朝日放送・テレビ朝日金曜9時枠の連続ドラマ

朝日放送・テレビ朝日金曜9時枠の連続ドラマは、朝日放送テレビ朝日の共同制作により、テレビ朝日系列で2期にわたって毎週金曜日の21:00 - 21:54に放送されていたテレビドラマ枠である(便宜上「第2期」と呼ぶ。枠自体は「金9」と呼ばれたことがある)。

ここでは主に『ザ・ハングマン』シリーズや『赤かぶ検事奮戦記』シリーズが人気を博した1977年10月から1987年9月までの10年間放送された、朝日放送の単独制作により、テレビ朝日系列で毎週金曜日の21:00 - 21:54に放送されていたテレビドラマ枠についても述べる(便宜上「第1期」と呼ぶ)。

概要[編集]

20世紀[編集]

  • もともとはこの時間帯は毎日放送が連続ドラマを制作していたが、1975年4月の腸捻転解消の時にNET(現・テレビ朝日)が枠を受け継ぎ2年間ドラマ枠が続いた。朝日放送制作になったのは1977年4月からで、最初の半年間は火曜20時から移動した「藤山寛美3600秒(第2シリーズ)」。同年10月開始の「おくどはん」から再びドラマ枠となった。1978年4月開始の「東京メグレ警視シリーズ」は朝日放送・NET以下ANN系列8局の共同制作の扱いとなっている。
  • 朝日放送のドラマの看板プロデューサーであった山内久司(2015年没)の陣頭指揮の下、いくつかの人気シリーズを生み出したが、在阪キー局の制作枠という事もあり視聴率は総じて「西高東低」の傾向が強かった。ちなみに関東地区では視聴率20%を記録した事が無く、全話二桁視聴率を叩き出したドラマは『特命刑事ザ・コップ』のみである。
  • かつて朝日放送の系列キー局だったTBSが1985年10月にこの時間帯のドラマ枠を復活させ、「男女7人夏物語」を大ヒットさせた1986年7月以降は完全に主導権を握られる。「女ふたり捜査官」「ハングマン6→GOGO」と続いた番組の視聴率は総じて低迷し、1987年9月をもって本枠でのドラマ放送はいったん終了となった。
  • 後番組の「素敵にドキュメント」は5年間続いたが、1992年に発覚したやらせ問題で同年9月に打ち切り。年内を単発番組(「金曜ファミリープレゼント」)で繋ぎ、1993年の1月から1クールのみ海外ドラマ「インディ・ジョーンズ/若き日の大冒険」を放送していた[1]

21世紀(時代劇(『必殺仕事人2009』を除く))[編集]

