ニコロズ・バシラシビリ

ニコロズ・バシラシビリ
Nikoloz Basilashvili
2022年全仏オープンでのニコロズ・バシラシビリ
基本情報
国籍 ジョージア (国)の旗 ジョージア
出身地 グルジアの旗 グルジアトビリシ
生年月日 (1992-02-23) 1992年2月23日(32歳)
身長 185cm
体重 79kg
利き手
バックハンド 両手打ち
ツアー経歴
デビュー年 2008年
ツアー通算 5勝
シングルス 5勝
ダブルス 0勝
生涯獲得賞金 8,750,546 アメリカ合衆国ドル
4大大会最高成績・シングルス
全豪 3回戦(2018・19)
全仏 3回戦(2017)
全英 3回戦(2015・22)
全米 4回戦(2018)
4大大会最高成績・ダブルス
全豪 1回戦(2018・21・22)
全仏 2回戦(2018)
全英 3回戦(2022)
全米 1回戦(2017)
キャリア自己最高ランキング
シングルス 16位(2019年5月27日)
ダブルス 148位(2019年5月27日)
2023年2月21日現在

ニコロズ・バシラシビリNikoloz Basilashvili, グルジア語: ნიკოლოზ ბასილაშვილი, 1992年2月23日 - )は、ジョージアトビリシ出身の男子プロテニス選手。ATPツアーではシングルスで5勝を挙げている。自己最高ランキングはシングルス16位。ダブルス148位。身長185cm、体重79kg。右利き、バックハンドストロークは両手打ち。

選手経歴[編集]

ジュニア時代[編集]

5歳でテニスを始め、15歳でロシアに移住して、2007年から2011年の間にアメリカのテニスアカデミーで指導を受ける。18歳でジョージアに戻り、母国のためにテニスをする。

ジュニアでの自己最高ランキングはシングルスとダブルスともに59位。ジュニアグランドスラムには出場したことはない。ITF男子サーキットでの「G4 Tennis Express tournament」で優勝した以外には特に目立った成績は残していない。

2014年ウィンブルドン選手権でのニコロズ・バシラシビリ

2015年 トップ100入り[編集]

2015年全仏オープン男子シングルスで予選を通過し、グランドスラム初出場を果たす。1回戦でタナシ・コキナキスに敗れた。

ウィンブルドン選手権でバシラシビリは躍進する。1回戦でファクンド・バグニスに勝利し、グランドスラム初勝利を果たすと、2回戦で過去3度ウィンブルドンベスト8がある第15シードのフェリシアーノ・ロペスを7-5, 3-6, 6-3, 2-6, 6-4で破る番狂わせを起こした[1]。3回戦で第20シードのロベルト・バウティスタ・アグートに6-7(4), 0-6, 1-6で敗れた。7月27日付の世界ランキングで90位となり、ジョージア国籍の選手としてイラクリ・ラバーゼ以来のトップ100入りを果たした。

2016年 ツアー初の決勝進出[編集]

2016年は7月のオーストリア・オープンでは初めてATPツアーの決勝に進出した。決勝でパオロ・ロレンツィに3-6, 4-6で敗れ、準優勝となった。10月のエルステ・バンク・オープンでは1回戦で世界ランク10位のトマーシュ・ベルディヒを6–4, 6–7(5), 7–5で破った。

2017年 ツアー2度目の準優勝[編集]

2017年は2月のソフィア・オープンでは2回戦で世界ランク8位のドミニク・ティームを破るなど、ベスト4進出。翌週のメンフィス・オープンではツアーで2度目の決勝進出を果たす。決勝でライアン・ハリソンに1-6, 4-6で敗れ準優勝となった。

2018年 ツアー初優勝[編集]

2018年全仏オープンでのニコロズ・バシラシビリ

カタール・エクソンモービル・オープンでは2回戦でボルナ・チョリッチに敗れた。全豪オープンでは3回戦進出するも、カイル・エドマンドにフルセットで敗れた。BNPパリバ・オープンではテニーズ・サングレンとの試合中に棄権して初戦敗退。マイアミ・オープンでは2回戦でケビン・アンダーソンに敗退。ハサン2世グランプリハンガリー・オープンではベスト8入り。

