タイプとトークンの区別

タイプとトークンの区別: Type-token distinction)とは、対象のクラス(タイプ)と、そのクラスに属する個々の事例(トークン)の区別である。タイプトークン[1]という対概念は、チャールズ・サンダース・パースによって導入された。

例えば、ガレージにあるあなたの特定・個別の自転車は、「自転車」というタイプの中のトークンとして理解される。このトークンとしての自転車は、時空の中の特定の位置を占めているが、タイプとしての自転車はそうではない。「最近自転車の人気が高まっている」と言うとき、この「自転車」はタイプとしての自転車を指して言っているのに対して、「あなたのガレージの中の自転車」と言うときの「自転車」はトークンとしての自転車である。

タイプは時空間に位置を持たない抽象的対象と考えられ、これは「特定の対象(particulars)」が時空間に位置を持っているのと対照的である。この「特定」という用語は単純に言えば「具体的で物理的な対象」というような意味である。タイプがトークンをまったく持たない場合も考えられる。例えば「二つの素数の和でないような偶数(ゴールドバッハの予想)」というタイプには、トークンが存在しない。

脚注[編集]

  1. ^ トークンという言葉は、もともと金属を押し潰して作られたコイン型の代用貨幣を指す言葉である。現在も地下鉄の乗車券やカジノのチップとして用いられている。古代シュメールでは数を数えるために粘土でできたトークンを使用していた[1]

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