トヒル

ウタトランのトヒル神殿跡。フレデリック・キャザーウッド画(1841年)

トヒル(Tohil、Tojil)は、後古典期キチェ族守護神

トヒルという語はキチェ語黒曜石を意味し、おそらく「神K」(カウィール)と呼ばれている神と同一である[1]

ポポル・ヴフ』ではトヒルは主神であり、7つの洞窟でキチェ族の祖先はトヒル神を得た[2]。キチェ族の移住のはじめにおいて、トヒルはリネージを導いた[1]

トヒルはを欲する神であり、キチェ族は自身と戦争捕虜の両方を生贄としてトヒルに捧げた[1]

キチェの首都だったウタトラン(クマルカフ)にはトヒル神殿跡が残り、ここで人間が生贄にされていた[3]。ウタトランでは20日周期のtoh(ムルクに相当)の日にトヒルに捧げ物をした[1]

脚注[編集]

  1. ^ a b c d Miller, Mary; Taube, Karl (1993). “Tohil”. The Gods and Symbols of Ancient Mexico and the Maya: An Illustrated Dictionary of Mesoamerican Religion. Thames & Hudson. p. 170. ISBN 0500050686 (日本語訳:『図説マヤ・アステカ神話宗教事典』東洋書林、2000年)
  2. ^ Read, Key Almere; González, Jason J. (2000). Handbook of Mesoamerican Mythology. ABC-CLIO, Inc. p. 90. ISBN 0874369983 
  3. ^ Kelly, Joyce (1996). “Utatlán”. An Archaeological Guide to Northern Central America: Belize, Guatemala, Honduras, and El Salvador. University of Oklahoma Press. p. 200. ISBN 0806128615