フリー・メディア・アワード

フリー・メディア・アワード英語: Free Media Awards、正式名称は英語: Gerd Bucerius Prize for Free Press in Eastern Europeあるいはドイツ語: Gerd Bucerius-Förderpreis Freie Presse Osteuropas)は、東ヨーロッパジャーナリスト報道機関を対象とした賞である。2000年、ドイツのZEIT-Stiftung財団(en)と、ノルウェーのFritt Ord財団(en)によって設立された。

受賞者[編集]

2000年代[編集]

2000年[1]

2001年[2]

  • ゼルカロ・トィズニャ(Дзеркало тижня(en)):ウクライナの新聞
  • アーシャ・トレチュク:ベラルーシのジャーナリスト
  • ベロルスカヤ・デロヴァヤ・ガゼータ(Белорусская деловая газета(en)):ベラルーシのロシア語新聞
  • オブシチャヤ・ガゼータ(Общая газета(ru)):ロシアの新聞

2002年[3]

2003年[4]

  • ズヴォボドヌィー・クルス(Свободный курс(ru)):ロシアの新聞
  • エクスプレス(Експрес(en)):ウクライナの新聞
  • ベラルースィ・イ・ルィナク(Беларусы і рынак(en)):ベラルーシの新聞(新聞名は当時)
  • ニコライ・マルテヴィチ:ベラルースィ・イ・ルィナクのジャーナリスト

2004年[5]

  • ネフスコエ・ブレミャ(Невское время(ru)):ロシアの新聞
  • ズヴェズダ(Звезда(ru)):ロシアの新聞
  • モロドイ・ブコヴィネツ(Молодой буковинец(ru)):ウクライナの新聞
  • インテックス・プレス(Intex-press(en)):ベラルーシの新聞
  • 24サーチ(24 საათი):ジョージアの新聞
  • ユリヤ・ラトィニナ(en):ロシアのジャーナリスト・著作家
  • スヴャトラーナ・カリンキナ(en):ベラルーシのジャーナリスト

2005年[6]

  • ザ・ニュー・タイムズ(The New Times(ru)):ロシアの雑誌
  • チェチェンスコエ・オブシチェストヴォ(Чеченское общество):ロシアの新聞
  • ベラパン(БелаПАН(en)):ベラルーシの通信社
  • ヴィテプスキー・クリエル(Витебский Курьер(en)):ベラルーシの新聞。本社ヴィーツェプスク
  • Резонанси:ジョージアの新聞
  • セミョーン・ノヴォプルドスキー:ロシアのジャーナリスト

2006年[7]

  • サリダルナスツィ(Салідарнасць(be)):ベラルーシの新聞
  • オブシチェストヴォ・ロシースコ - チェチェンスコイ・ドルジュブィ(Общество российско-чеченской дружбы(en)):ロシアの通信社
  • ソヴェトスカヤ・カルムィキヤ・セゴドニャ(Советская Калмыкия сегодня):ロシアの新聞
  • ヴィボルグスキエ・ヴェドモスチ(Выборгские Ведомости):ロシアの新聞
  • ファティマ・トリソワ(en):ロシアのジャーナリスト
  • ヴェロニカ・シャホワ:ロシアのジャーナリスト
  • ウクラインシカ・プラウダ(Українська правда(en)):ウクライナの新聞

2007年[8]

  • ナタリヤ・ノヴォジロワ:ロシアのジャーナリスト
  • インフォーム・ポリス(Inform Polis):ロシアの新聞
  • カフカスキー・ウゼル(Кавказский узел(en)):ロシアのニュースポータル。北コーカサス地方について報道する。
  • TURAN:アゼルバイジャンの通信社
  • ナーシャ・ニヴァ(Наша Ніва(en)):ベラルーシの新聞
  • CDMAG:ベラルーシのメディア事業

2008年[9]

  • ザ・ニュー・タイムズ(The New Times(ru)):ロシアの雑誌
  • モイ・ゴロド・ベズ・チェンズルィ(Мой город без цензуры):ロシアの新聞
  • ヴィクトリヤ・イヴレワ(ru):ロシアのジャーナリスト・フォトジャーナリスト
  • エレーナ・ラリオノワ:ロシアのジャーナリスト
  • ハゼータ・スロニムスカヤ(Газета Слонімская(en)):ベラルーシの新聞。本社スロニム
  • エジェドネウニク(Ежедневник):ベラルーシのポータルサイト
  • Rauf Mirqədirov(en):アゼルバイジャンのジャーナリスト

