フィリップ (ベルギー王)

フィリップ
Philippe
ベルギー国王
ベルギー建国記念日英語版の軍事パレードにおけるフィリップ王(2018年7月21日)
在位 2013年7月21日
即位式 2013年7月21日

全名 Philippe Léopold Louis Marie
フィリップ・レオポルド・ルイ・マリー
出生 (1960-04-15) 1960年4月15日(64歳)
ベルギーの旗 ベルギーブリュッセル市
配偶者 マティルド・デュデケム・ダコ
子女 エリザベート
ガブリエル
エマニュエル
エレオノール
家名 ベルジック家
父親 アルベール2世
母親 パオラ・ルッフォ・ディ・カラブリア
宗教 キリスト教カトリック教会
サイン
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ベルギー王室



フィリップフランス語Philippe Léopold Louis Marie, オランダ語:Filip Leopold Lodewijk Maria、1960年4月15日 - )は、ベルギーの国王(在位: 2013年7月21日 - )。アルベール2世パオラ王妃の長子で、妹にアストリッド王女、弟にロラン王子がいる。

来歴[編集]

2017年、アントワープにて

はじめイギリスのオックスフォード大学トリニティ・カレッジに留学、その後アメリカのスタンフォード大学大学院に留学した。

帰国後の1980年に空軍中尉に任官した。空挺部隊などに配属された後、1989年に空軍大佐、2001年にはベルギー・空3軍の少将に昇進した。

1999年12月4日、デュデケム・ダコ伯爵令嬢マティルドと結婚した。

2004年、ベルギー北部のフランデレン地域の独立を目指すフラームス・ベランフを念頭に置いて「一部の政党は、国をばらばらにしたいと考えている。彼らは私を相手にすることになるだろう。私は恐ろしくもなれる。油断はしない」と語り、同党支持者を怒らせたことがある[1]

2013年7月3日、父アルベール2世は7月21日の建国記念日をもってフィリップ王子に譲位すると表明した[2]。当日、アルベール2世の退位布告への署名の後、フィリップは即位の宣誓を行い、予定通り第7代ベルギー国王に即位した[3]

用心深く付き合いづらい性格といわれ、言語戦争とも呼ばれる国内の分離独立運動に対しては、寛大で友好的だった父アルベール2世のような政治的手腕を発揮できないのではという指摘もある[1]。アルベール2世が譲位に踏み切った背景には、国王としての年齢的な理由もさることながら、まだ自身の目の黒いうちに政治に関する経験の浅いフィリップに少しでも多くの政治経験を積ませるための配慮があり、2014年に予定されている次の総選挙の1年前というタイミングを選ぶに至ったとみる向きもある[4]

2020年、アメリカで発生したジョージ・フロイトの事件を契機に人種差別への批判が世界的な高まりを見せると、ベルギーでも植民地であったコンゴ自由国における迫害行為が注目されるようになり、当時の国王であるレオポルド2世の像が破壊されたり撤去に向けた請願運動が起こされるなどした[5]

こうした動きを背景にフィリップはコンゴ民主共和国フェリックス・チセケディ大統領に書簡を送り、過去の植民地支配について「遺憾の極み」を伝えるとともに2022年にはコンゴ民主共和国を訪問。演説の中で植民地支配により同国に与えた「苦痛と屈辱」に対し、改めて遺憾の意を表明した[6]

日本との関係[編集]

ブリュッセルで行われた1999年12月の成婚式には、日本から皇太子徳仁親王(当時)と同雅子妃(当時)が参列している。

2002年6月には夫妻で来日し、FIFAワールドカップ日本代表ベルギー代表戦(埼玉スタジアム2002)を皇太子夫妻とともに観戦した[7]

2005年6月には愛・地球博賓客として来日した[8]

2012年6月に300人のベルギー人ビジネスマンを連れて夫妻で来日、日本とベルギーの経済関係の強化の働きかけを行ったほか、マティルド妃は東日本大震災の被災地宮城県を訪問した[9]

