ナント三大陸映画祭

ナント三大陸映画祭（ナントさんたいりくえいがさい、Festival des 3 Continents）は、フランス・ナントで1979年から開催されている映画祭。

概要[編集]

アジア・アフリカ・ラテンアメリカの三大陸の作品に特化している。フィリップ・ジャラドーとアラン・ジャラドー兄弟によって設立された。毎年11月から12月ごろに開催される。

金の気球賞（グランプリ）、銀の気球賞（準グランプリ）、監督賞、審査員特別賞、主演女優賞、主演男優賞、若い観客賞、ナント市民賞などの部門がある。2003年からドキュメンタリー部門が追加されたが、2007年にはフィクション部門と統合された[1]。2000年以降、大スポンサーであったたばこ産業の降板や、経済状況の悪化により、参加者の宿泊補助や食事補助などの削減、パーティーの質素化など経費削減が図られ始めた[2]。入場者数も2002年の4万人をピークに減少し続け、2009年には2万8000人にまで落ち込んだ[3]。2008年に赤字が嵩んだことを受け、後援するナント市に3年での立て直しを求められ、創設者のジャラドー兄弟が運営から退いた[2]。2009年から経費節減により監督賞・女優賞・男優賞の3賞が消滅した。

受賞結果[編集]

金の気球賞（グランプリ）[編集]

回 年 作品 監督 国
1 1979年 Baara スレイマン・シセ マリ共和国の旗 マリ
2 1980年 Chafika et Metwal Ali Badrakhane  エジプト
3 1981年 Eles Não Usam Black-Tie レオン・ヒズマン（ポルトガル語版） ブラジルの旗 ブラジル
Plae kao チュート・ソンスィー（英語版、タイ語版） タイ王国の旗 タイ
4 1982年 Imagi ningthem Aribam Syam Sharma インドの旗 インド
5 1983年 Angela Markado リノ・ブロッカ（英語版） フィリピンの旗 フィリピン
6 1984年 Les Baliseurs du désert ナセル・ケミール（英語版） チュニジアの旗 チュニジア
風櫃の少年 侯孝賢 中華民国の旗 台湾
7 1985年 駆ける少年 アミール・ナデリ イランの旗 イラン
冬冬の夏休み 侯孝賢 中華民国の旗 台湾
8 1986年 野山 Yan Xueshu 中華人民共和国の旗 中国
9 1987年 Anayurt Oteli オメル・カーブル（英語版） トルコの旗 トルコ
10 1988年 ルージュ スタンリー・クワン 香港の旗 香港
11 1989年 水、風、砂 アミール・ナデリ イランの旗 イラン
12 1990年 ウンタマギルー 高嶺剛 日本の旗 日本
13 1991年 Wu ge nu zi he yi gen sheng zi Yeh Hung-wei 中華民国の旗 台湾
14 1992年 血祭りの朝 リー・シャオホン（英語版、中国語版） 中華人民共和国の旗 中国
15 1993年 北京好日 ニン・イン（英語版、中国語版） 中華人民共和国の旗 中国
16 1994年 Dos crímenes ロベルト・スネイデル メキシコの旗 メキシコ
17 1995年 差出人のない手紙 カルロス・カレラ（英語版、スペイン語版） メキシコの旗 メキシコ
18 1996年 トゥルー・ストーリー アボルファズル・ジャリリ イランの旗 イラン
19 1997年 メイド・イン・ホンコン フルーツ・チャン 香港の旗 香港
20 1998年 ワンダフルライフ 是枝裕和 日本の旗 日本
一瞬の夢 賈樟柯 中華人民共和国の旗 中国
21 1999年 ルナ・パパ バフティヤル・フドイナザーロフ（英語版） タジキスタンの旗 タジキスタン
22 2000年 プラットホーム 賈樟柯 中華人民共和国の旗 中国
23 2001年 少年と砂漠のカフェ アボルファズル・ジャリリ イランの旗 イラン
24 2002年 仲間たちのシルクロード マラ・サリュリュ（フランス語版） キルギスの旗 キルギス
25 2003年 7デイズ、7ナイツ ホエル・カノ  キューバ
26 2004年 日日夜夜 ウォン・チャオ（英語版） 中華人民共和国の旗 中国
27 2005年 Melegin düsüsü セミフ・カプランオール トルコの旗 トルコ
28 2006年 埋葬のための数キロのナツメ サマン・サルール イランの旗 イラン
29 2007年 罪と罰 ツァオ・リャン（英語版） 中華人民共和国の旗 中国
30 2008年 パーク・ビア エンリケ・リベロ メキシコの旗 メキシコ
31 2009年 バンドゥービ シン・ドンイル 大韓民国の旗 韓国
32 2010年 川の抱擁 ニコラス・リンコン・ギレ  コロンビア
33 2011年 サウダーヂ 富田克也 日本の旗 日本
34 2012年 三姉妹 雲南の子 王兵 中華人民共和国の旗 中国
35 2013年 ほとりの朔子 深田晃司 日本の旗 日本
36 2014年 自由が丘で ホン・サンス 大韓民国の旗 韓国
37 2015年 凱里ブルース 畢贛 中華人民共和国の旗 中国
38 2016年 In the last days of the city テイマーエルサイード  エジプト
39 2017年 驯马/馴馬 Tao Gu 中華人民共和国の旗 中国
40 2018年 Memories of my Body Garin Nugroho インドネシアの旗 インドネシア
41 2019年 恐龙蛋 ワン・チュアンアン 中華人民共和国の旗 中国

