セルフうどん

津田の松原サービスエリアのセルフ讃岐うどんコーナー

セルフうどん[1]またはセルフ式うどん[2]は、セルフサービス方式で食事を提供するうどん店。客が自らでうどんの受け取り・配膳、および食後の食器の返却を行う。

店内のシステム[編集]

基本は麺の「玉」の数、もしくは「大・中・小」などの量を選び、自分または店員が適宜湯通しを行う。具(天ぷらきつねとろろ昆布天かす・揚げ玉・その他)や薬味ネギショウガゴマなど)を選択する。出汁(スープ)や調味料をかけ、出来上がる。

通常は麺の数量によって価格が変化するが、店によっては玉数や量の大小に関係なく一律同価格に設定している場合もある。また、揚げ物おにぎりいなり寿司などのサイドメニューを用意している店もある。

歴史[編集]

発祥[編集]

セルフうどんの発祥は、登場時期が早い香川県においても複数の説があるなど、不詳である。うどん専門店としては1960年代中頃に香川県に現れ、県内および隣接地域(徳島県愛媛県など)に広まっていった。1970年代中頃には岡山県に現れ、県内に普及した。長らく、このようなセルフうどん店はそれらの地域独特の業態だった。

各地の歴史[編集]

香川県
1966年に「うどんの専門店です・四国」(丸亀市)が開店し、当時はかけうどん1杯20円で提供された[3]。また、1968年高松市で最初のセルフ方式のうどん専門店とされる「竹清」が開店した[4]。1970年代初めにはセルフうどん店が増え、労働者の昼食として人気を博していた[5]。この頃、県内高校学食においても生徒が「てぼ」(鉄砲ざる)を使って麺を湯がくという、セルフ方式が見られるようになった[6]
岡山県
1976年に開店した「手打ちうどん名玄」(岡山市中区)が、岡山県で最初のセルフ方式のうどん専門店とされる[7]。うどん1杯100円で提供するために開業時からセルフ方式を導入し、その後、5年で県内のセルフうどん店が50数店舗に増えるほど普及したという[8][1]
徳島県
1977年に「とば作」(小松島市)が開店した。香川のセルフうどん店から着想を得て[9]、当時は徳島県になかったセルフ方式を導入し、県内に定着させた[10]

全国への普及[編集]

2002年頃から外食産業の大手企業の参入により、セルフうどん(讃岐うどんのセルフ店)のチェーン店が短期間に急増した。背景として「外食デフレ」の時代に合致した低価格路線の商材であったことや、スターバックスドトールコーヒーショップなどセルフ方式を導入したコーヒーショップの普及によって飲食店におけるセルフ方式の懸念が払拭されたことのほか、B級グルメブームが挙げられている[11]。さぬきうどん振興協議会によると、香川県外資本の讃岐うどん店チェーンは2012年時点で少なくとも13に上る[12]。これらのチェーン店では、従来の標準的なセルフうどん店よりも手順が少なく、初めての客でも戸惑わないよう工夫がされている。この形態を元のセルフうどんと区別して「セミセルフうどん」と呼ぶこともある。

2000年代後期以降には、デフレの影響もあって売り上げも店舗数も右肩上がりの状態が続いており、新たなファストフードの一形態として認知され、普及かつ定着している。

主なチェーン店[編集]

丸亀製麺 松戸二十世紀が丘店
はなまるうどん和泉中央店

脚注[編集]

  1. ^ a b アサノヨウスケ (2019年9月26日). “「セルフうどん」発祥のお店に聞いた、完全セルフスタイルがこんなに楽しい&美味しいのに全国に広まりにくいワケ”. メシ通|ホットペッパーグルメ. 2022年9月19日閲覧。
  2. ^ 大和幸四郎 (2024年3月23日). “セルフ式うどん店で幼児が火傷「どうしてくれるの」 親が目を離した瞬間の悲劇、店の責任は? - 弁護士ドットコムニュース”. 弁護士ドットコム. 2024年3月23日閲覧。
  3. ^ history”. 饂飩の四國. 2022年9月14日閲覧。
  4. ^ メタボ柿原 (2016年9月12日). “竹清・前編|さぬきうどん 開業ヒストリー”. さぬきうどん未来遺産プロジェクト. 2022年9月19日閲覧。
  5. ^ 田尾和俊; 萬谷純哉 (2020年8月20日). “新聞で見る讃岐うどん<昭和47年(1972)>”. さぬきうどん未来遺産プロジェクト. 2022年9月14日閲覧。
  6. ^ 岡林英子 (2015年7月10日). “高松高校の学食うどんは20~30円”. さぬきうどん未来遺産プロジェクト. 2022年10月28日閲覧。
  7. ^ 手打うどん名玄”. 2023年2月16日閲覧。
  8. ^ ヒントは大学の学生食堂 セルフ方式を広めた 名玄(めいげん)” (PDF). 岡山リビング新聞社 (2016年2月13日). 2022年9月19日閲覧。
  9. ^ 尾野益大「一冊の力◆24◆:セルフうどん「とば作」創業者 尾形 伊佐雄さん」『徳島新聞』、2017年4月19日、朝刊、28面。
  10. ^ “セルフうどん草分け とば作小松島店40年の歴史に幕”. 徳島新聞. (2017年9月29日). https://www.topics.or.jp/articles/-/4046 2022年10月28日閲覧。 
  11. ^ “セルフうどん東京上陸”. 四国新聞. (2002年9月22日). オリジナルの2003年9月20日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20031227130429/http://www.shikoku-np.co.jp/feature/tuiseki/184/ 2022年10月28日閲覧。 
  12. ^ “県外チェーン最大手「丸亀製麺」が本格進出”. 四国新聞. (2012年1月18日). オリジナルの2012年1月11日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20120211193126/http://www.shikoku-np.co.jp/kagawa_news/social/20120108000078 2022年10月31日閲覧。 

関連項目[編集]