2009年[10]

2010年代[編集]

2010年[11]

  • ミハイル・ベケトフ(en):ロシアの新聞ヒムキンスカヤ・プラウダ(Химкинская правда、本社ヒムキ)のジャーナリスト
  • アルセニエフスキエ・ヴェスチ(Арсеньевские вести(ru)):ロシアの新聞。本社ウラジオストク
  • ボリソフスキエ・ノヴォスチ(Борисовские новости):ベラルーシの新聞。本社バルィサウ
  • リベラル:ジョージアの新聞
  • Şahvələd Çobanoğlu:アゼルバイジャンのジャーナリスト
  • ANTV(az):アゼルバイジャンのネットワークテレビ
  • Էդիկ Բաղդասարյան(en)アルメニアのジャーナリスト

2011年[12]

  • チェルノヴィク(Черновик(en)):ロシア連邦ダゲスタン共和国の新聞
  • ナタリヤ・イヴァニシナ:ロシアのジャーナリスト
  • マリナ・コクトィシュ:ベラルーシのジャーナリスト
  • Zamin Hacı:アゼルバイジャンのジャーナリスト
  • A1+(Ա1+(en)):アルメニアのニュースポータルサイト

2012年[13]

  • オリガ・ロマノワ(en):ロシアのジャーナリスト・モスクワのこだま(Эхо Москвы)のブロガー、ザ・ニュー・タイムズ(The New Times(ru))のコラムニスト
  • ドーシュ(Дош(ru)):ロシア・コーカサス地方の雑誌
  • ヴァレリー・カルバレヴィチ(ru):ベラルーシのジャーナリスト・雑誌編集長
  • ウクラインシクィー・ティジェニ(Український тиждень(en)):ウクライナの週刊誌
  • Xədicə İsmayıl(en):アゼルバイジャンのジャーナリスト

2013年[14]

  • エレーナ・コスチュチェンコ(en):ロシアのジャーナリスト。ノーヴァヤ・ガゼータ調査報道記者
  • アレクサンドル・ゴリツ(ru):ロシアのジャーナリスト。オンライン新聞エジェドネヴヌィー・ジュルナル(Ежедневный журнал(ru))編集長
  • ヤクーツク・ヴェチェルニー(Якутск вечерний(ru)):ロシアの週刊誌
  • セルヒー・レシチェンコ(en):ウクライナのジャーナリスト
  • Təhminə Tağızadə(ru):アゼルバイジャンのジャーナリスト
  • Mehman Hüseynov(en):アゼルバイジャンのジャーナリスト

2014年[15]

  • マリヤ・エイスモント(ru):ロシアのジャーナリスト
  • ドーシチ(Дождь):ロシアのテレビチャンネル
  • テチャナ・チョルノヴォル(en):ウクライナのジャーナリスト
  • ユリヤ・モストワ(ru):ウクライナのジャーナリスト
  • ムスタファ・ナイエム(en):ウクライナのジャーナリスト
  • アリャクサンダル・クラスコウスキ(ru):ベラルーシのジャーナリスト
  • Objective TV:アゼルバイジャンのインターネットテレビ
  • Epress.am:アルメニアのニュースポータルサイト

2015年[16]

  • Netgazeti:ジョージアのニュースポータルサイト
  • シャルヒー・ハルマシュ(ru):ウクライナのジャーナリスト。インターネットサイトオストロフ(ОстроВ(uk))編集長
  • スリドストウォ・インフォ(Слідство.Інфо(uk)):ウクライナの通信社
  • ワレンティナ・サマル(ru):ウクライナのジャーナリスト
  • プスコフスカヤ・グベールニヤ(Псковская губерния(ru)):ロシアの新聞
  • ガリーナ・ティムチェンコ(en):ロシアのジャーナリスト。ラトビアのオンライン新聞メヅザ(Медуза(ru))創設者

2016年[17]

  • ナーシ・フロシ(Наші гроші(uk)):ウクライナのウェブサイト
  • エレーナ・ミラシナ(ru):ロシアのジャーナリスト
  • Seymur Hazi:アゼルバイジャンの編集者・コメンテイター

2017年[18]

  • セルゲイ・ヨルキン(ru):ロシアのカリカチュア作家
  • アントン・ナウムリュク(uk):ロシアのジャーナリスト
  • Zaruhi Mejlumyan:アルメニアのジャーナリスト

2018年[19]

