ナガバノコウヤボウキ

ナガバノコウヤボウキ
福島県浜通り地方 2017年8月
分類APG III
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 Angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 Eudicots
階級なし : キク上類 Superasterids
階級なし : キク類 Asterids
階級なし : キキョウ類 Campanulids
: キク目 Asterales
: キク科 Asteraceae
亜科 : コウヤボウキ亜科 Pertyoideae
: コウヤボウキ属 Pertya
: ナガバノコウヤボウキ
P. glabrescens
学名
Pertya glabrescens Sch.Bip. ex Nakai (1927)[1]
シノニム
和名
ナガバノコウヤボウキ(長葉の高野箒)[3][4]

ナガバノコウヤボウキ(長葉の高野箒[5]学名: Pertya glabrescens)は、キク科コウヤボウキ属落葉性小低木 [3][4][6]

特徴[編集]

落葉広葉樹の小高木[5]地下茎は太い。根元から細く硬いを叢生し、高さは50 - 120センチメートル (cm) になる。高さはコウヤボウキと同じくらい[5]。枝はよく分枝し、やや褐色で、まばらに短毛が生えるかまたは無毛。茎や枝は紫褐色を帯び、毛はない[5]冬芽(葉芽)は長卵形で淡褐色、枝に互生してつき、隆起した葉痕の上に乗っているように見える[5]。春に葉が芽吹き、その後、枝につく葉の中央から花芽が膨らむ[5]

は、1年生の長枝につく葉と、前年枝の葉腋の短枝につく葉の2形態となる。1年生の枝につく葉は互生し、広披針形から卵形、広卵形で、長さ2 - 6 cm、幅1 - 3.5 cmになり、縁は微小な突起状の鋸歯がまばらにある。2年生の枝につく葉は短枝に3 - 6個が束生し、楕円形から長楕円形、狭長楕円形で、長さ2.2 - 8 cm、幅1 - 2.5 cmになり、縁は細鋸歯がある。葉に葉柄は無いかまたは短い葉柄があり、基部から出た3つの葉脈がやや目立つ。葉の両面は無毛かはまらに短毛が生え、表面はやや光沢があり、裏面は白色をおび、ときに裏面主脈上にまばらに毛が生じる[6]

花期は8 - 10月[5]頭状花序は2年生の枝の葉が束生した単枝の先に1個つき、上向きに開く。総苞は長さ12 - 18ミリメートル (mm) になる円柱形で、総苞片は7列あり、覆瓦状に重なって並ぶ。小花は両性の筒状花のみからなり、長さは15 - 18 mmになり、白色の花冠が5深裂し、裂片は線形でねじれる。頭花あたり5 - 7個の小花がつく。果実は長さ7 mmになる痩果でまばらに短毛があり、淡褐色の長さ10 mmになる冠毛がある[6]

分布と生育環境[編集]

本州宮城県以南)、四国九州対馬に分布し[5]、やや乾燥した山林の疎林の下に生育する。蛇紋岩地に多い。世界では中国大陸南東部に分布する[6]

名前の由来[編集]

和名ナガバノコウヤボウキは、「長葉高野箒」の意で、同属のコウヤボウキと比較すると、花枝につく葉が長いことによる。しかし、それぞれを1年生と2年生の枝で比べると、必ずしもナガバノコウヤボウキの方が長いとは限らない[3]中国名は、長花帚菊[1]

学名の種小名 glabrescens は、「やや無毛の」の意味[3]

下位分類[編集]

外部形態に変異が大きく、次のように種内分類群が区別されたことがあるが、区別は難しい[6]

  • カワチコウヤボウキ var. viridis Nakai
  • ウチダシナガバノコウヤボウキ var. impressa Honda
  • ベニナガバノコウヤボウキ f. rubra Masamune et Satomi

ギャラリー[編集]

脚注[編集]

参考文献[編集]

  • 鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文『樹皮と冬芽:四季を通じて樹木を観察する 431種』誠文堂新光社〈ネイチャーウォチングガイドブック〉、2014年10月10日、38頁。ISBN 978-4-416-61438-9 
  • 牧野富太郎 原著、大橋広好・邑田仁・岩槻邦男 編『新牧野日本植物圖鑑』北隆館、2008年11月。ISBN 978-4-8326-1000-2 
  • 門田裕一 監修、永田芳男 写真、畔上能力 編『山に咲く花』(増補改訂新版)山と溪谷社〈山溪ハンディ図鑑 2〉、2013年3月。ISBN 978-4-635-07021-8 
  • 大橋広好・門田裕一・木原浩ほか 編『日本の野生植物 5』(改訂新版)平凡社、2017年9月。ISBN 978-4-582-53535-8