銀の気球賞（準グランプリ）[編集]

年 作品 監督 国
1989年 A ay トルコの旗 トルコ
Finzan マリ共和国の旗 マリ
1999年 AKSUT セリック・アポリモフ カザフスタンの旗 カザフスタン
2001年 見る ゴータム・ゴース インドの旗 インド
2002年 入学試験 ナセル・レファイ イランの旗 イラン
2003年 沈黙の水 サビハ・スマル（英語版） パキスタンの旗 パキスタン
2004年 ボンボン カルロス・ソリン（英語版、スペイン語版） アルゼンチンの旗 アルゼンチン
2005年 さよならみどりちゃん 古厩智之 日本の旗 日本
2006年 その間に ディエゴ・レルマン（英語版、スペイン語版） アルゼンチンの旗 アルゼンチン
2007年 Bunny Chow Know Thyself ジョン・バッカー 南アフリカ共和国の旗 南アフリカ共和国
2008年 稟愛 フォン・イェン 中華人民共和国の旗 中国
2009年 飛ぶことを夢見る盲目のブタ エドウィン インドネシアの旗 インドネシア
2010年 木製のナイフ/108 レナーテ・コサタ パラグアイの旗 パラグアイ
2011年 人山人海 蔡尚君 中華人民共和国の旗 中国
2012年 Beauty Daniela Seggiaro アルゼンチンの旗 アルゼンチン
2013年 収容病棟 王兵 中華人民共和国の旗 中国
2014年 Song of my Mother Erol Mintas トルコの旗 トルコ
2015年 ハッピーアワー 濱口竜介 日本の旗 日本
2016年 ディストラクション・ベイビーズ 真利子哲也 日本の旗 日本
2017年 嘉年华 文晏 中華人民共和国の旗 中国
2018年 Three Adventures of Brooke Yuan Qing 中華人民共和国の旗 中国
2019年 143 Sahara Street Hassen Ferhani アルジェリアの旗 アルジェリア

審査員特別賞[編集]

年 作品 監督 国
1990年 達磨はなぜ東へ行ったのか ペ・ヨンギュン 大韓民国の旗 韓国
1999年 どこまでもいこう 塩田明彦 日本の旗 日本
2000年 プラットホーム 賈樟柯 香港の旗 香港
2001年 害虫 塩田明彦 日本の旗 日本
2003年 ミ　ン ホー・ユアン マレーシアの旗 マレーシア
2004年 二者択一 アレッホ・エルナン・タウベ アルゼンチンの旗 アルゼンチン
2007年 Chouga ダルジャン・オミルバエフ（英語版） カザフスタンの旗 カザフスタン
2008年 中国はまだ遠い マルク・ベンスマール アルジェリアの旗 アルジェリア
2011年 Girimunho ヘルヴェチオ・マリン
クラリサ・カンポリーナ		 ブラジルの旗 ブラジル
2012年 眠れぬ夜 チャン・ゴンジェ 大韓民国の旗 韓国
2013年 Je ne suis pas lu Tayfun Pirselimoglu トルコの旗 トルコ

