シロオニタケ

シロオニタケ
シロオニタケ Amanita virgineoides
(2011-08-19 加東市やしろの森公園にて撮影)
分類
: 菌界 Fungi
: 担子菌門 Basidiomycota
: 菌じん綱 Hymenomycetes
: ハラタケ目 Agaricales
: テングタケ科 Amanitaceae
: テングタケ属 Amanita
: シロオニタケ A. virgineoides
学名
Amanita virgineoides Bas
和名
シロオニタケ

シロオニタケ(白鬼茸 Amanita virgineoides)は、テングタケ科テングタケ属に分類されるキノコの一種である。

形態[編集]

かさは半球形から開いてほとんど平らになり、径5~30㎝、白色であるが老熟したものでは僅かに黄色みを帯びることがあり、角錐状に尖ったいぼ状突起を密布するが、この突起は脱落しやすく、激しい降雨に叩かれたりした場合にはほとんど落ち、かさの表面はほとんど平滑になる。肉は比較的薄く、もろくて壊れやすく、白色で傷つけても変色することなく、味やにおいは温和で刺激を感じないが、乾いてくると弱い不快臭を発する。

柄は長さ8~30(時に40)㎝に達し、もっとも太い部分の径は1~4㎝程度、下方に向かって大きく膨れ、全体としてはこん棒状~ボーリングのピン状をなし、表面は白色でほぼ平滑あるいは多少粉状、特に下部では、白色・粒状で脱落しやすいいぼ(外被膜の破片)が環状に付着し、内部は堅く充実している。柄の上方には、大形・膜質のつば(内被膜)を備えるが、かさの展開に伴って破れて脱落することが多く、幼いものを除いて普通は柄に残らない。

胞子は広楕円形~類球形で無色・平滑、ヨウ素を含む試薬で青灰色に染まる。ひだの縁およびつばの上面には、卵状・逆フラスコ状・こん棒状などを呈する多数の無性細胞が密生している。かさの表面に散在する円錐状のいぼは、ほぼ球形で多少厚い壁を備えた細胞群で構成され、少数の細い菌糸を混在している。かさの表皮は絡み合いつつ匍匐した菌糸からなり、個々の菌糸はしばしばかすがい連結を備えている。


茨城県・2017年8月

茨城県・2017年8月
ひだ
茨城県・2017年8月

生態[編集]

夏から秋にかけて、おもにブナ科シイカシ類・ブナコナラクリマテバシイなど)、あるいはマツ科アカマツクロマツモミヒマラヤスギなど)の樹下に生える。

分類学的位置からして、おそらくは樹木の細根との間で外生菌根を形成するものと考えられているが、生態についてはまだ不明な点が多い。

分布[編集]

日本および韓国での分布が確認されている。京都府産の乾燥標本をタイプとして、テングタケ属分類学の権威の一人であるオランダのバス(Cornelis Bas)によって新種記載がなされたものである[1]

類似種[編集]

外観が類似した種類が数多く、しばしば互いに混同されている。シロオニタケモドキ(Amanita hongoi Bas)はつばがより堅くて厚く、脱落しにくいことや、胞子がシロオニタケのそれよりも僅かに大きいことで区別されている。ササクレシロオニタケ(Amanita cokeri (Gilb. & Kühn.) Gilb. f roseotincta Nagasawa & Hongo)は柄の基部が徳利状に太くならず、つばより下には、さかむけ状のささくれを生じ、子実体は成熟すると次第に淡い鮭肉色~ピンク色を帯びてくる。またタマシロオニタケは全体に小さく、柄の基部は徳利状に太まらず、カブラ状に丸く膨れることで異なっている。その他にも、数種の類似種が国内に分布しており、世界的にはさらに多数の種が存在している。

方言名[編集]

オニゴロシオニタケシロトックリシロイボタケなどの地方名がある[2][3]

食・毒性[編集]

かつては食毒不明種として紹介されていたが、近縁種のタマシロオニタケからは機器分析によって有毒成分が検出されていることから、現在は有毒な可能性があるものとして扱われている。ただし、シロオニタケそのものによると確実に断定された中毒例は、まだ知られておらず、シロオニタケからの毒成分の検出例もまだない。

本種を食用として利用している事例は、日本では確認されていない。方言名が与えられているのは、子実体が大きくて特異な外観を備えており、よく目立つためではないかと考えられる。

脚注[編集]

  1. ^ Bas, C., 1969. Morphology and subdivision of Amanita and a monograph of its section Lepidella. Persoonia 5: 285-579.
  2. ^ 松川仁、1980.キノコ方言 原色原寸図譜.東京新聞出版部. ISBN 9784808300302
  3. ^ 奥沢康正・奥沢正紀、1999. きのこの語源・方言事典. 山と渓谷社. ISBN 9784635880312

ギャラリー[編集]

参考文献[編集]

参考サイト[編集]