ハルシメジ

ハルシメジ
Entoloma spp.
梅タイプの若い個体
分類
: 菌界 Fungi
: 担子菌門 Basidiomycota
: 菌じん綱 Hymenomycetes
: ハラタケ目 Agaricineae
: イッポンシメジ科 Entolomataceae
: イッポンシメジ属 Entoloma
: ハルシメジ Entoloma spp.
学名
Entoloma spp.
和名
ハルシメジ

ハルシメジ春占地)は、別名シメジモドキ占地擬)とも呼ばれ、イッポンシメジ属に属するキノコEntoloma clypeatum(L.) Kummer の学名が当てられることが多いが、実際にはさまざまな性質を持つものが「ハルシメジ」の呼び名で呼ばれており(後述)、和名「ハルシメジ」はEntoloma clypeatumを含めた「春にバラ科の樹下に発生するイッポンシメジ属のキノコの総称」といえる。将来は学名の変更も十分に考えられる[1]

主に春(4~5月前後)、サクラウメなどのバラ科植物の樹下に散生、束生あるいは群生する。は灰褐色からねずみ色で径5~10cm、ひだは初め白色から胞子の成熟に伴って淡赤色~肉色へ変化する。柄は白色で5~15cm。

特徴[編集]

外見的特徴はしばしばクサウラベニタケやイッポンシメジをはじめとする同属の毒菌とよく似るが、春にバラ科樹下に発生するという生態的特徴による判別が可能であるため、食用菌として広く知られている。

ハルシメジはバラ科の樹下に発生するが、その樹種によって大きく2つのグループに分けられるとされる。一つは梅や桃の樹下に発生するタイプのもので、傘がねずみ色でかすり模様をあらわし非吸水性、辺縁は波打ち反り返ることも多く、しばしばひだに赤変性が見られる。もう一方は桜や野茨に発生するもので、こちらは傘が褐色を帯び吸水性を示し、クサウラベニタケ等の同属菌とよく似た形質となる。後者のものはグアヤク脂による青変性が確認されていることから Entoloma clypeatum の記載と一致せず、これが「ハルシメジ」が複数種の総称とする根拠となっている。

なお、ハルシメジがバラ科樹下に発生するのは菌根による共生を行っているためであるが、近年これが他の菌根菌と異なる特徴を(「ハルシメジ型菌根」)持つことを示すとする研究がある[2][3]

食用ではあるが、発生地(樹木)で農薬が使用されている場合、キノコの内部に蓄積するおそれがある[4]

類似の毒キノコ[編集]

脚注[編集]

  1. ^ ハルシメジ/野生きのこの世界社団法人 農林水産技術情報協会
  2. ^ 小林久泰、「日本産ハルシメジ類の菌根の形態及び生態とその利用に関する研究」 筑波大学博士 (農学) 学位論文・平成17年3月25日 (乙第2111号), NAID 500000333445
  3. ^ きのこの栽培方法 -ハルシメジ- 特許庁[リンク切れ]
  4. ^ ハルシメジの菌根苗作出技術 林業普及情報 No. 25 茨城県 林業技術センター[リンク切れ]

参考画像[編集]

外部リンク[編集]