タンディ・センター地下鉄

タンディ・センター地下鉄
Tandy Center Subway
タンディ・センター地下鉄の地上駅(2002年8月29日撮影)
タンディ・センター地下鉄の地上駅(2002年8月29日撮影)
基本情報
アメリカ合衆国の旗アメリカ合衆国
所在地 テキサス州フォートワース
種類 地下鉄
路線網 1系統
駅数 5駅
開業 1963年2月15日[1][2]
廃止 2002年8月30日[1]
使用車両 PCCカー
路線諸元
路線距離 1.1 km(0.7 mile)
軌間 1,435 mm
電化区間 全区間
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タンディ・センター地下鉄英語: Tandy Center Subway)は、かつてアメリカ合衆国テキサス州フォートワースに存在した電化鉄道路線(地下鉄)。元は駐車場からの連絡用として商業施設を運営する事業者によって建設された路線で1963年に開通したが、利用客減少や沿線環境の変化により2002年に廃止された[1][3][4]

概要[編集]

タンディ・センター地下鉄のルーツは、1963年2月15日に開通したレオナルド・M&O地下鉄(Leonard M&O Subway)に遡る。開通当時、フォートワースのダウンタウン地区にはマーヴィン・レオナルド(Marvin Reonard)が1918年に創業した商業施設の"レオナルド・デパートメント・ストア"が存在しており、店舗拡張の際に建物から離れた場所に収容量5000台の大型駐車場が建設され、双方を結ぶ交通手段として選択されたのが鉄道であった。駐車場が開業した当初はバスによる連絡輸送が行われ、その間にマーヴィンは弟のオビー(Obie Reonard)らと共に鉄道建設に携わった[1][3]

名称の"地下鉄"(Subway)の由来となったのは道路下を走る地下区間で、石灰岩を掘り下げる形で建設された。この区間を通った先にあるターミナル駅を含めて駅は5箇所に設置され、地上の4駅は駐車場と接続していた。車両は1962年までワシントンD.C.で使用されていたPCCカーを15両譲受し、気温が高いフォートワースに対応するため冷房装置が設置された後、大規模な車体更新も実施された。当時の名称の"M&O"は、マーヴィン(Marvin)とオビー(Obie)兄弟にちなんだものであった[1][3]

フォートワース市長を招いた開通式ではオビーが金色のスパイクを枕木に打ち込み、デパートでは開通記念セールや音楽番組の生放送も実施された。だが、郊外のショッピングモールが発展するにつれてレオナルド・デパートメント・ストアの来客数は減少し、1967年タンディ・コーポレーションへ売却された。その後建物は解体され、1974年に本社を兼ねた複合施設であるタンディ・センター英語版(現:シティ・プレイス)が同地に完成し、地下鉄はタンディ・センター地下鉄に名称を変更した上で引き続き運行される事となった[1]

以降はラジオシャックを始めとするタンディ・センター内の施設で働く従業員や、デパートの後継として設置されたショッピングモールアイスリンクの利用客、更にフォートワース公共図書館英語版への交通手段として長年使用された。だが1995年にショッピングモールが移転し、代わりに開店したアウトレットモールも閉店した事、ラジオシャックの本社移転も決定した結果、2002年8月30日をもってタンディ・センター地下鉄は廃止された[1]

その後は駅舎や架線、線路など大半の施設施設は撤去され、トンネルも入口が封鎖された一方、2両の車両が保存された[1][3][5]

  • "Leonard's Number 1" - 開業時に導入され、早期に運用を離脱した事で廃車まで原型が維持された車両。1982年に解体を免れてフォートワースの南にある牧場で保管された後、2007年にレオナルド博物館(Leonard's Museum)へ寄付された。翌2008年には修復工事が実施され、2019年現在はシティ・プレイス内にあるテキサス・キャピタル・バンク(Texus Capital Bank)の建物(One City Place)のロビーで、地下鉄の歴史を伝えるパネルと共に静態保存されている[6][7]
  • 143 "Winnie"(旧番不明) - 廃止後の2003年ダラスの動態保存路線であるM-Lineへ譲渡され、路面電車区間に対応した改造や改番を受けたうえで使用されていたが、機器の故障が多発した事から2010年をもって運行を離脱した[8]

ギャラリー[編集]

関連項目[編集]

脚注[編集]

注釈[編集]

出典[編集]

  1. ^ a b c d e f g h Tandy Subway rides into the sunset - ウェイバックマシン(2009年8月14日アーカイブ分)
  2. ^ Walter L. Buenger (2010年6月15日). “LEONARD BROTHERS”. Texas State Historical Association. 2019年11月14日閲覧。
  3. ^ a b c d Mike Nichols (2014-2-14). Lost Fort Worth. Arcadia Publishing. ISBN 978-1625847126 
  4. ^ 宇都宮浄人, 服部重敬 (2010-12-16). LRT-次世代型路面電車とまちづくり-. 交通ブックス. 成山堂書店. pp. 22. ISBN 978-4425761814 
  5. ^ Cowtown underground: M&O Subway gone, but spooky tunnel remains”. Fort Worth Star-Telegram (2015年4月1日). 2019年11月14日閲覧。
  6. ^ Leonard's Department Store Museum - ウェイバックマシン(2008年7月6日アーカイブ分)
  7. ^ Fort Worth”. Spire Realty. 2019年11月14日閲覧。
  8. ^ Car 143 /"Winnie"”. McKinney Avenue Transit Authority. 2019年11月14日閲覧。
  9. ^ 増田吉孝 (2018年7月17日). “一体何のために?昭和時代、渋谷駅では空中ケーブルカー「ひばり号」が運行されていた”. Japaaan. 2019年11月14日閲覧。
  10. ^ 株式会社舞浜リゾートライン”. 2019年11月14日閲覧。