 
  14. ^ 燃料電池自動車「CLARITY FUEL CELL」のタクシー運用を開始』(プレスリリース)本田技研工業株式会社、2017年5月18日http://www.honda.co.jp/news/2017/4170518.html2017年5月29日閲覧 
  15. ^ 燃料電池自動車「CLARITY FUEL CELL」を一部改良して発売』(プレスリリース)本田技研工業株式会社、2019年12月19日https://www.honda.co.jp/news/2019/4191219-clarity-fuel-cell.html2019年12月19日閲覧 
  16. ^ 「CLARITY FUEL CELL」個人のお客様向けリースの取り扱いを開始』(プレスリリース)本田技研工業株式会社、2020年6月11日https://www.honda.co.jp/news/2020/4200611.html2020年6月11日閲覧 
  17. ^ “マジかよ…… さらば超名門車オデッセイ!! 2021年内3車種販売終了でホンダ大改革の行方”. ベストカーWeb (講談社ビーシー). (2021年6月15日). https://bestcarweb.jp/news/business/292798 

関連項目[編集]

外部リンク[編集]