  • ベラルスキ・パルツィザン(Беларускі партызан(en)):ベラルーシの新聞
  • フォンタンカ・ル(Фонтанка.ру(ru)):ロシアの新聞
  • Chai Khana:ジョージアのマルチメディアフレームワーク(en)

2019年[19]

  • ザ・インサイダー(The Insider):ロシアのインターネット新聞
  • ノヴォエ・ブレミャ(Новое время(ru)):ウクライナのロシア語雑誌
  • Hafiz Babali:アゼルバイジャンのジャーナリスト
  • (英語名)CivilNet(Սիվիլիթաս հիմնադրամ(en)):アルメニアのマルチメディアフレームワーク
  • セミ・ナ・セミ(7×7(en)):ロシアのオンライン新聞

2020年代[編集]

2020年[20]

  • メディアゾナ(Медиазона(en)):ロシアのオンライン新聞
  • プロエクト(Проект(en)):ロシアのオンライン新聞
  • Əziz Kərimov(en):アゼルバイジャンのジャーナリスト
  • スタニスラウ・アセーウ(en):ウクライナのジャーナリスト
  • スヘムィ(Схеми):ウクライナのブロードキャスト

2021年[21]

  • カチャルィナ・バルィセヴィチ(en):ベラルーシのジャーナリスト。TUT.BY所属
  • カチャルィナ・アンドレエワ(en):ベラルーシのジャーナリスト。ベルサト(БелСат)(ru)所属
  • ダリヤ・チュリツォワ(en):ベラルーシのジャーナリスト。ベルサト所属
  • ナタリヤ・ルブネウスカヤ:ベラルーシのジャーナリスト。ナーシャ・ニヴァ(Наша Ніва(en))所属
  • TUT.BY(en):ベラルーシのポータルサイト
  • (直訳)ベラルーシ・ジャーナリスト協会(Беларуская асацыяцыя журналістаў(en)):ベラルーシの組織

2022年[22]

  • ザボロナ:ウクライナのインターネット新聞
  • ウラディスラウ・エスィペンコ(ru):ウクライナのジャーナリスト
  • ムストィスラウ・チェルノフ(uk):ウクライナのフォトグラファー
  • エウヘン・マロレトカ(ru):ウクライナのフォトグラファー
  • ナタリヤ・フメニュク(ru):ウクライナのジャーナリスト
  • アンドリー・ドゥブチャク(uk):ウクライナのジャーナリスト

2023年[23]

  • セウヒリ・ムサエワ(uk)[注 1]:ウクライナのジャーナリスト
  • ユーリー・ニコロウ:ウクライナのジャーナリスト
  • OCメディア(OC Media):ジョージア(グルジア)のインターネットメディア
  • リフォーム・バイ(Reform.by(be)):ベラルーシのインターネットメディア
  • ヴァジヌィエ・イストリイ(Важные истории)[注 2]:ロシアのオンライン新聞

他組織による評価[編集]


2021年・世界報道自由度ランキング
自由度高←          →自由度低
データなし  

一方、国境なき記者団による、各国の報道の自由を計る指標(世界報道自由度ランキング)では、賞の対象となっている国の報道の自由度は、2021年時点では全体的に高くない。2021年度の発表では、180国中、ジョージア:60位、アルメニア:63位、ウクライナ:97位、ブルガリア:112位、ロシア:150位、ベラルーシ:158位、アゼルバイジャン:167位となっている[24]

メディアに対する規制の例[編集]

2020年から2021年にかけて起きた、ベラルーシ反政府デモに関連する報道を行ったカチャルィナ・アンドレエワ、ダリヤ・チュリツォワの2人(どちらも2021年フリー・メディア・アワード受賞)は、2020年11月15日に逮捕され、2021年2月には2年間の懲役の判決を受けた[25]

2022年、ロシアのウクライナ侵攻が始まると、同年3月1日にロシア連邦検事局ロシア語版[注 3]は、ドーシチ(2014年フリー・メディア・アワード受賞)とモスクワのこだまに対し、報道の制限を要求した。また、同日、ロシア通信情報技術監督庁[注 4]は、両メディアのサイトをブロックした。検事局は、両メディアの報道は、ロシア国民に対して過激主義・暴力を呼び掛ける情報であり、社会秩序と安全を紊乱する内容が含まれること、また、現行の法律に反するデモ活動を呼び掛けていることを、報道規制の理由であると発表した[28][注 5]。これに対し、2022年3月3日、ドシチは一時的な報道中止を決定した[31]。また、ドシチは、最後のニュースで、大勢のスタッフがカメラの前から立ち去るパフォーマンスと、ソ連8月クーデターの際に、ニュース報道の代わりに3日間流され続けていた白鳥の湖の映像を流し、抗議の意を示した[32]

