ケルビン波

ケルビン波(英語: Kelvin wave)は、海洋波動の1つである[1]

沿岸ケルビン波[編集]

北半球の場合、転向力は進行方向の右側にはたらくため、海洋の東岸では海水が集中することで圧力傾度力が進行方向左側にはたらく[2]。このとき、転向力と圧力傾度力が力のつりあいを保った状態(地衡流平衡)となり、沿岸ケルビン波の伝播方向は北側となる[2]

赤道ケルビン波[編集]

赤道周辺では周辺より海面の水位がやや高くなるため、赤道から高緯度方向への圧力傾度力がはたらく[3]。ここで、転向力は赤道方向にかかり力のつりあいが維持されている[4]。このため、赤道でも沿岸と同様の状態となる[4]

赤道において振幅が最大となり、ケルビン波は東側に伝播していく[5]

導出[編集]

ケルビン波は、浅水方程式英語版をもとに導かれる[6]

脚注[編集]

  1. ^ 石井・植田・田中 2019, p. 28.
  2. ^ a b 植田 2012, p. 53.
  3. ^ 植田 2012, pp. 53–54.
  4. ^ a b 植田 2012, p. 54.
  5. ^ 小倉 2016, p. 288.
  6. ^ 植田 2012, p. 4.

参考文献[編集]

  • 石井正好・植田宏昭・田中博 著「海洋」、松岡憲知・田中博・杉田倫明・八反地剛・松井圭介・呉羽正昭・加藤弘亮 編『改訂版 地球環境学』古今書院〈地球学シリーズ〉、2019年、25-28頁。ISBN 978-4-7722-5319-2 
  • 植田宏昭『気候システム論』筑波大学出版会、2012年。ISBN 978-4-904074-21-3 
  • 小倉義光『一般気象学』(第2版補訂版)東京大学出版会、2016年。ISBN 978-4-13-062725-2 

関連項目[編集]

外部リンク[編集]