ジャコウジカ

ジャコウジカ
地質時代
中新世前期 - 現生
分類
ドメイン : 真核生物 Eukaryota
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 哺乳綱 Mammalia
: 鯨偶蹄目 Cetartiodactyla
亜目 : 反芻亜目 Ruminantia
下目 : 真反芻下目 Pecora
: ジャコウジカ科 Moschidae
亜科 : ジャコウジカ亜科 Moschinae
: ジャコウジカ属 Moschus
学名
Moschus Linnaeus1758
英名
Musk deer

ジャコウジカ麝香鹿)は、鯨偶蹄目ジャコウジカ科の1属ジャコウジカ属 Moschus の総称である[1]

同亜科の絶滅したミクロメリクス Micromeryx の復元模型

ジャコウジカ科には十数属が含まれるが、現生するのはジャコウジカ属のみである。

シカよりも原始的と考えられたが、実際にはそのような系統位置にはない[2]

枝角や顔腺を有さず、乳頭は1対のみ、胆嚢、尾腺、一対の牙状の歯、そして人間にとって経済的価値のある麝香を分泌する麝香腺を有する。主に南アジア山岳の森または潅木地帯に生息。

特徴[編集]

小さくてがっしりとした体格のシカに似ており、後肢は前肢よりも長い。全長80-100cm、肩高50-70cm、体重7-17kg。荒地を登るのに適した脚を有す。シカ科のキバノロの様に角を持たないが、雄は上の犬歯が大きく発達して、サーベル状の牙となる。歯式は0.1.3.3/3.1.3.3でシカと類似する。

麝香腺は成獣の雄にしかみられない。麝香腺は陰部と臍の間にある嚢で、雌を引き付けるために麝香を分泌する。

草食性で、(通常人里離れた)丘の多い森林環境に生息する。シカと同様に主に葉、花および草を食べ、更に苔や地衣類も食べる。単独性の動物であり、縄張りがはっきりとしており、尾腺で匂い付けを行う。臆病な性格が多く、夜行性または薄明活動性

発情期になると雄は縄張りを出て、牙を武器にして雌争いをする。雌は150-180日で子を一匹産む。新生仔は非常に小さく、生後1ヶ月になるまでは基本的にあまり動かない。これによって捕食者から見つかりにくくなる[3]

保護[編集]

現在、ワシントン条約によって国際取引が禁止されているが、麝香採取のための密猟は絶えない。中国では1958年より飼育研究が開始され、四川省都江堰市のほか数か所で飼育されている[4]

出典[編集]

  1. ^ 増井光子. “ジャコウジカ”. 日本大百科全書(ニッポニカ)(コトバンク). 2019年5月26日閲覧。
  2. ^ Hassanin, Alexandre; et al. (2012), “Pattern and timing of diversification of Cetartiodactyla (Mammalia, Laurasiatheria), as revealed by a comprehensive analysis of mitochondrial genomes”, C. R. Biologies 335 (1): 32–50, https://jglobal.jst.go.jp/detail?JGLOBAL_ID=201202224736881392 
  3. ^ Frädrich, Hans (1984). Macdonald, D.. ed. The Encyclopedia of Mammals. New York: Facts on File. pp. 518-519. ISBN 0-87196-871-1 
  4. ^ 木村孟淳「中国の生薬62:麝香」『月刊漢方療法』第12巻第3号、2008年、p.p.200-202。 

外部リンク[編集]