  • 1993年4月に「驚きももの木20世紀」が始まって以降この枠では朝日放送制作のドキュメンタリーバラエティ番組を約18年放送していたが、2006年4月から朝日放送がテレビ朝日との共同制作という形でドラマ枠を再開する。番組配信・スポンサードセールスはこれまで通り朝日放送が担当し、番組ホームページも朝日放送の局の公式ホームページ内に設けられた。エンドロールにおけるテロップクレジットも朝日放送が上位である。
  • テレビ朝日からはプロデューサー、ディレクター(参加しない作品もある)を派遣[2]。また、音楽協力にエー・ビー・シーメディアコムテレビ朝日ミュージックの両者が参加している作品もある。「ハイビジョン制作[3] と「字幕(ひよこマーク無し)」のテロップは朝日放送送出の物を使用している。2007年10月までは「文字放送 字幕」の表記であった。
  • 制作は「必殺仕事人2009」(松竹)、「検事・鬼島平八郎」(吉本興業)などの例外を除くとメディアミックス・ジャパン東宝ホリプロがほぼ年1回のペースで担当しており、さらにレガッタ以降3作品と『赤川次郎ミステリー 4姉妹探偵団』、『コールセンターの恋人』、『アンタッチャブル〜事件記者・鳴海遼子〜』、『警視庁失踪人捜査課』は自社制作の形をとっている。これと同様の例としては、1989年4月から2010年3月まで日曜日10時台に放送されていた報道・政治討論番組『サンデープロジェクト』があるが、こちらは当ドラマ枠とは逆に番組配信とスポンサードセールスをテレビ朝日が担当しており、『サンデープロジェクト』のテロップクレジットもテレビ朝日が上位になっていた[4]
  • 同じ金曜日に放送される金曜ナイトドラマより1 - 2週遅く放送開始される場合が多く、(7月期は全英オープンゴルフなどの兼ね合いから金曜ナイトドラマの方が2 - 3週遅れて放送開始される)10月期は年末特番(主に毎年恒例の『ミュージックステーションスーパーライブ』の放映等)、1月期は春の特別編成などがあり話数が10話に満たない作品が多かった。
  • 視聴率は作品によって乱高下が激しい状況にある。平均視聴率が一番低いのは『レガッタ』の5.49%で、初回視聴率が一番低いのは『崖っぷちのエリー〜この世でいちばん大事な「カネ」の話〜』の8.1%であり、この時間帯に記録した最低視聴率は『赤川次郎ミステリー 4姉妹探偵団』の3.5%である。また平均視聴率も2桁を記録したのは19作品中で半分以下の8作品と少なく、平均視聴率が15%を超えた作品はひとつもない。全話2桁完走したドラマはないが、関西地区では『家族』が最高18.0%、『女帝』が最高20.5%をマークしているため、視聴率は相変わらず「西高東低」の傾向である。
  • 放送時間は21:00 - 21:54。初回のみ21:00 - 22:09と拡大し、以降の番組は繰り下げとなる。(ただし『生徒諸君!』、『女帝』、『赤川次郎ミステリー 4姉妹探偵団』、『ギラギラ』、『コールセンターの恋人』、『宿命 1969-2010 -ワンス・アポン・ア・タイム・イン・東京-』以降5作品は初回放送時間を拡大していない。)また、最終回で時間拡大が行われたことはなかった。
  • 2009年1月からは、テレビ朝日系列の時代劇としては1年3か月ぶりのレギュラー放送となる『必殺仕事人2009』(東山紀之松岡昌宏大倉忠義田中聖らが出演)がスタート。この枠では唯一の時代劇作品である。当初は1クールであったが、同枠としては珍しく関東地区でも視聴率2桁を維持したことから、6月までの2クールに延長されることが決まった。皮肉にも折り返し地点の3月20日放送分で関東地区では10%を切り、一方の関西地区も15%を切った。4月以降の視聴率も伸び悩んでいたが、平均11%台と、平均の方は辛うじて2桁を保って終わった。
  • 主演には連続ドラマに主演したことのない俳優を起用することが多かった[注 1]。また、別作品ながら同枠に出演する常連俳優も多い[注 2]
  • 2010年4月の改編後、テレビ朝日の20時枠番組と21時枠番組のクロスプログラムは、直前番組[6] の出演者またはナレーターが「『○○』の後は」と言ってから行う様になったが、当枠は直前番組『ミュージックステーション』の出演者(タモリほか)またはナレーターが行う事は無く、代わりに予告時間が5秒から15秒に拡大された。また、この番組の後の『報道ステーション』へのクロスプログラムも当該期間の作品の出演者が「(作品名)の後は報道ステーション」と振ることがない。
  • 2011年3月の『悪党〜重犯罪捜査班』終了を以ってこの枠は終了。現在はDVDが販売されている他、「金9」の廃枠後も引き続き「必殺シリーズ」のドラマスペシャルとして継続して放送されている。また、2011年4月以降、テレビ朝日の21時台のドラマ番組枠は「刑事ドラマ」(水曜日)・「木曜ドラマ」のみとなった。後枠の「Oh!どや顔サミット」からは、テレビ朝日との共同制作で参加していたテレビ朝日はこの「金9」の廃枠と共に共同制作から外れ、朝日放送単独制作のバラエティ枠に戻ったが、この時間帯に放送していた「世界の村で発見!こんなところに日本人」は2016年4月の改編で火曜21時枠のテレビ朝日制作「ロンドンハーツ」と枠を交換することが決まった。2023年3月現在は『ミュージックステーション』が放送されている。
  • 「金9」の廃枠後、朝日放送制作のドラマは「土曜ワイド劇場」の朝日放送制作分を除き年に1 - 2回程度特別番組が放送されており[7]、実際のところ、2011年には朝日放送設立60周年記念ドラマとして『境遇』(朝日放送単独制作 2011年12月3日放送)とスペシャル版『警視庁失踪人捜査課』(朝日放送・テレビ朝日共同制作、2011年12月24日放送。送出はレギュラー放送とは違いテレビ朝日)が、2012年には、『必殺仕事人2012』(朝日放送・テレビ朝日共同制作 2012年2月19日放送)が、2013年には、『必殺仕事人2013』(朝日放送・テレビ朝日共同制作 2013年2月17日放送)が、2014年には、『必殺仕事人2014』(朝日放送・テレビ朝日共同制作 2014年7月27日放送)が、2015年には『必殺仕事人2015』(朝日放送・テレビ朝日共同制作 2015年11月29日放送)がそれぞれ放送された。
  • そして本枠終了後の2023年4月30日より日曜22時台において、テレビ朝日制作のバラエティ枠から移行する形でドラマ枠が新設[8]。ゴールデン・プライムタイムにおける朝日放送テレビ制作の連続ドラマ枠が12年ぶりに復活することになる。

作品一覧[編集]

1977年[編集]

1978年[編集]

1979年[編集]

1980年[編集]

1981年[編集]

1982年[編集]

