チェコ湖

チェコ湖
所在地 エニセイ川水系 キムチュ川
位置 北緯60度57分50秒 東経101度51分36秒 / 北緯60.964度 東経101.86度 / 60.964; 101.86座標: 北緯60度57分50秒 東経101度51分36秒 / 北緯60.964度 東経101.86度 / 60.964; 101.86
流域国 ロシアの旗 ロシア
プロジェクト 地形
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チェコ湖ロシア語: Чеко)は、シベリアクラスノヤルスク地方エヴェンキスキー地区を流れるキムチュ川にある小さな淡水湖である。お椀状の湖で、おおむね北西~南東方向に長い楕円形をしている。水深5mの直径が約300メートル、最深部が約50メートルである [1] [2]。チェコ湖はツングースカ大爆発を起こした隕石の一部が地面に衝突したことによって形成されたとの説がある[3] [4]

チェコ湖の形成[編集]

チェコ湖の形成については、1908年6月30日にシベリアタイガを2000km2以上の範囲にわたって破壊した「ツングースカ大爆発」との関連性が以前より指摘されていたが、ソビエト時代の1961年に実施された調査後の報告では、湖底に7メートルに及ぶ分厚い砕屑物が存在することから湖の年齢を少なくとも5000年であると推定し、大爆発との関連性を否定した[5]

しかし、2007年にはイタリアボローニャ大学の研究者らが湖底の堆積物、同位元素および花粉の調査から[6]、 チェコ湖はツングースカ大爆発の爆心地から約8キロ北北西で地面に衝突した破片によって形成されたものであるとの仮説に至ったとした [4]

様々な証拠と反論[編集]

ボローニャ大学の研究調査グループによる報告に対し、イギリス公立大学であるインペリアル・カレッジ・ロンドンの研究者らは2008年、チェコ湖を囲む木々の多くが樹齢100年以上であり、湖が1908年の爆発の結果できたものではないことを示していると主張した [7] [8]

これに答える形でボローニャ大学の研究者らは、湖底に積もる沈殿層の上層わずか1メートルほどだけが「通常の湖沼堆積物」であり、これは湖の年齢が約100年と非常に若いことを示しているとした。その上で、チェコ湖畔に現在立っている木は100年前に何らかの損傷を負ったらしいことが年輪から観察でき、隕石の衝突にもっとも近い木々の犠牲によって残ったものであろうと反論した[9] [10]

ボローニャ大学の研究チームは、チェコ湖が隕石の衝突によってできたものであるとする他の根拠として、湖床の音響エコーによる測定で湖底が漏斗状であることがわかっており、これが衝突クレーターの特徴を示している、楕円形のチェコ湖の長軸延長線上およそ8.0km離れた位置にツングースカ大爆発の爆心地がある、磁気探査で湖の最深部の下に衝突体の断片の可能性がある1メートル級大の岩が検知されている、などを挙げている。

ボローニャ大学グループの仮説に対しては、衝突時の特性と矛盾する衝突体破片と噴出物の不足など、湖と周辺地形の形態を含む問題も指摘されている [8]

脚注[編集]

  1. ^ Gasperini, Luca, et al.; Bonatti, Enrico; Albertazzi, Sonia; Forlani, Luisa; Accorsi, Carla A.; Longo, Giuseppe; Ravaioli, Mariangela; Alvisi, Francesca et al. (December 2009). “Sediments from Lake Cheko (Siberia), a possible impact crater for the 1908 Tunguska Event”. Terra Nova (Blackwell Publishing Ltd.) 21 (6): 489-494. doi:10.1111/j.1365-3121.2009.00906.x. http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/j.1365-3121.2009.00906.x/abstract 2014年2月8日閲覧。. 
  2. ^ 長さが708メートル、幅が364メートルとするネット記事が多数あるが、データの出所は不明。
  3. ^ Rincon, Paul (2007年6月26日). “Team makes Tunguska crater claim”. BBC News. http://news.bbc.co.uk/2/hi/science/nature/6239334.stm 2013年2月15日閲覧。 
  4. ^ a b Gasperini, Luca, et al.; Bonatti, Enrico; Albertazzi, Sonia; Forlani, Luisa; Accorsi, Carla A.; Longo, Giuseppe; Ravaioli, Mariangela; Alvisi, Francesca et al. (August 2007). “Sediments from Lake Cheko (Siberia), a possible impact crater for the 1908 Tunguska Event”. Terra Nova (Blackwell Publishing Ltd.) 19 (4): 489-494. doi:10.1111/j.1365-3121.2009.00906.x. http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/j.1365-3121.2009.00906.x/abstract 2014年2月8日閲覧。. 
  5. ^ Florenskiy, K. P. (1963). “Preliminary results from the 1961 combined Tunguska meteorite expedition”. Meteoritica 23: 3–29. http://abob.libs.uga.edu/bobk/tungmet.html 2014年2月8日閲覧。. 
  6. ^ Gasperini, L. et al. (2001). “Geophysical/sedimentological study of a lake close to the centre of the great 1908 Siberian (Tunguska) Explosion”. NGF Abstracts and Proceedings (1): 29–30. http://www-th.bo.infn.it/tunguska/GasperiniSvalbard.pdf 2008年5月27日閲覧。. 
  7. ^ Rincon, Paul (2008年6月30日). “Fire in the sky: Tunguska at 100”. BBC News. 2008年7月1日閲覧。(ツングースカ大爆発100周年時のBBCニュース記事)
  8. ^ a b Collins, G.S., et al.; Artemieva, N.; Wünnemann, K.; Bland, P. A.; Reimold, W. U.; Koeberl, C. (April 2008). “Evidence that Lake Cheko is not an impact crater”. Terra Nova (Blackwell Publishing Ltd.) 20 (2): 165-168. doi:10.1111/j.1365-3121.2008.00791.x. http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/j.1365-3121.2008.00791.x/abstract 2014年2月8日閲覧。. 
  9. ^ Gasperini, L. et al.; Bonatti, Enrico; Longo, Giuseppe (April 2008). “Reply - Lake Cheko and the Tunguska Event: impact or non-impact?”. Terra Nova 20 (2): 169–172. doi:10.1111/j.1365-3121.2008.00792.x. http://www.blackwell-synergy.com/doi/pdf/10.1111/j.1365-3121.2008.00792.x 2008年5月27日閲覧。. 
  10. ^ Gasperini, L. et al. (August 2008). “ツングースカ大火球 100年の謎”. 日経サイエンス. http://www.nikkei-science.com/page/magazine/0808/200808_036.html 2014年2月8日閲覧。. 

外部リンク[編集]