スリナムのスポーツ

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スリナムのスポーツでは、スリナム共和国におけるスポーツ事情について記述する。

特徴[編集]

スリナム国内で最も人気のあるスポーツサッカーである[1][注釈 1]。サッカー以外の競技では、バレーボールテニスバスケットボールなども人気があり[1]、ヒンドゥー系の国民の間ではクリケットが盛んである[1]。近年では「ロンダース」というスポーツ(球技の一種)が女性を中心に人気を集めている[1]。さらにスリナムに滞在する外国人向けのスポーツとしては、ゴルフ乗馬カヌーカヤック)、自転車ジョギングなどがある[1]。また、マルーン村落ツアーでは「カヌーでの急流下り」を楽しむことができる[2]

首都であるパラマリボには5つのスポーツスタジアムの他、ゴルフ場[注釈 2]、スイミングセンター、乗馬施設などがある[1]。パラマリボの中心部にある市民公園内には、国立サッカースタジアムと2つのサッカー場がある[3]

人物[編集]

サッカーのクラレンス・セードルフエドガー・ダーヴィッツキックボクシングアーネスト・ホーストレミー・ボンヤスキーのように、スリナム(ほぼ例外なくパラマリボ)で生まれ、幼少の頃に家族とともに旧宗主国オランダへと移住し、同国の国籍を選択した選手は少なくない。中でもセードルフは、スリナムの子どもたちへの支援・基金活動に積極的に取り組んでいることで知られ、私財を投じて学校や病院、スポーツ施設などを建設している[4]。自身4度目のUEFAチャンピオンズリーグ優勝を成し遂げた際にもスリナムを訪問し、そのビッグイヤーを披露するとともに、チャリティー活動を行った[5]

この他にも著名なサッカー選手としては、ジミー・フロイド・ハッセルバインクを筆頭に、アーロン・ヴィンターエドソン・ブラーフハイトロメオ・カステレンプレル・フランケルメルヴィン・マヌーフケルヴィン・レールダムアンドウェレ・スロリークルト・エルショットなどがおり、キックボクサーではタイロン・スポーンライアン・シムソンエロール・ジマーマンアーシュイン・バルラックギンティ・ブレーダマルコ・ピケなどがいる。

オリンピック[編集]

2021年東京大会までの夏季オリンピックにおけるスリナムの通算メダル獲得数は、1988年ソウル大会の金メダル1個、1992年バルセロナ大会の銅メダル1個の計2個である。2つともアンソニー・ネスティが、競泳男子100mバタフライで獲得した[注釈 3]。なお、冬季オリンピックへの参加経験はない。

サッカー[編集]

スリナムサッカー連盟英語版(SVB)は1920年に創立された[6]。その後、1929年に国際サッカー連盟(FIFA)に加盟し[6]、1961年に北中米カリブ海サッカー連盟(CONCACAF)に加盟した[6][7]サッカースリナム代表FIFAワールドカップへの出場歴はない。しかしCONCACAFゴールドカップには、2021年大会でようやく初出場を果たした。

なお、スリナムは南アメリカでありながら北中米カリブ海の大陸連盟に加盟しているのは南米サッカー連盟(CONMEBOL)が新規加盟を認めていないためである[8]

スリナム国内には168のクラブチームがあり[6]、4430人が選手として登録している[6]。1924年に発足したサッカーリーグのSVBエールステ・ディヴィジ英語版は、12チームによる「リーグ戦」方式で優勝チームを決定する[6]。主なクラブチームとしてはSVトランスバール英語版[注釈 4]や、SVロビンフッド英語版が挙げられる。

トランスバールはCONCACAFクラブ選手権(現CONCACAFチャンピオンズリーグ)において2度の優勝(1973年、1981年)と、5度の準優勝(1968年、1970年、1974年、1975年、1986年)を達成しているクラブである。ロビン・フッドは、スリナム・リーグで通算25回の優勝を誇るクラブである。

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ 大林太良ほか編『民族遊戯大事典』(大修館書店、1998年、ISBN 4-469-01260-2)の「スリナム」p.479に、サッカーに興じるジャワ系の子どもたちの写真が掲載されている。
  2. ^ 9ホール。利用料金は1日15米ドルで、会員になる必要はない。
  3. ^ 浮田典良・大林太良監修『世界の国ぐに大百科 第3巻 中南米・アフリカ』(ぎょうせい、1992年、ISBN 4-324-02731-5)の「スリナム」p.50-51に「スリナム初の金メダリスト アンソニー・ネスティ」との欄外コラムが掲載されている。また、『ソウル・オリンピック Seoul 1988 カラー総集編』(中日新聞本社、1988年)のp.36に金メダルを獲得した際の写真が掲載されている。
  4. ^ 「Transvaal」の日本語読みの表記には、「トランスバール」「トランスヴァール」「トランスファール」などがある。本項ではKoly Football Production編『全世界サッカー完全読本』(東邦出版、2004年、ISBN 4-8094-0410-2)によった。

出典[編集]

  1. ^ a b c d e f 外務省外務報道官監修『海外生活の手引き 8 南米編 1』世界の動き社、1997年、259-260頁頁。ISBN 4-88112-811-6 
  2. ^ 人の移動と文化変容研究センター編『国際的な人の移動と文化変容』ハーベスト社、2008年、227頁頁。ISBN 978-4-938551-76-6 
  3. ^ 地球の歩き方編集室『地球の歩き方 南米 2 1996-1997年版』ダイヤモンド・ビッグ社、1995年、419頁頁。ISBN 4-478-07080-6 
  4. ^ スポルティーバ公式サイト. “【イタリア】Calcioの真実 vol.7「選手たちのサイドビジネス、その真実」”. 2010年6月22日閲覧。
  5. ^ livedoor スポーツ. “セードルフ、祖国スリナムでCLトロフィを披露(FOOTBALL WEEKLY)”. 2010年6月22日閲覧。
  6. ^ a b c d e f クリストファー・ヒルトン、イアン・コール著、野間けい子訳『南米サッカーのすべて 改訂増補版』大栄出版、1998年、126-128頁頁。ISBN 4-8125-1265-4 
  7. ^ 日本サッカー協会・日本サッカーライターズ協議会編『最新サッカー百科大事典』大修館書店、2002年、468頁頁。ISBN 4-469-06216-2 
  8. ^ 成美堂出版編集部編、正井泰夫監修『今がわかる時代がわかる世界地図 2010年版』成美堂出版、2010年、163頁頁。ISBN 978-4-415-10810-0 

参考文献[編集]

関連項目[編集]

外部リンク[編集]