1983年[編集]

1984年[編集]

1985年[編集]

1986年[編集]

1987年[編集]

1993年[編集]

2006年[編集]

ここからテレビ朝日との共同制作、当初ドラマをハイビジョン

2007年[編集]

2008年[編集]

2009年[編集]

2010年[編集]

2011年[編集]

参考項目・朝日放送制作金曜10時枠の連続ドラマ[編集]

  • 金曜のみ23時開始だった「ニュースステーション」の繰り上げをいつからにするかでテレビ朝日と朝日放送の間で議論が勃発し、結局「必殺シリーズ」が終わった22時枠に現代劇が収まった。この枠は半年で終了し、以降朝日放送制作の連続ドラマ枠は約3年休止となる。そして廃枠後は「Nステ」が22:00開始に繰り上がったため、テレビ朝日22時台のドラマは2023年4月30日設置の日曜22時ドラマ枠まで35年中断する。
  • この2作が放送された時期は、TBSで「Nステ」に対抗した報道番組「JNNニュース22プライムタイム」が開始した事により、金曜22時枠の「金曜ドラマ」が中断[10]していたため、この枠が在京キー局唯一の金曜22時ドラマ枠だった。そして本枠が廃枠になると、「プライムタイム」やその後継「JNNニュースデスク'88→'89」が1989年9月に終了するまで、「在京民放」の金曜22時枠には1本も「1時間ドラマ」が存在しなくなる[11]

1987年[編集]

1988年[編集]

参考項目・1976年までの金曜9時枠の連続ドラマ[編集]

歴代ネット局[編集]

放送局名は放送当時のもの、系列は現在の系列。特記がない場合は第1期・第2期の両方をネットした局。但し第1期に関しては途中で打ち切られた局や、しばらくの間放送する他系列ネットの局がある。

放送対象地域 放送局 系列 備考
近畿広域圏 朝日放送 テレビ朝日系列 制作局
現・朝日放送テレビ
関東広域圏 テレビ朝日 第2期制作局
北海道 北海道テレビ
青森県 青森放送 日本テレビ系列 第1期のみ
青森朝日放送 テレビ朝日系列 第2期のみ
岩手県 岩手放送 TBS系列 第1期のみ
現・IBC岩手放送
テレビ岩手 日本テレビ系列 第1期のみ
岩手朝日テレビ テレビ朝日系列 第2期のみ
宮城県 東日本放送
秋田県 秋田放送 日本テレビ系列 第1期のみ
秋田テレビ フジテレビ系列
秋田朝日放送 テレビ朝日系列 第2期のみ
山形県 山形テレビ
福島県 福島テレビ フジテレビ系列 第1期のみ1981年9月まで放送
福島放送 テレビ朝日系列 1981年10月開局から
新潟県 新潟放送 TBS系列 第1期のみ1981年3月まで放送
新潟総合テレビ フジテレビ系列 第1期のみ1981年4月から1983年9月まで放送
現・NST新潟総合テレビ
新潟テレビ21 テレビ朝日系列 1983年10月開局から
長野県 長野放送 フジテレビ系列 第1期のみ1980年9月まで放送
テレビ信州 日本テレビ系列 第1期のみ1980年10月開局から放送
長野朝日放送 テレビ朝日系列 第2期のみ
山梨県 テレビ山梨 TBS系列
静岡県 テレビ静岡 フジテレビ系列 第1期のみ1979年3月まで放送
静岡けんみんテレビ→静岡朝日テレビ テレビ朝日系列 1979年4月から
1993年10月に放送局名変更
富山県 北日本放送 日本テレビ系列 第1期のみ
富山テレビ フジテレビ系列 第2期のみ
石川県 石川テレビ 第1期のみ
北陸朝日放送 テレビ朝日系列 第2期のみ
福井県 福井放送 日本テレビ系列
テレビ朝日系列
第1期のみ
中京広域圏 名古屋テレビ
(メ~テレ)
テレビ朝日系列 メ~テレの愛称は2003年4月から
島根県
鳥取県
日本海テレビ 日本テレビ系列 第1期のみ
山陰中央テレビ フジテレビ系列
山陰放送 TBS系列 第2期のみ
(「ロト6で3億2千万円当てた男」を除く)
岡山県 岡山放送 フジテレビ系列 第1期のみ1979年3月まで放送
1979年3月までの放送エリアは岡山県のみ
電波相互乗り入れにより瀬戸内海放送へ一本化
香川県
→香川県
岡山県
瀬戸内海放送 テレビ朝日系列 1979年3月までのまでの放送エリアは香川県のみ
1979年4月から両県の相互乗り入れのため岡山県にもエリア拡大
広島県 広島ホームテレビ
山口県 テレビ山口 TBS系列 第1期のみ1978年3月まで放送
山口放送 日本テレビ系列 第1期のみ1978年4月から放送
山口朝日放送 テレビ朝日系列 第2期のみ
徳島県 四国放送 日本テレビ系列 第1期のみ
愛媛県 南海放送
愛媛朝日テレビ テレビ朝日系列 第2期のみ
高知県 テレビ高知 TBS系列 第1期のみ
高知放送 日本テレビ系列 第2期のみ
福岡県 九州朝日放送 テレビ朝日系列
長崎県 長崎放送 TBS系列 第1期のみ
長崎文化放送 テレビ朝日系列 第2期のみ
熊本県 熊本放送 TBS系列 第1期のみ1978年3月まで放送
テレビ熊本 フジテレビ系列 第1期のみ1978年4月から放送
熊本朝日放送 テレビ朝日系列 第2期のみ
大分県 大分放送 TBS系列 第1期のみ
大分朝日放送 テレビ朝日系列 第2期のみ
宮崎県 宮崎放送 TBS系列
鹿児島県 南日本放送 第1期のみ1978年3月まで放送
鹿児島テレビ フジテレビ系列 第1期のみ1978年4月から1982年9月まで放送
鹿児島放送 テレビ朝日系列 1982年10月開局から
沖縄県 琉球放送 TBS系列 第1期のみ
琉球朝日放送 テレビ朝日系列 第2期のみ