主演女優賞[編集]

年 受賞者 作品 国
1986年 フェルナンダ・トーレス（英語版、ポルトガル語版） Com Licença, Eu Vou à Luta ブラジルの旗 ブラジル
1987年 カン・スヨン シバジ 大韓民国の旗 韓国
1990年 イ・パンヨン 達磨はなぜ東へ行ったのか 大韓民国の旗 韓国
1996年 上村美穂 おかえり 日本の旗 日本
1998年 ホー・ホォンジャン シャオ・ウー
1999年 ロサリオ・ブレファリ（スペイン語版） シルビア・プリエ アルゼンチンの旗 アルゼンチン
2000年 風見章子 忘れられぬ人々 日本の旗 日本
2001年 宮崎あおい 害虫 日本の旗 日本
2002年 ツォー・ウェンキャン 上海に生きる女性 中華人民共和国の旗 中国
2003年 寺島しのぶ ヴァイブレータ 日本の旗 日本
2004年 ゴルシフテ・ファラハニ ブティック イランの旗 イラン
2005年 星野真里 さよならみどりちゃん 日本の旗 日本
2006年 サリー・デヴィ オペラ・ジャワ インドネシアの旗 インドネシア
2007年 オ・ジョンヘ 千年鶴 大韓民国の旗 韓国
2008年 樹木希林 歩いても 歩いても 日本の旗 日本

主演男優賞[編集]

年 受賞者 作品 国
1998年 モシヒ・イヴジィ ヨム・ヨム イスラエルの旗 イスラエル
1999年 グリミラ・アポリモフ AKSUT カザフスタンの旗 カザフスタン
2000年 青木富夫・三橋達也・大木実 忘れられぬ人々 日本の旗 日本
2001年 チェン・ツアイシェン シーフード モロッコの旗 モロッコ
ムハメド・マジャド ウインド・ホース モロッコの旗 モロッコ
2002年 ファン・チィウェイ（中国語版） 勇気ある20歳 中華民国の旗 台湾
2003年 エルジャン・ベクムラトフ 小市民 カザフスタンの旗 カザフスタン
2004年 フアン・ビジェガス（英語版） ボンボン アルゼンチンの旗 アルゼンチン
2006年 ナウエル・ペレ・ビスカヤー 糊 アルゼンチンの旗 アルゼンチン
2007年 "Bunny Chow Know Thyself" の俳優たち 南アフリカ共和国の旗 南アフリカ共和国
2008年 ノルベルト・コリア パーク・ビア メキシコの旗 メキシコ

ドキュメンタリー賞[編集]

年 作品 監督 国
2003年 铁西区 王兵 中華人民共和国の旗 中国
2004年 Final solution ラケッシュ・シャルマ インドの旗 インド
2005年 チーズとうじ虫 加藤治代 日本の旗 日本
2006年 La Boîte jaune Ting-fu Huang 中華民国の旗 台湾
Actes des hommes Kiko Goifman ブラジルの旗 ブラジル

出典[編集]

  1. ^ 桂直之 (2007年12月3日). “ナント三大陸映画祭報告2007”. 河北新報 / シネマに包まれて. 2013年11月29日閲覧。
  2. ^ a b 桂直之 (2009年12月4日). “歴史、どう生かす? 来年に期待”. 河北新報 / シネマに包まれて. 2013年11月29日閲覧。
  3. ^ 桂直之 (2009年12月4日). “魅力ある作品の収集を”. 河北新報 / シネマに包まれて. 2013年11月29日閲覧。

外部リンク[編集]

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