マドリード・オープンでは予選を通過するも、ガエル・モンフィスに1回戦敗退。BNLイタリア国際では2回戦でノバク・ジョコビッチに敗退。全仏オープンでは1回戦でジル・シモンに初戦敗退。ハレ・オープンでは2回戦敗退。アンタルヤ・オープンではベスト8入り。ウィンブルドン選手権では1回戦でまたしてもシモンに敗退。しかし、7月のドイツ国際オープンでは予選から勝ち進みツアーで3度目の決勝進出。決勝で前回優勝者のレオナルド・マイエルに6-4, 0-6, 7-5で勝利し、ツアー初優勝を果たした[2]

全米オープンでは2回戦で第18シードのジャック・ソックを破り、グランドスラムで初の4回戦進出。4回戦ではラファエル・ナダルに敗れた。チャイナ・オープンでは決勝で第1シードのフアン・マルティン・デル・ポトロに勝利してツアー2勝目を挙げた[3]。年間最終ランキングは21位。

2019年 ツアー3勝目[編集]

カタール・エクソンモービル・オープンではベスト8入り。準々決勝でノバク・ジョコビッチに敗れた。全豪オープンでは3回戦でステファノス・チチパスに敗れた。ドバイ・テニス選手権ではベスト8入り。準々決勝でボルナ・チョリッチに敗退した。BNPパリバ・オープンでは初戦敗退。マイアミ・オープンでは初の4回戦進出。4回戦でフェリックス・オジェ=アリアシムに敗退。2019年3月には自身の最高ランキング16位を記録し、ジョージア人選手史上最高ランキングを更新した。

マドリード・オープンではフランシス・ティアフォーに初戦敗退。BNLイタリア国際では3回戦でラファエル・ナダルに敗れた。2019年は5月のリヨン・オープンジョー=ウィルフリード・ツォンガを下してベスト4入りするも、準決勝でフェリックス・オジェ=アリアシムに敗れた。全仏オープンでは初戦敗退。ウィンブルドン選手権では2回戦でダニエル・エバンスに敗れたが、前年優勝を果たしたドイツ国際オープンでは準決勝で第2シードのアレクサンダー・ズベレフを破り、決勝に進出[4]。決勝ではアンドレイ・ルブレフに7-5, 4-6, 6-3で勝利して連覇を果たし、ツアー3勝目を挙げた。

ナショナル・バンク・オープンでは3回戦でアレクサンダー・ズベレフに敗れた。ウエスタン・アンド・サザン・オープンではアンドレイ・ルブレフに初戦敗退。全米オープンでは3回戦でドミニク・コプファーに敗れた。上海マスターズでは3回戦でドミニク・ティームに敗退。パリ・マスターズではラドゥ・アルボットに初戦敗退して、シーズン終了。年間最終ランキングは26位。

2020年 ATP杯初出場[編集]

ATPカップジョージア代表のエースとして出場。結果はラウンドロビン敗退で終わったが、ウルグアイ戦でのパブロ・クエバスとの対戦中にクエバスが審判から「Lack of Effort」(プロらしくないプレー)により警告を受け、クエバス自身その判定に納得がいかず途中棄権をしようとしたが、棄権しないように説得し、試合が再開した。素晴らしいバシラシビリの対応に会場は歓喜した。

全豪オープンでは第26シードとして出場。1回戦で權順宇をフルセットで破るも、2回戦でフェルナンド・ベルダスコに敗退した。そこから調子が上がらず、3月のデビスカップ2020では世界732位のエストニアの選手にストレートで敗れた。さらに新型コロナウイルス感染症流行の影響でツアーが中断になったが、5月には元妻への暴力の嫌疑から逮捕されてしまうこともあった[5]。本人はそれを否認している。

ツアー再開後のウエスタン・アンド・サザン・オープンではフェリックス・オジェ=アリアシムに初戦敗退。全米オープンでは第22シードとして迎えるも、ジョン・ミルマンに1-6, 4-6, 4-6のストレートで敗退。第31シードとして出場した全仏オープンでも初戦敗退。ツアー再開後からは1勝もできずにシーズン終了。年間最終ランキングは40位。

2021年 マスターズ準優勝 ツアー5勝目[編集]

年始のアンタルヤ・オープンではトップ100圏外の相手だが1回戦でイタリアのアンデラ・アルナボルディ、2回戦でトルコのアルトゥグ・チェリクビレクを破り、久しぶりの白星を挙げてベスト4入り。準決勝ではアレックス・デミノーに敗れた。

全豪オープンでは1回戦でトミー・ポールに4-6, 6-7(0), 4-6のストレートで敗退。カタール・エクソンモービル・オープンでは復帰戦だったロジャー・フェデラーを準々決勝で破り、準決勝でテイラー・フリッツを下して、約2年ぶりの決勝進出。決勝ではロベルト・バウティスタ・アグートに7-6(5), 6-2で勝利し、ツアー4勝目を挙げた[6]

