サン・プリンセス

サン・プリンセス
基本情報
経歴
進水 1995年1月20日
竣工 1995年11月11日
要目
総トン数 77,441 トン[1]
全長 261.3 m
32.25 m
喫水 8.10 m[1]
主機関 ディーゼル・エレクトリック
出力 62,650馬力(総出力)
速力 21.4ノット(航海)
22.5ノット(最高)
旅客定員 1,950名(最大 2,250名)
乗組員 900名
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サン・プリンセスSun Princess)は、プリンセス・クルーズが運航しているクルーズ客船。サン・プリンセスの船名は先代(元スピリット・オブ・ロンドン)に次いで2代目に当たる。

概要[編集]

サン・プリンセス級の1番船で、1995年11月11日、イタリアのフィンカンティエリ社モンファルコーネ工場で竣工。船価は3億ドル。客室数は975室で、603室が海側客室(アウトサイド・キャビン)であり、うち約70%はバルコニー付きである。

竣工当時、ノルウェージャン・クルーズ・ラインの「ノルウェー」(76,049総トン)を抜いて世界最大の客船であり、引退・解体されたものも含めた客船史上でも第4位の大きさであった。

12月1日にフロリダのポート・エバーグレーズ港で行われた命名式にて、親会社P&Oの会長夫人によって命名され、翌2日よりフォートローダーデール起点のカリブ海クルーズに就航した。

以降夏期はバンクーバー起点のアラスカクルーズ、それ以外の期間はカリブ海クルーズに就航していたが、2007年秋からはオーストラリアを中心に運航され、日本への来航は2008年8月29日に大阪港に寄港したのが初であった。

また、同型の2番船が1997年、3番船が1998年、4番船が2000年に建造された。

2013年には約3000万ドルをかけて大規模改装を行いアトリウムへのカフェ設置、寿司レストランの常設化、ステーキハウスやスパのリニューアルなどが行われた[2]。その後2018年の改装では船首に「シーウィッチ」の意匠を施すとともに新プレミアム客室「クラブ・クラス・ジュニア・スイート」、ディスカバリー・チャンネルと提携したユースセンター「キャンプ・ディスカバリー」の設置、免税店のリニューアルが行われた[3]

その後2020年9月に親会社カーニバル・コーポレーションの経営改善策として同型船シー・プリンセスとともに売却を発表[4]

日本への寄港[編集]

2013年より日本発着クルーズとして本格的に投入された。国内客船の半額近い低価格クルーズの登場は「黒船」とも呼ばれ、国内船社に衝撃を与えた。[5][6]

2014年はダイヤモンド・プリンセスと合わせて2隻体制で日本発着クルーズを40回以上展開。しかし2015年よりオーストラリアへ通年配船となり、日本を撤退した。現在のプリンセス・クルーズの日本発着クルーズはダイヤモンド・プリンセス1隻となっている。

2019年にはJTBクルーズの全船チャーターにより本船を用いての横浜・名古屋・神戸発着の世界一周クルーズを実施、従来の世界一周の相場と比べ4割安い価格でクルーズ初心者を取り込む目論見としている[7]。日本の旅行会社がプレミアム級客船をチャーターしての世界一周の実施はこれが初であると同時に、プリンセス・クルーズでも初のアジア発着の世界一周となる[8]

2021年春からは日本のピースボートクルーズを企画実施する株式会社ジャパングレイスがチャーターし、パシフィック・ワールド号として世界一周クルーズを行うと発表している。

神戸港に向かうサン・プリンセス

同型船[編集]

  • 2番船 「ドーン・プリンセス(Dawn Princess)」
1997年5月竣工。2017年にP&Oクルーズオーストラリアに移籍し「パシフィック・エクスプローラー」に改名。
  • 3番船 「シー・プリンセス(Sea Princess)」
1998年11月竣工。
  • 4番船 「オーシャン・プリンセス(Ocean Princess)」
2000年1月竣工。2002年P&Oクルーズに移籍し「オセアナ」と改名。

参考文献[編集]

  • 海人社『世界の艦船 増刊 世界のクルーズ客船 2009-2010』2009年12月号増刊 No.716
  • 海人社『世界の艦船』1996年4月号 No.509
  • 海人社『世界の艦船』1996年6月号 No.511
  • 海人社『世界の艦船』2008年11月号 No.698
  • 船舶技術協会『船の科学』1995年6月号 第48巻第6号
  • 船舶技術協会『船の科学』1996年9月号 第49巻第9号

脚註[編集]

  1. ^ a b “大型客船、埠頭を急きょ変更 釧路入港前日の給油で喫水オーバー 市、大わらわ”. 北海道新聞 (北海道新聞社). (2014年7月2日). http://www.hokkaido-np.co.jp/news/chiiki3/548762.html 
  2. ^ サン・プリンセス、改装費3,000万ドルのドライドックを経て就航 - プリンセス・クルーズ(2013年9月13日)
  3. ^ サン・プリンセス、シンガポールでの15日間のドライドックを経て装いも新たに登場 - 時事ドットコム(2018年7月25日 Internet Archive)
  4. ^ プリンセス・クルーズ、利益率低い2隻を売却、サン・プリンセス、シー・プリンセス全キャンセルに - トラベルボイス2020年9月25日
  5. ^ “米・韓はじめ“黒船クルーズ”が関西に攻勢 海も割安なLCC時代到来か”. 産経WEST. (2013年12月15日). http://www.sankei.com/west/news/131215/wst1312150017-n1.html 
  6. ^ “【考察】プリンセスの日本クルーズに日本船社「存亡の危機」論も”. Webクルーズ. (2012年3月28日). http://www.cruise-mag.com/news.php?obj=20120328_01 
  7. ^ “JTB、「最安」の世界一周クルーズ 188万円から”. 日本経済新聞. (2017年11月27日). https://www.nikkei.com/article/DGXMZO23934610X21C17A1000000/ 
  8. ^ “JTB、188万円からの98日間世界一周クルーズ、2018年1月発売”. トラベル Watch. (2017年11月28日). https://travel.watch.impress.co.jp/docs/news/1093658.html 

外部リンク[編集]

記録
先代
ノルウェー
世界最大の客船
19951996年
次代
カーニバル・デスティニー