2016年10月11日から14日まで、マティルド王妃とともに国王として初来日(国賓)[10]

2019年10月22日の即位礼正殿の儀に参列し、同日中に迎賓館赤坂離宮安倍晋三内閣総理大臣と会談を行った[11]

子女[編集]

系譜[編集]

フィリップ 父:
アルベール2世
祖父:
レオポルド3世
曾祖父:
アルベール1世
曾祖母:
バイエルン公
エリザベート[1]
祖母:
アストリッド[4]
曾祖父:
ヴェステルイェートランド公
カール[2]
曾祖母:
デンマーク王女
インゲボー[3]
母:
パオラ
祖父:
フルコ8世
曾祖父:
ルッフォ・ディ・カラブリア公
フルコ
曾祖母:
ローラフランス語版
祖母:
ルイーザオランダ語版
曾祖父:
ロッサーナ伯
アウグスト
曾祖母:
リニョン伯女
マリーア・クリスティーナ
  1. バイエルン公カール・テオドールマリア・ジョゼポルトガルの廃王ミゲル1世の娘)の次女。オーストリア皇后エリーザベトの姪にあたり、同ツィタとは母方の従姉妹同士となる。
  2. スウェーデン国王オスカル2世の三男。
  3. デンマーク国王フレゼリク8世の次女。長兄はデンマーク国王クリスチャン10世、次兄はノルウェー国王ホーコン7世
  4. [4]の次姉、[2]と[3]の次女が、ノルウェー国王オーラヴ5世マッタ

系図[編集]

ザクセン=コーブルク=ゴータ家
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
レオポルド1世
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
レオポルド2世フランドル伯フィリップ
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
アルベール1世
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
レオポルド3世フランドル伯シャルル
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
ボードゥアン1世アルベール2世
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
フィリップ
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 


栄典[編集]

外国[編集]

脚注[編集]

  1. ^ a b Claire ROSEMBERG; Philippe SIUBERSKI (2013年7月22日). “ベルギー新国王を迎える政治的時限爆弾”. AFPBB News. https://www.afpbb.com/articles/-/2957221?pid=11065008 2013年7月22日閲覧。 
  2. ^ ベルギー国王が退位を表明、21日に皇太子に譲位AFP通信 2013年7月3日 2013年7月5日閲覧)
  3. ^ “ベルギー新国王が即位 「言語対立」統合に期待”. 産経新聞. (2013年7月21日). https://web.archive.org/web/20130721171210/http://sankei.jp.msn.com/world/news/130721/erp13072117130002-n1.htm 2013年7月22日閲覧。 
  4. ^ “ベルギー国王が退位を表明、21日に皇太子に譲位”. AFPBB News. (2013年7月4日). https://www.afpbb.com/articles/-/2954177?pid=11002270 2013年7月23日閲覧。 
  5. ^ ベルギー国王、コンゴの植民地支配に「遺憾の極み」表明”. AFP (2020年6月30日). 2022年6月27日閲覧。
  6. ^ コンゴ支配に遺憾表明 ベルギー国王が歴史的訪問”. AFP (2022年6月9日). 2022年6月27日閲覧。
  7. ^ 外務省公式ウェブサイト
  8. ^ ベルギー王国フィリップ皇太子殿下の訪日について外務省公式ウェブサイト
  9. ^ フィリップ・ベルギー王国皇太子同妃両殿下の来日外務省公式ウェブサイト
  10. ^ ベルギー国王、10月に国賓で来日”. 日本経済新聞 (2016年8月15日). 2017年10月8日閲覧。
  11. ^ 令和元年10月22日 即位礼正殿の儀参列者との二国間会談等(4) | 令和元年 | 総理の一日 | ニュース | 首相官邸ホームページ

外部リンク[編集]

フィリップ (ベルギー王)

1960年4月15日 - 存命中

爵位・家督
先代
アルベール2世
ベルギー国王
2013年 -
現職
ベルギー王室
先代
ボードゥアン1世
ブラバント公爵
1960年 - 2013年
現職
推定相続人
エリザベート・ド・ベルジック