関連項目[編集]

朝日放送→朝日放送テレビ制作ドラマ[編集]

その他のテレビ朝日・朝日放送→朝日放送テレビ共同制作番組[編集]

※この2番組ともスポンサーセールスはテレ朝・朝日放送共同となっている。

脚注[編集]

注釈[編集]

出典[編集]

  1. ^ その後、必殺シリーズが終了した金曜22時枠にて現代劇ドラマを2クール放送し、朝日放送制作の連続ドラマ枠はいったん消滅。約3年の空白を経て、1991年10月に月曜20時枠で朝日放送制作の連続現代劇ドラマが復活した。その後1992年4月に火曜21時枠、1993年に火曜20時枠へ移動を繰り返すもヒット作に恵まれず。1995年3月に枠が終了して以降、朝日放送は10年以上ゴールデンの連続ドラマ制作から遠ざかることとなる。詳しくは別項も参照。
  2. ^ チーフ(ゼネラル)プロデューサーのクレジットから見ると、『レガッタ』、『必殺仕事人2009』、『宿命 1969-2010 -ワンス・アポン・ア・タイム・イン・東京-』、『崖っぷちのエリー〜この世でいちばん大事な「カネ」の話〜』、『検事・鬼島平八郎』は朝日放送主導であり、その他はテレビ朝日主導の作品であることがわかる。
  3. ^ 2008年7月18日まで表示
  4. ^ 後継番組の『サンデー・フロントライン』はテレビ朝日の単独制作となっており、朝日放送はANN系列の一社として制作協力のみ関わっている。
  5. ^ ギラギラ』が連続ドラマ初主演作といわれているが、1999年の深夜帯の連続ドラマで主演をつとめたことがある。
  6. ^ 一部を除く
  7. ^ 土曜ワイド劇場の時間帯に、番外として「ドラマスペシャル」を放送することも多い
  8. ^ テレ朝ドラマ枠新設、来年4月期から日曜22時台 同枠で人気作誕生の日テレとのドラマ対決注目日刊スポーツ、2022年12月27日配信・閲覧
  9. ^ 朝日放送創立60周年記念ドラマとして放送。
  10. ^ 実際は水曜21:00に移動して『水曜ドラマ』となる。
  11. ^ NHK総合テレビでは「銀河テレビ小説」が存在していたが、これは20分の帯ドラマだった。

外部リンク[編集]

朝日放送制作・テレビ朝日系列 金曜21:00 - 21:54枠
前番組 番組名 次番組
藤山寛美3600秒
(第2シリーズ)
朝日放送制作
金曜9時枠の連続ドラマ
(第1期)
(1977年10月 - 1987年9月)
朝日放送・テレビ朝日をはじめとするテレビ朝日系列 金曜21:00 - 21:54枠
笑いの金メダル
【日曜19:58 - 20:54枠に移動】
【ここまで朝日放送の単独制作】
朝日放送・テレビ朝日
金曜9時枠の連続ドラマ
(第2期)
(2006年4月 - 2011年3月)
Oh!どや顔サミット
【ここから再び朝日放送の単独制作】
朝日放送をはじめとするテレビ朝日系列 金曜日22:00 - 22:54枠
朝日放送制作
金曜10時枠の連続ドラマ
(1987年10月 - 1988年3月)
【ここまで朝日放送制作ドラマ枠】
ニュースステーション
※22:00 - 23:18
【ここからテレビ朝日制作報道番組枠】
【金曜日のみ1時間繰り上げ・18分拡大】