ハウ・ドゥ・ユー・スリープ?

ハウ・ドゥ・ユー・スリープ?
ジョン・レノン楽曲
収録アルバムイマジン
リリース1971年9月9日
録音1971年5月26日 - 7月5日
時間5分36秒
レーベルアップル・レコード
作詞者ジョン・レノン
作曲者ジョン・レノン
プロデュース
イマジン 収録曲
オー・マイ・ラヴ
(7)
ハウ・ドゥ・ユー・スリープ?
(8)
ハウ?
(9)
ミュージックビデオ
「How Do You Sleep?」 - YouTube

ハウ・ドゥ・ユー・スリープ(眠れるかい?)」 (英語: How Do You Sleep?) は、ジョン・レノンの楽曲。1971年に発表されたスタジオ・アルバムイマジン』のB面3曲目に収録された。内容はビートルズのメンバーだったポール・マッカートニーを痛烈に批判したものである。元来「ハウ・ドゥ・ユー・スリープ」という言葉は、ビートルズのメンバーの間で目の大きなマッカートニーを茶化すために使われていた。

背景[編集]

レノンとマッカートニーは、1970年4月10日のビートルズの解散を契機として決定的な対立関係にあったが、とりわけ1971年当時は大変険悪な状況に陥っていた。マッカートニーは「ポール & リンダ・マッカートニー」名義で発表したセカンドアルバム『ラム[注釈 1]の収録曲「3本足」や「トゥ・メニー・ピープル」で、レノンだけでなくジョージ・ハリスンリンゴ・スターを暗に非難していた[注釈 2][1][2]

これらマッカートニーの楽曲に、レノンは本作を書くことにより反撃した。レノンは後に「僕がポールに対して憤ってたから、この曲を書いた。卑劣な当てつけを込めて書いたから、あいつもそう受け取ったんだ。ただ…あいつのにだって、当てつけはあるんだ。対象を明白にしてないから、誰も気づかないだけさ」と述べた。

レノンは曲中でマッカートニーがビートルズ時代に書いた「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」と「イエスタデイ」、そしてファーストソロシングル「アナザー・デイ」、さらに1969年に広まった都市伝説ポール死亡説」まで持ち出している[3]

作業に同席していたスターは歌詞が完成するにつれて段々と不機嫌になり、過剰な非難を止めるようレノンに忠告した[3]。その場にいたOZ誌のフェリックス・デニスは「極めて幼稚極まり無い内容だった。恐らくリンゴが説得したのだろう。元の歌詞はレコードで聴けるものより、比較にならないくらい下品だった」と評している。

マッカートニーは本作に関して静観を貫いた。「ジョンは酷い嫌な奴とは思わないで欲しい」と発言している。

なお、後年レノンは「あれは自分自身の事を歌ったんだよ。ポールと僕の事に、あんたらは関係ない。曲のインスピレーションを得るために(当時の)ポールへの憎しみを題材として使っただけだ。本当に憎んでたわけじゃない」と発言している[4]

レコーディング[編集]

本作のレコーディングは、1971年5月26日にアスコット・サウンド・スタジオで開始され、7月5日にオーバーダビングが施された[5]。レコーディングには、ビートルズ末期にポールと最も不仲だったと言われるジョージも参加し、スライドギターを演奏した[6]。このほか、クラウス・フォアマンベースアラン・ホワイトドラムスニッキー・ホプキンス電子ピアノフラックス・フィドラーズストリングスで参加した[3]

本作をレコーディングしている様子を記録した映像の中では、女性器を意味する卑語「cunt(「嫌な奴」、「バカな奴」の意味もある)」をもってポールを呼んでいる(「How Do You Sleep, you CUNT?」)。演奏においてもジョンは「もっと悪意を込めて演奏しろ。悪意のある曲だ」と他のメンバーに指示している場面が映像で確認できる。

2018年10月5日に発売された『イマジン:アルティメイト・コレクション』に、テイク5&6が収録された[7]。これに先立ち、同年9月21日に1971年5月26日のセッション時の映像が公開された[7][8]

歌詞からの抜粋[編集]

「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」について
「『サージェント・ペパーズ』はお前にとっちゃ驚きだったろうよ」
「イエスタデイ」、「アナザー・デイ」について
「お前の傑作なんざ「イエスタデイ」だけだ。それも時代遅れになった今となっては「アナザー・デイ」って訳よ」
「ポール死亡説」について
「マニア達はお前が死んだって言ってたけど、その通りだったな」

この他にも、

  • 「その母ちゃん譲りの女々しい目でよく見てみろよ」
  • 「お前を天才だ何だと祭り上げる俗物共と暮らしてるんだろ」
  • 「母ちゃんに何か言われるたびに飛び上がっちゃってさ」
  • 「そのかわいい顔も1、2年くらいはもつだろうが、もうじきお前の才能の限界はみんなに暴かれるだろうさ」
  • 「お前の作る音楽は俺の耳にはバックグラウンド・ミュージックでしかない」
  • 「お前の一番の失敗は、お前のその頭の中だ」
  • 「長年一緒だったから、色々学んできたはずなんだけどな…」

など、かなり辛辣な非難が歌われている。

演奏[編集]

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ この曲が収録された『イマジン』にはポールのアルバム『ラム』のジャケット写真「羊と戯れるもの」のパロディであるポストカード「豚と戯れるジョン」が同封されていた。
  2. ^ 君はチャンスを掴んでたのに、自分自身でフイにしちまった。僕にはどうする事もできない。君が勝手にぶち壊したんだから(「トゥー・メニー・ピープル」)」、「何かにつけて、お説教する人間が多すぎる(「トゥー・メニー・ピープル」)」、「友達だと思ってたのに、僕をガッカリさせた(「3本足」)」

出典[編集]

  1. ^ Playboy Magazine (1984年). “Playboy Interview With Paul and Linda McCartney”. Playboy Press. 2020年7月18日閲覧。
  2. ^ Cadogan, Patrick (2008). The Revolutionary Artist: John Lennon's Radical Years. Morrisville, North Carolina: Lulu. pp. 141. ISBN 978-1-4357-1863-0 
  3. ^ a b c Blaney, John (2005). John Lennon: Listen To This Book. Guildford, Great Britain: Biddles Ltd.. pp. 89. ISBN 0-9544528-1-X 
  4. ^ “Insight & Sound”. Cash Box. (1971-12-11). 
  5. ^ Madinger, Chip; Raile, Scott (2015). LENNONOLOGY Strange Days Indeed - A Scrapbook Of Madness. Chesterfield, MO: Open Your Books, LLC. pp. 239, 247. ISBN 978-1-63110-175-5 
  6. ^ Leng, Simon (2003). The Music of George Harrison: While My Guitar Gently Weeps. London: Firefly Publishing. ISBN 0-946719-50-0 
  7. ^ a b “ジョン・レノン『イマジン』からジョージ・ハリスンとの未発表セッション映像公開”. BARKS (ジャパンミュージックネットワーク). (2018年9月24日). https://www.barks.jp/news/?id=1000160075 2020年7月18日閲覧。 
  8. ^ John Lennon (21 September 2018). How Do You Sleep? (Takes 5 & 6, Raw Studio Mix Out-take) - John Lennon & The Plastic Ono Band. 2020年7月18日閲覧

関連項目[編集]