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ クリミア・タタール語ではSevgil Hayretdin qızı Musayeva。
  2. ^ ロシア語・英語による報道をしており、サイトの英語表記は Important Stories。
  3. ^ 「ロシア連邦検事局」はロシア語: Прокуратура Российской Федерацииの直訳による[26]
  4. ^ 「ロシア通信情報技術監督庁」は日本語報道記事上の表記による[27]
  5. ^ 2022年時点のロシアの法律では、反戦デモなどの抗議活動は取り締まりの対象となっている[29]。また、2022年3月4日には、ロシア当局が虚偽の情報とみなした場合、その発信者に刑罰を科す法案が出された[30]

出典[編集]

  1. ^ Preisträger 2000 // ZEIT-Stiftung.
  2. ^ Preisträger 2001 // ZEIT-Stiftung.
  3. ^ Preisträger 2002 // ZEIT-Stiftung.
  4. ^ Preisträger 2003 // ZEIT-Stiftung.
  5. ^ Preisträger 2004 // ZEIT-Stiftung.
  6. ^ Preisträger 2005 // ZEIT-Stiftung.
  7. ^ Preisträger 2006 // ZEIT-Stiftung.
  8. ^ Preisträger 2007 // ZEIT-Stiftung.
  9. ^ Preisträger 2008 // ZEIT-Stiftung.
  10. ^ Preisträger 2009 // ZEIT-Stiftung.
  11. ^ Preisträger 2010 // ZEIT-Stiftung.
  12. ^ Preisträger 2011 // ZEIT-Stiftung.
  13. ^ Preisträger 2012 // ZEIT-Stiftung.
  14. ^ Preisträger 2013 // ZEIT-Stiftung.
  15. ^ Preisträger 2014 // ZEIT-Stiftung.
  16. ^ Preisträger 2015 // ZEIT-Stiftung.
  17. ^ Free Media Awards 2016 vergeben. Medienpreis von ZEIT-Stiftung und Stiftelsen Fritt Ord für unabhängigen Journalismus in Osteuropa // ZEIT-Stiftung.
  18. ^ Free Media Awards 2017 gehen an Meydan TV, Zaruhi Mejlumyan, Anton Naumlyuk und Sergej Jolkin // ZEIT-Stiftung.
  19. ^ a b Unerschrockener Journalismus in Russland, Belarus und Georgien Free Media Awards 2018 vergeben // ZEIT-Stiftung.
  20. ^ Free Media Awards 2020 honour courageous journalists in Russia, Azerbaijan and Ukraine // ZEIT-Stiftung.
  21. ^ Free Media Awards 2021 gehen an Journalist:innen aus Belarus // ZEIT-Stiftung.
  22. ^ Free Media Awards 2022: Zaborona Won The Prize
  23. ^ Fritt Ord’s and ZEIT-Stiftung’s Free Media Awards for 2023: Free Media Awards to journalists and media outlets from Ukraine, Georgia, Belarus and Russia
  24. ^ 2021 World Press Freedom Index // Reporters Without Borders
  25. ^ Журналістак «Белсату» Андрэеву і Чульцову пакаралі 2 гадамі турмы за стрым з «плошчы Перамен». ФОТА і ВІДЭА” (ベラルーシ語). Радыё Свабода. 2022年5月30日閲覧。
  26. ^ 井桁貞義編 『コンサイス露和辞典』 三省堂、2009年、p855
  27. ^ ロシア、サイトへのアクセス遮断 「戦争」の表現を問題視”. 東京新聞 (2022年3月2日). 2022年3月2日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年5月30日閲覧。
  28. ^ Генпрокуратура России”. Telegram. 2022年5月30日閲覧。
  29. ^ ロシア各地で反戦デモ 1400人拘束 // AFP BB News 2022.2.25.
  30. ^ ロシア、フェイクニュースと見なせば禁錮刑に 欧米メディア取材停止 // 朝日新聞デジタル 2022.3.5.
  31. ^ AFP (2022年3月3日). “Liberal Russian TV Dozhd Suspending Operations Over Ukraine Ban” (英語). The Moscow Times. 2022年5月30日閲覧。
  32. ^ Tapp, Tom (2022年3月3日). “TV Rain, Russia’s Last Independent TV Channel, Airs Symbolic Protest On Final Broadcast” (英語). Deadline. 2022年5月30日閲覧。