クスマウル呼吸

(上から)正常な呼吸、ビオー呼吸クスマウル呼吸チェーンストークス呼吸のスパイログラム。

クスマウル呼吸(クスマウルこきゅう、英語: Kussmaul breathing)とは、異常に深大な呼吸が連続し、規則正しく続く状態である。運動時にも同様の呼吸がみられることがある。糖尿病性ケトアシドーシス腎不全に伴う尿毒症昏睡時などに認められる。

歴史[編集]

ドイツの内科医アドルフ・クスマウルが、糖尿病性ケトアシドーシスの患者に特有な呼吸の存在を発見し、命名した。

病態[編集]

代謝性アシドーシスを肺での外呼吸によって緊急的に補正しようとするために発生する。つまり、深大な呼吸を繰り返すことによって、呼吸性アルカローシスを引き起こすことでアシドーシスの補正を行っているのである。肺でのガス交換を盛んに行うことによって、血液中からは二酸化炭素が呼気中へと多く捨てられる。二酸化炭素の水溶液は炭酸であり、これが捨てられることによって、血液のpHを上げようとしているのである。なお、腎臓においても水溶性の酸を尿中に捨てることによってアシドーシスの補正は行われるものの、肺からの二酸化炭素の排泄による補正よりも、腎臓での水溶性の酸の排泄による補正は、一般に時間がかかる。ただし、腎臓での補正が行われない場合は、血液中に存在する二酸化炭素の量には限りがあるために、いずれ破綻する。参考までに、腎不全になるとしばしば代謝性アシドーシスが発生するものの、腎不全の場合は腎臓での補正は期待できない。

関連項目[編集]

参考文献[編集]