タリア・グラディス

タリア・グラディス(Talia Gladys)は、テレビアニメ機動戦士ガンダムSEED DESTINY』に登場する架空の人物。

担当声優小山茉美

プロフィール[編集]

人物[編集]

既婚者で一男の母。ザフト軍の士官で、戦後の就航第一号として建造された戦艦ミネルバの艦長を務める(アニメで確認されている軍服は白だが、ジュール隊隊長イザーク・ジュールやSEEDで出てきた、クルーゼ隊隊長ラウ・ル・クルーゼらが着用している隊長服の白とは違っている)。戦局に応じた判断力に優れ、クルーからの信頼は厚い。シン・アスカレイ・ザ・バレルルナマリア・ホークをはじめとしたパイロット達をまとめ上げている。

プラント最高評議会議長のギルバート・デュランダルとは元恋仲だが、第三世代を生み出せない遺伝子不適合故に婚姻を認められず、また彼女自身も子供を授かりたかった思いから別の男性と結婚し子供を作ることとなった。しかし彼との肉体関係は今でも続いている[1]

漫画版では、中立国であるオーブに移住する事を提案していたが、プラントを選んだデュランダルによって拒否されている。ちなみに、デュランダルの目の前でタリアがその男性を紹介して去っていく回想場面の場所はプラントである。

DESTINY』の小説版では、タリアがミネルバの艦長に就任した事について、一部から色仕掛けをしたと陰口を言われている。また、その噂の度合いは彼女自身、地球にまで届いているのかと思う程であった。オーブ入港時、ウナトを大ダヌキと称し、カガリとは正反対に全く信用していなかった。この時、アスランとカガリの関係について、元プラント最高評議会議長パトリック・ザラの息子とオーブ代表首長のロマンスは複雑すぎるととらえていた。

経歴[編集]

C.E.73年に建造された新造戦艦ミネルバの進水式に向け、艦長としてアーモリーワンに滞在していたが、地球連合軍ファントムペインによる新型MS強奪事件に遭遇し、コロニー内部は戦闘状態となる[2]

コロニー外壁を破壊して逃走するファントムペインを追撃したインパルスを追うように、成行きで乗艦していたプラント代表デュランダルオーブ代表カガリとその護衛として同行していたアスランを艦に乗せたまま、タリアはミネルバを緊急発進させ、追撃を開始する[3]。ファントムペインの母艦であるガーティ・ルーを追撃するも、ネオの作戦行動やエクステンデッドMS戦闘力によりミネルバは苦境に陥るが、アスランの助言もあり、持ち前の決断力によって脱する事に成功した[4]。しかし、艦の被害も大きく、ガーティ・ルーの逃走は許してしまう結果となる。

ザラ派残党によるユニウスセブン落下事件に際し、デュランダルを友軍艦へ移送後、地球への降下を行いつつ艦首砲による粉砕作業を指示する[5]。この時にジュール隊が指揮する破砕工作班の作業支援として出撃していたシンのインパルス、アスランのザクウォーリアが所在不明の未帰還となり、艦首砲の巻添えとなる惧れがあったものの、地球への被害拡大阻止を優先し、苦衷の表情で発射を命じた。

大気圏降下中にインパルス、ザクウォーリアを回収した後、アーモリーワンの混乱によって乗艦する事になったカガリ、アスランの2名を送り届けるために、オーブへと向かう。オーブではカガリの好意により補修及び補給が行なわれ、この時に、モルゲンレーテ社造船課Bのマリア・ベルネスと名乗ったマリューと邂逅を果たす[6]

オーブ出航後は、地球連合軍との戦闘を経てカーペンタリア基地へ到着する。FAITHに任命されたアスランがデュランダルの命を受けてミネルバに合流すると共に、タリア自身もFAITHに任命される。この頃から、タリアはデュランダルの意図を理解しかねて疑問視する傾向になり始める。