BMWオープンでは準決勝でキャスパー・ルード、決勝でヤン=レナード・ストルフを下して、決勝まで1セットも落とすことなく優勝。ツアー5勝目を挙げた。全仏オープンでは第28シードで出場。1回戦でドゥシャン・ラヨビッチに6-4, 6-3, 0-6, 6-2で勝利。2回戦でカルロス・アルカラスに4-6, 2-6, 4-6のストレートで敗れた。ハレ・オープンではベスト4入り。準決勝ではアンドレイ・ルブレフに敗れた。ウィンブルドン選手権では第24シードで出場。1回戦で元世界ランキング1位のアンディ・マリーに4-6, 3-6, 7-5, 3-6で敗れた。

ドイツ国際オープンでは準々決勝でラスロ・ジェレに敗れた。ナショナル・バンク・オープンでは3回戦でホベルト・ホルカシュに敗退。ウエスタン・アンド・サザン・オープンではファビオ・フォニーニに初戦敗退。東京五輪ではジョージア代表として出場。3回戦まで進出し、3回戦ではドイツのアレクサンダー・ズベレフに破れた。

2021年全米オープンでは1回戦でセバスチャン・コルダ(相手の途中棄権)、2回戦ではマクシム・クレシーを破り、3回戦進出。3回戦ではライリー・オペルカにストレートで敗れた。BNPパリバ・オープンでは第29シードで出場。4回戦で第24シードのカレン・ハチャノフ、準々決勝で第2シードのステファノス・チチパスに勝利し、準決勝で第31シードのテイラー・フリッツ、決勝では同じく初のマスターズ1000優勝を目指す第21シードのキャメロン・ノリーに逆転で破れ、ATPマスターズ1000準優勝で幕を閉じた。年間最終ランキングは22位。

2022年 グランドスラム3回戦進出[編集]

2022年全仏オープンでのニコロズ・バシラシビリ

年始のATPカップにはジョージア代表として、2年ぶりに出場するも、ラウンドロビン敗退。

全豪オープンでは第21シードとして出場するも、アンディ・マリーに1回戦で1-6, 6-3, 4-6, 7-6(5), 4-6のフルセットで惜敗。カタール・エクソンモービル・オープンでは2年連続決勝進出。昨年決勝で下したロベルト・バウティスタ・アグートに敗れて、準優勝。BNPパリバ・オープンでは3回戦でキャメロン・ノリーに敗退。マイアミ・オープンではジェンソン・ブルックスビーに初戦敗退。

全仏オープンでは第22シードとして出場して、1回戦でマキシム・クレッシーを3-6, 2-3, 7-6(8), 6-4, 6-4のフルセットで下すも、2回戦でマッケンジー・マクドナルドに3-6, 1-6, 2-6のストレートで敗れた。第22シードで迎えたウィンブルドン選手権ではシングルスで3回戦でティム・ファン・ライトホフェンに4-6, 3-6, 4-6のストレートで敗退。ダブルスでも初の3回戦進出をする。

ウエスタン・アンド・サザン・オープンではマッケンジー・マクドナルドに0-6, 1-6のストレートで惨敗。全米オープンでは第31シードとして出場するも、吴易昺に3-6, 4-6, 0-6のストレートで初戦敗退。パリ・マスターズでは2回戦でロレンツォ・ムゼッティに4-6, 2-6のストレートで敗退。11月中旬のロアンヌ・チャレンジャーでは準々決勝でユーゴ・ガストンに敗れた。年間最終ランキングは91位。

2023年[編集]

全豪オープンでは第8シードのテイラー・フリッツに4-6, 2-6, 6-4, 5-7で初戦敗退。

人物[編集]

ダンサーの父親と内科医の母親の元に生まれた。ジョージア語以外には英語ロシア語を話すことができる。

趣味は料理映画鑑賞である。また航空学心理学に強い関心があり、もしテニス選手でなかったらパイロット心理学者になりたかったと述べている。

憧れていた選手はロジャー・フェデラーラファエル・ナダルであった。

息子がひとりいる。名前はLukas(ルーカス)。

プレースタイル[編集]

ボールを引っ叩くように強打して攻撃的なショットでポイントを量産するアグレッシブベースライナー。そのプレースタイルはアンドレイ・ルブレフに似ている。

繋ぎのスライスショットやロブなどのショットなどはあまり使わず、守備的なプレーは少ない。不調なときはアンフォースドエラーが多くなる。試合中は無愛想で「笑わない男」と呼ばれている。

