カンアオイ

カンアオイ
神奈川県三浦半島 2019年11月 
分類APG IV
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 Angiosperms
階級なし : モクレン類 Magnoliids
: コショウ目 Piperales
: ウマノスズクサ科 Aristolochiaceae
: カンアオイ属 Asarum
: カンアオイ A. nipponicum
学名
Asarum nipponicum F.Maek. var. nipponicum[1]
シノニム
  • Heterotropa nipponica (F.Maek.) F.Maek.[2]
  • Asarum kooyanum Makino var. nipponicum (F.Maek.) Kitam.[3]
和名
カンアオイ(寒葵)[4]

カンアオイ(寒葵、学名:Asarum nipponicum、シノニム:Heterotropa nipponicaAsarum kooyanum var. nipponicum)は、ウマノスズクサ科カンアオイ属の植物である。研究者によっては Heterotropa 属に含められるが、最新の植物誌(フロラ)では Asarum 属に分類される[5][6]。別名:カントウカンアオイ。 ギフチョウの幼虫の食草としても知られる。

特徴[編集]

小型の多年草は短く、地面を匍匐する。は互生、卵形~卵状楕円形で、先端は鋭頭、基部は深い心形、長さ6-10cm、幅4-7cm、濃緑色で白い斑紋があり、まばらに毛が生える。

花期は秋季(10月 - 11月)で地面に接して咲く。のように見えるのは花弁ではなく3枚の萼片である。萼片は基部で癒着し萼筒を形成する。萼筒は先がくびれず、直径2cm、長さ1cm程度で、暗紫色、内側に格子状の隆起線がある。萼筒の先端の萼裂片は三角形で萼筒よりも短く、濁った黄色。雄蕊は12本、雌蕊は6本。芳香がある。染色体数は2n=24。

分布と生育環境[編集]

日本固有種関東地方南部から紀伊半島東部の地域(千葉県東京都埼玉県神奈川県静岡県愛知県三重県)に分布し、山地の林下に生育する。

変種[編集]

var. nankaiense ナンカイアオイ
  • Asarum nipponicum F.Maek. var. nankaiense (F.Maek.) T.Sugaw.

基本種に似るが、つぼみ時に萼裂片が接する基部に明らかなへこみがあり、開花後、萼裂片の縁がうねるこが多い。本州(和歌山県兵庫県)および四国香川県徳島県高知県)に分布する。佐竹・籾山(1982)では独立種 Heterotropa nankaiensis にしている。絶滅危惧II類(VU)(2017年環境省)。

佐竹・籾山(1982)ではアツミカンアオイ(var. rigescens)およびスズカカンアオイ(var. brachypodion)をカンアオイの変種にしたが、Sugawara(2006)では、アツミカンアオイを独立種 Asarum rigescens に、スズカカンアオイをアツミカンアオイの変種 A. rigescens var. brachypodion としている。

ギャラリー[編集]

  • カンアオイ
  • ナンカイアオイ

脚注[編集]

  1. ^ カンアオイ 「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
  2. ^ カンアオイ(シノニム) 「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
  3. ^ カンアオイ(シノニム) 「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
  4. ^ 『山溪ハンディ図鑑2 山に咲く花(増補改訂新版)』p.28
  5. ^ Sugawara, Takashi. (2006) "Asarum," Flora of Japan Volume IIa, K. Iwatsuki et.al. (ed.), KODANSHA, 2006, pp.383-384.
  6. ^ カンアオイ属も参照

参考文献[編集]

  • 佐竹義輔・籾山泰一 「ウマノスズクサ科」 『日本の野生植物 草本 II 離弁花類』 佐竹義輔ら編集、平凡社、1982、108頁、ISBN 4-582-53502-X
  • Sugawara, Takashi. (2006) "Asarum," Flora of Japan Volume IIa, K. Iwatsuki et.al. (ed.), KODANSHA, 2006, pp.383-384.
  • 大橋広好・門田裕一・木原浩他編『改訂新版 日本の野生植物 1』2015年、平凡社