その後、ガルナハン、マルマラ海、クレタ沖の戦闘を経て、ミネルバはジブラルタル基地へ向かう。オーブが地球連合軍として参戦した時と同じくして、アークエンジェルは戦闘へ介入して来るが、先の大戦の英雄的人物であり、同じ女性艦長としてマリューに対し尊敬にも近い念を持っていたが、艦やパイロットに人的被害が発生し、苦悩しながらもアークエンジェル攻撃の命令を下した。

アークエンジェル追撃戦において、シンはフリーダムを撃墜し、ヘブンズベース攻防戦での功績により議長権限にてレイと共にFAITHに任命された事や、同時期にロゴス討伐の命令がデュランダルより下った事、そしてアスランがメイリンと共にグフイグナイテッドで軍を脱走し、レイと共に追撃に向かったシンにより撃墜された事など、タリアの身の回りで説明も無くデュランダルが手を回している事が多数発生し、デュランダルに対する疑念を深めていくが、その真意を問いただせず沈鬱な想いで過ごす日々が多くなった。

ジブリール討伐という大義名分の裏にオーブを排除するという目論見がデュランダルにあった事を、タリアは見抜いていた。マルマラ海、クレタ沖での戦闘で多大な損害を被るものの、カガリの好意により補修及び補給が行なわれるなど、オーブには決して悪い感情は持っていなかった。『小説版』では、それまでに身の回りに起きた件は、デュランダルが裏で手を回している事に対するささやかな反抗だとしている。

ヘブンズベースから逃亡したジブリールを追い、オーブへと転進する。オーブがジブリールの身柄引渡しを拒んだため開戦となり、アークエンジェルと再び対峙し、マリューとの激戦を繰り広げるものの、お互いに決定打なく終っている。ジブリールがオーブからシャトルで脱出した事により、今回の作戦はオーブ討伐では無く、ジブリールの生死を問わない身柄確保であるとして、タリアはザフト軍に戦闘停止の命令を出し撤退した。

ジブリールを追って宇宙に上がり、ダイダロス攻防戦において、地球連合軍の月面ダイダロス基地に建造されたレクイエムによってプラント本国が攻撃されると、ダイダロス基地攻略の強襲作戦を指揮し、シン達MS部隊の活躍もあり、ダイダロス基地を制圧することに成功する。レクイエム制圧後、デュランダルによって全世界へと向けたデスティニープランが発表されると、その内容や、反抗の動きを見せた大西洋連邦の月面アルザッヘル基地へのレクイエムによる攻撃を含めたデュランダルのやり方に対し戦慄を覚える。

メサイア攻防戦において、アークエンジェル、エターナルによるレクイエム及びメサイア攻略に対し、ミネルバは防衛にあたるが、アークエンジェルと交戦で損傷し、さらにインフィニットジャスティスが放ったファトゥム-01によりメインスラスターを破壊され月面に不時着する。タリアは戦闘不能となったミネルバから総員に退艦を命じる。その後、副長のアーサーにクルーのことを頼み、単身メサイアへと向かう。『コミックボンボン版』ではデュランダルの所へ向かう描写は無い。

タリアが駆けつけた時、キラはデュランダルに銃口を向け、この世界を、生きる未来を、彼に語っていた。すると、同じくその場にたどり着いたレイがそのキラの言葉を聴き、これまで自分にとって絶対的存在であったデュランダルを撃った。タリアは傷ついたデュランダルを介抱しながら、男児がいる事と、いつかマリューに会って貰いたいと言う伝言を遺言としてキラへ残す。微笑みながら瀕死のデュランダルと、泣き崩れるレイを母親の様に優しく抱きしめながら、崩壊するメサイアの爆炎の中に消えていった。

脚注[編集]

  1. ^ 『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』第5話
  2. ^ 『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』第1話
  3. ^ 『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』第2話
  4. ^ 『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』第4話
  5. ^ 『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』第6話
  6. ^ 『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』第8話

関連項目[編集]