得意なショットはフォアハンド。得意なサーフェスはハードコートだが、クレーコートでの勝率の方が高い。好きな大会はウィンブルドン選手権である。

ジョージア国籍の選手で初のATPツアーシングルス優勝者。ATPツアー・500シリーズですでに3勝を挙げており、2021年にはジョージア人として初のマスターズ1000準優勝を果たした。

ラケットはプロ転向当初はプリンス (テニスラケット)を使用していたが、後にHEAD (ヘッドスピード) 、シューズNIKEを使用している。ウェアはNIKE、そこからハイドロゲン、ロットとなり、2021年半ばからはアルマーニの兄弟ブランドであるエンポリオ・アルマーニと契約を結び、着用している。

ATPツアー決勝進出結果[編集]

シングルス: 9回 (5勝4敗)[編集]

大会グレード
グランドスラム (0-0)
ATPワールドツアー・ファイナル (0-0)
ATPワールドツアー・マスターズ1000 (0-1)
ATPワールドツアー・500シリーズ (3-0)
ATPワールドツアー・250シリーズ (2-3)
サーフェス別タイトル
ハード (2-2)
クレー (3-1)
芝 (0-0)
カーペット (0-1)
結果 No. 決勝日 大会 サーフェス 対戦相手 スコア
準優勝 1. 2016年7月23日 オーストリアの旗 キッツビュール クレー イタリアの旗 パオロ・ロレンツィ 3–6, 4–6
準優勝 2. 2017年2月19日 アメリカ合衆国の旗 メンフィス ハード (室内) アメリカ合衆国の旗 ライアン・ハリソン 1–6, 4–6
優勝 1. 2018年7月29日 ドイツの旗 ハンブルク クレー アルゼンチンの旗 レオナルド・マイエル 6–4, 0–6, 7–5
優勝 2. 2018年10月7日 中華人民共和国の旗 北京 ハード アルゼンチンの旗 フアン・マルティン・デル・ポトロ 6–4, 6–4
優勝 3. 2019年7月28日 ドイツの旗 ハンブルク クレー ロシアの旗 アンドレイ・ルブレフ 7-5, 4-6, 6-3
優勝 4. 2021年3月15日 カタールの旗 ドーハ ハード スペインの旗 ロベルト・バウティスタ・アグート 7-6(5), 6-2
優勝 5. 2021年5月2日 ドイツの旗 バイエルン国際 クレー ドイツの旗 ヤン=レナード・ストルフ 6-4, 7-6(5)
準優勝 3. 2021年10月17日 アメリカ合衆国の旗 インディアンウェルズ ハード イギリスの旗 キャメロン・ノリー 6-3, 4-6, 1-6
準優勝 4. 2022年2月20日 カタールの旗 ドーハ ハード スペインの旗 ロベルト・バウティスタ・アグート 3-6, 4-6

成績[編集]

略語の説明
 W   F  SF QF #R RR Q# LQ  A  Z# PO  G   S   B  NMS  P  NH

W=優勝, F=準優勝, SF=ベスト4, QF=ベスト8, #R=#回戦敗退, RR=ラウンドロビン敗退, Q#=予選#回戦敗退, LQ=予選敗退, A=大会不参加, Z#=デビスカップ/BJKカップ地域ゾーン, PO=デビスカップ/BJKカッププレーオフ, G=オリンピック金メダル, S=オリンピック銀メダル, B=オリンピック銅メダル, NMS=マスターズシリーズから降格, P=開催延期, NH=開催なし.

大会 2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020 2021 2022 通算成績
全豪オープン A LQ 1R 1R 3R 3R 2R 1R 1R 5–7
全仏オープン A 1R 1R 3R 1R 1R 1R 2R 2R 4-8
ウィンブルドン LQ 3R LQ 2R 1R 2R NH 1R 3R 6-6
全米オープン LQ 1R LQ 1R 4R 3R 1R 3R 7-6

大会最高成績[編集]

大会 成績
ATPファイナルズ A 出場なし
インディアンウェルズ F 2021
マイアミ 4R 2019
モンテカルロ 1R 2017, 2019, 2021, 2022
マドリード 2R 2022
ローマ 3R 2019
カナダ 3R 2019
シンシナティ 3R 2017
上海 3R 2019
パリ 2R 2018, 2022
オリンピック 3R 2021
デビスカップ 2R 2017
ATPカップ RR 2020, 2022

脚注[編集]

外部リンク[編集]