オオユリワサビ

オオユリワサビ
福島県会津地方 2010年5月
分類APG III
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 eudicots
階級なし : バラ類 rosids
: アブラナ目 Brassicales
: アブラナ科 Brassicaceae
: ワサビ属 Eutrema
: オオユリワサビ E. okinosimense
学名
Eutrema okinosimense Taken.[1]
シノニム
和名
オオユリワサビ(大百合山葵)

オオユリワサビ(大百合山葵、学名:Eutrema okinosimense)は、アブラナ科ワサビ属多年草[4]

特徴[編集]

地下の根茎ワサビより細く短い。葉柄の基部が肥厚して鱗茎状になる点で同属のユリワサビに似るが、比べて全体的に大型である。花後、花茎は15-70cmに達する。は卵心形で、色は鮮やかな淡緑色になり、開花結実後に枯れる。地下の百合根状の鱗茎状に集まった葉柄の基部のみが夏を越し、晩秋に再び葉をだす。夏も葉が枯れない点でユリワサビと大きく異なる[4]

花期は4-5月。は白色の十字状の4弁花で、ユリワサビより大きく萼片の長さ3-4.5mm、花弁の長さは6-9mmとなり、ワサビとほぼ同じとなる[4]

分布と生育環境[編集]

日本固有種。北海道(南西部)、本州(兵庫県以東の日本海側および島根県隠岐諸島)、四国徳島県)、九州福岡県沖ノ島)に分布し、落葉樹林下に生育する[4]

名前の由来[編集]

和名オオユリワサビは同属のユリワサビに似て大型であるため[4]

種小名 okinosimense は、基準標本の採集地が福岡県の沖ノ島であることによる[1][5][6]

利用[編集]

ワサビ同様山菜とされ、茎や葉、花は、おひたしなどに利用される。

「絶滅」とユリワサビとの誤認[編集]

オオユリワサビ Eutrema tenue (Miq.) Makino var. okinosimense (Taken.) Ohwi は、学名のとおりユリワサビの変種とされ、基準標本の採集地である福岡県の沖ノ島固有のものとされていた。また、長い間同地で生育が確認されないため、絶滅したものと考えられ、2000年の環境庁(当時、現:環境省レッドデータブックまでは「絶滅種(EX)」とされていた。しかし、「オオユリワサビ,その生活と分類学的位置」鳴橋直弘・梅本康二・若杉孝生(2000年)によって、オオユリワサビは独立した種 Eutrema okinosimense Taken. であり、また本州の東北地方から九州にかけての日本海側に広く分布しているとされた[1][5][6]。このオオユリワサビは東北地方ではこれまでユリワサビと誤認されていたものであった[6]。また、牧野富太郎原著『新牧野日本植物圖鑑』のユリワサビのスケッチ[7]はオオユリワサビによく似ている、との意見もある[6]

ギャラリー[編集]

脚注[編集]

  1. ^ a b c オオユリワサビ「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
  2. ^ オオユリワサビ「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
  3. ^ オオユリワサビ「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
  4. ^ a b c d e 『改訂新版 日本の野生植物 4』pp.63-64
  5. ^ a b 「オオユリワサビ(アブラナ科)の北限産地(米倉浩司)」, The Journal of Japanese Botany, 『植物研究雑誌』Vol.78, No.6, p.357, (2003).
  6. ^ a b c d 34オオユリワサビ、解説細井幸兵衛、青森県植物図譜
  7. ^ 『新牧野日本植物圖鑑』p.203

参考文献[編集]