ダイモンジソウ

ダイモンジソウ
福島県会津地方 2008年10月
分類APG III
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 eudicots
階級なし : コア真正双子葉類 core eudicots
: ユキノシタ目 Saxifragales
: ユキノシタ科 Saxifragaceae
: ユキノシタ属 Saxifraga
: S. fortunei
変種 : ダイモンジソウ S. f. var. alpina
学名
標準: Saxifraga fortunei Hook.f. var. alpina (Matsum. et Nakai) Nakai (1908)[1]

広義: Saxifraga fortunei Hook.f. (1863)[2]

シノニム
和名
ダイモンジソウ(大文字草)

ダイモンジソウ(大文字草[9]学名: Saxifraga fortunei var. alpina )は、ユキノシタ科ユキノシタ属分類される多年草の1和名は、夏に咲く5弁の花が「大」の字に似ることから名付けられている[10]。別名、ミヤマダイモンジソウ、トウホクダイモンジソウ、タケシマダイモンジソウ[1]。地方により、イワブキ、イワボキなどともよばれている[11]

特徴[編集]

多年生の草本で、草丈は20 - 30センチメートル (cm) ほどになる[11]根茎は短く、分枝しない。根出葉には長さ 5 -20 cmになる長い葉柄があり、葉身は長さ3 - 15 cm、幅4 - 20 cmになる腎円形、基部はくさび形または心形で、縁は8 - 10片の浅い切れ込みがある[11]の表面はつやがあり、両面に細かな毛が生えている[11]

花期は7 - 10月。高さ5 - 40 cmになる花茎を出し、集散花序に白色のをつけ、ときに円錐状になる。裂片は長さ2 - 3ミリメートル (mm) の卵形から卵状楕円形で、斜開する。花弁は上側の3弁が長さ3 - 4 mmの楕円形で、下側の2弁が長さ4 - 15 mmの線状楕円形になり、「大」の字になるが、上向きに咲く花の花弁はほぼ同じ長さになる。雄蕊は長さ3 - 4 mmで10個あり、葯は橙赤色または暗紅色になる。雌蕊は2個の心皮からなり、花柱2本を残し上部までほぼ合着する。果実は卵形の蒴果で長さ4 - 6 mm。種子は楕円形で長さ0.8 mmになる。

分布と生育環境[編集]

南千島、朝鮮、中国、ウスリー、樺太、日本に分布する。

日本では、北海道本州四国九州に分布し[11]、海岸から高山までの広い範囲に分布する。山間のやや湿気のある崖地や岩場に生育する[11]

また、変異の幅が広く、特に葉の大きさ、形状、切れ込みの度合いなどから、ミヤマダイモンジソウ、アカバナダイモンジソウ、ハマダイモンジソウなどの型が区分された。

食用[編集]

6 - 10月にかけて芽生えてくる若葉を摘んで食用とする[11]。癖がなく淡泊な味わいがあり、茹でて水にさらし、ごま・クルミ・辛子などの和え物としたり、生のまま薄く衣をつけて天ぷらにする[11]

下位分類[編集]

  • イズノシマダイモンジソウ Saxifraga fortunei Hook.f. var. jotanii (Honda) Wakab. - 葉身は腎円形で厚く、茎や葉に毛が多い。花期は10月 - 翌1月。房総半島南部と伊豆七島に分布する。
  • チョウセンダイモンジソウ Saxifraga fortunei Hook.f. var. koraiensis Nakai
  • ウチワダイモンジソウ Saxifraga fortunei Hook.f. var. obtusocuneata (Makino) Nakai - 葉身が倒卵形。花期は7 - 10月。本州、四国、九州に分布する。
ナメラダイモンジソウ
  • ナメラダイモンジソウ Saxifraga fortunei Hook.f. var. suwoensis Nakai - 葉身は腎円形で掌状に5 - 7中裂する。花期は7 - 10月。本州中部地方以西、九州に分布する。

園芸品種[編集]

花色は本来白色であるが、園芸的に改良されて、薄紅色や深紫色などもある[11]。葉の色も変化に富み、観賞用の山野草として人気がある[11]

脚注[編集]

  1. ^ a b 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Saxifraga fortunei Hook.f. var. alpina (Matsum. et Nakai) Nakai ダイモンジソウ(標準)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2023年7月15日閲覧。
  2. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Saxifraga fortunei Hook.f. ダイモンジソウ(広義)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2023年7月15日閲覧。
  3. ^ William Henry Edwards or シデナム・エドワーズ
  4. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Saxifraga fortunei Hook.f. var. incisolobata (Engl. et Irmsch.) Nakai ダイモンジソウ(シノニム)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2023年7月15日閲覧。
  5. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Saxifraga mutabilis Koidz. ダイモンジソウ(シノニム)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2023年7月15日閲覧。
  6. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Saxifraga fortunei Hook.f. var. pilosissima Nakai ダイモンジソウ(シノニム)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2023年7月15日閲覧。
  7. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Saxifraga fortunei Hook.f. var. mutabilis (Koidz.) H.Nakai et H.Ohashi ダイモンジソウ(シノニム)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2023年7月15日閲覧。
  8. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Saxifraga fortunei Hook.f. var. crassa Nakai ダイモンジソウ(シノニム)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2023年7月15日閲覧。
  9. ^ 高野昭人監修 世界文化社編 2023, p. 104.
  10. ^ 高野昭人監修 世界文化社編 2013, p. 104.
  11. ^ a b c d e f g h i j 高野昭人監修 世界文化社編 2006, p. 104.

参考文献[編集]

  • 高野昭人監修 世界文化社編『おいしく食べる 山菜・野草』世界文化社〈別冊家庭画報〉、2006年4月20日、104頁。ISBN 4-418-06111-8 

外部リンク[編集]