オサ山

オサ山
Όσσα
山の西側から見た夕日に照らされるオサ山
標高 1,978[1] m
所在地 ギリシャの旗 ギリシャ ラリサ県
位置 北緯39度47分49秒 東経22度41分13秒 / 北緯39.79694度 東経22.68694度 / 39.79694; 22.68694座標: 北緯39度47分49秒 東経22度41分13秒 / 北緯39.79694度 東経22.68694度 / 39.79694; 22.68694
オサ山の位置(ギリシャ内)
オサ山
オサ山
オサ山 (ギリシャ)
オサ山の位置(エーゲ海内)
オサ山
オサ山
オサ山 (エーゲ海)
プロジェクト 山
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標高1604メートルの「カナロス」の避難小屋[2]

オサ山(オサさん、: Όσσα, : Mount Ossa)は、ギリシャテッサリア地方の山である。古典ギリシア語の発音ではオッサ山キサボス山Κίσσαβος, Kissavos)の別名でも知られる。ラリサ県の北東、テンビ渓谷英語版ピニオス川の南に位置し、川を挟んで北西のオリンボス山と向かい合っている。オリンボス山とは地質学的に連続しており、テンビ渓谷で隔てられている。最高峰は標高1,978メートルのプロフィティス・イリアス(Profitis Ilias)で、近年コスタス・パラミオティス(Costas Palamiotis)に改称された[2]

地理[編集]

オサ山は西にラリサの平野、南にアギアギリシア語版の平野があり、山の東の斜面はテルマイコス湾に達する。山は北のメガロ峡谷(Μεγάλο Φαράγγι)、南のメガロ川(Μεγάλο Ρέμα)と呼ばれる谷によって2つの部分に分かれている。

自然[編集]

モミブナオーククリの鬱蒼とした森と豊富な水は山に詩的な壮大さを与え、多くの水路、湖、峡谷がある植物相の豊かな土地として特徴づけている。山の北東部にある16,900ヘクタールの区域は、19の美的価値のある森林(Αισθητικά δάση)の1つとして数えられ、優れた自然美の分野でヨーロッパの自然保護区ネットワーク「ナチュラ2000英語版」に参加している[2][3]

最高峰プロフィティス・イリアスの山頂。
オサ山のブナの林。

山の低い場所ではセイヨウヒイラギガシセイヨウハナズオウイチゴノキエリカなどの常緑広葉樹だけでなく、多くの草本植物タイムオレガノ)が見られるが、より高い場所ではオーク、クリ、ミズキカエデトネリコシナノキ、そしてこの区域のごく一部を再植林したヨーロッパクロマツが優勢である。主に標高500メートルから1600メートルの山の北と東の斜面では、ヨーロッパブナの森林もしくはヨーロッパブナとモミの混合林のいずれかが支配的である。北部には多くのクリの農園があり、ほとんど例外なくクリと最小限の木材が生産されている。

セイヨウトチノキが占める割合は限られており、在来種としては珍しい種となっている。モミは長期間にわたる乱伐ののち再生している。これはオサ山の美的価値のある森林の13%を占めている。またオサ山の植物相には、シクラメン・ヘデリフォリウム英語版のような種が含まれている。

高山地帯が始まる森林の境界付近では、多種多様な種が見られる。最後に、森林の管理区域では狩猟が許可されている。オサ山にはイノシシノロジカノウサギキジヤマウズラなどが生息している。

自治体[編集]

オサ山の自治体にはアギア、ストミオ英語版、シコウリオ(Συκούριο)、アンベラキアギリシア語版カリツァ英語版メリヴィア英語版メタクソコリ英語版メガロブリソ英語版アナトリギリシア語版コキノ・ネロ英語版オモリオ英語版スピリア英語版がある[2]

山の東側のストミオには、アギオス・ディミトリオス修道院としても知られるコムネニオン修道院英語版があり[4]、またコキノ・ネロやカリツァの近隣には美しいことで知られるカリプソ渓谷(Φαράγγι Καλυψώ)がある[5]

神話[編集]

オサ山から見たオリンボス山。

古代ではオサ山はマグネテス人英語版が住んでいた。その領域であるマグネシア地方はテッサリア地方の東南部にあたり、北はピニオス川の河口部から南はトリケリ半島まで広がっており、ニンフデメテルアスクレピオスヘラクレスピロクテテスアレクサンドロス大王などの崇拝と関係があった[2]ストラボンによるとピロクテテスはマグネシア地方の王の1人であり[6][7]ホメロス叙事詩イリアス』でも半島部分の都市メトネ英語版オリゾン英語版をはじめ、オサ山周辺の都市タウマキア英語版メリボイア英語版の軍勢を率いたと語られている[6][8]

オサ山が登場する有名な神話としては、神々に戦いを挑んだポセイドンの双子の巨人アロアダイの物語が知られている。『オデュッセイア』によると、アロアダイはオリンボス山の上にオサ山とピリオ山を乗せて天に登ろうとしたが、アポロンによって討ち取られた[9]

ギリシャの民間伝承では、オサ山はオリンボス山のライバルとして登場している。特によく知られているのは、1821年のギリシャ独立戦争中にオスマン帝国に対して抵抗を続けたクレフテスを称えるクレフテスの歌ギリシア語版で、オサ山とオリンボス山の間で繰り広げられた幻想的で雄大な争いに言及している[2][10]

備考[編集]

オーストラリアタスマニア島およびクイーンズランド州のオッサ山は、オサ山にちなんで名づけられた[11][12]

ギャラリー[編集]

脚注[編集]

  1. ^ Europe Ultra-Prominences”. Peaklist. 2022年1月19日閲覧。
  2. ^ a b c d e f Η ιστορία του καταφυγίου Κισσάβου”. The Hiking Experience. 2022年1月17日閲覧。
  3. ^ N2K GR1420007 Data Forms”. Natura 2000 Network Viewer. 2022年1月19日閲覧。
  4. ^ Μοναστηρι Αγιου Δημητριου”. larissa-beach.gr. 2022年1月19日閲覧。
  5. ^ Φαράγγι Καλυψώ. Περιοδικό ΚΟΡΦΕΣ-235”. Hellas Canyon Academy. 2022年1月23日閲覧。
  6. ^ a b ストラボン、9巻5・16。
  7. ^ ストラボン、9巻5・22。
  8. ^ 『イリアス』2巻716行-718行。
  9. ^ 『オデュッセイア』11巻。
  10. ^ Κλέφτικα Δημοτικά Τραγούδια - Τραγούδια για την Ελληνική Επανάσταση του 1821 - Τραγούδια - Έγραψαν - Βιβλιοθήκη - Ρίξε μια ματιά!”. ΜΑΤΙΑ. 2022年1月17日閲覧。
  11. ^ Mount Ossa”. Tasmanian History. 2022年1月23日閲覧。
  12. ^ Queensland place names search, Mount Ossa, Mountain”. Queensland Government. 2022年1月23日閲覧。

参考文献[編集]